第3話 魔法


この異世界での、魔法の基本は、

まず、『天(聖)・人・地(土)』と

『木・火・土(地)・金・水』の系統に分類される、各種属性の魔素マナが存在する。


その属性魔素マナを、個人が保有する『マン魔素マナ』で構成した脳内イメージの魔法陣に走らせ『魔法』を発動させて行く。


地龍脈ちりゅうみゃくから地の魔素マナは『地であり土』と、分類される。


他国では、

『天(聖)・木・火・土・金・水』の属性魔法の内の一種類の属性魔法を、一人が発動出来れば御の字。

ただの『魔法使いウィザード』としょうされる。



国境線の防衛結界魔法や、大掛かりな攻撃大魔法は、魔法陣の周りに各属性分の魔法使いが、六人以上集まらないといけない。

更には、すべての属性魔法の、それぞれに均等な魔力量が必須なので、それぞれの属性魔法使いの人数は増えて行く。


もちろんそう言う大魔法は、移動出来ない。

魔法の射程範囲以内でしか、運用できない。




ヤーディン大国では魔法陣を工夫されて居て、一人ですべての属性魔法陣を、操作出来る。


どうやら過去に、魔法が盛んな世界からの『渡り人』が伝承してくれた

多重層魔法陣マルチレイヤー・マジックサークル』式、だそうで。


『天(聖)・木・火・土(地)・金・水』それぞれの魔法陣を、六枚重ねて、魔法を稼働させる。

各種六枚の魔法陣を精密に覚えこみ、かつ習熟が必須なので、習得には才能と長い修行が必要だ。

なので才能ある幼児を見つければ、なるはやで魔法教育を始める。


しかし、一度習熟してしまえば

万能魔法士マルチ・ウィザード』として、可能な限り、どこにでも移動出来る。

どこにでも大魔法を、運用出来る。


故にヤーディン大国魔法士は、他国の魔法士を大きく圧倒している。

無論、軍事力としても。



もちろん他種族や国外他の地域により、魔法様式や手順等は、多種多様である。



○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○



「ど...... どう言う状況です?」


決まった戦術魔法式は扱えるが、魔法式の術式内容には専門外のタキタル隊長は、この初めての事態に『万能の魔法士マルチ・ウィザード』として名高い、ディグリーに問う。


ディグリーと副司祭メルダは、しばらくタキタル隊長に返事を返せず、無言で必死にな様子で多数の魔法陣を操作する。


「...... 聖魔法召喚式では、教会聖コアに溜めた、数年分の『てんと地の魔素マナ』を、神官位の『マン魔素マナ』で操るのですけれど...... これは......」


副司祭メルダは眉を寄せ、焦る表情でつぶやく。


「そこに浮かぶ彼?がセルガが『見付けた』新たな『勇者』様かしら?

確実な事実は彼?が圧倒的で強力な魔素マナ量を操り、こちらの聖魔法召喚式を押し返し、逆にセルガの『心霊体』だけ異世界あちらに『逆召喚』してしまった様ですわね...... 魔力量も魔法式の緻密さも圧倒的に、そちらの『勇者』様が上ですは!」


ディグリーも必死な様子で、多数の魔法陣を次々と操作しながら、叫ぶ様にタキタル隊長に解説する。


「...... 駄目です! こちらからの術式操作を受け付けません!

こんな複雑で深さ、広さのある魔法式は、初めてのです!

一つの術式でも、我らの魔法陣の数百枚倍分以上あります! 底がうかがえません!

それに! 何と言う早さの演算処理なのでしょう!

少し侵入出来たと思ったら、すぐに『侵入穴』を閉められてしまいます!」


副司祭メルダは、泣きそうな表情で叫びながらも、操作の手を止めない。


「...... くっ、セルガッ!」

ディグリーも、両手で魔法式を必死な表情で操作しながら、中空のセルガに心配する視線を向ける。


召喚陣内に横たわる実体のセルガは、まだ目を開けていない様子だ。


▽◯◇マジか


銀色の全身甲冑姿の男性は、我々ディグリー達に理解出来ない異世界の言語?をつぶやいた。

そして、迂闊に近付かずその位置で、まだ目を瞑って居るセルガを伺う様子を見せる。

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