第133話 百面相なグリフォン

ドライフルーツ(魔力回復)を食べながら、俺達はグリフォンが持ってきてくれた魔晶石に魔力を込めていた。


「もっと早くお主達に出会っていたかったぞ。これも素晴らしい!」


エリザお嬢様の有難い話を聞き終わってドライフルーツを食べたグリフォンが興奮したように言った。


「えぇ、ラハートフは素晴らしいわね。」

「さすがか、あ、ラハートフさ、ら、ラハートフ殿だ!」


グリフォンが人だったら目をきょろきょろ忙しく動かし、冷や汗をだらだら流しているんだろうなと思った。

実際目はあちこちへ向いていた。


「グリフォンにとってラハートフは特別な人なんだね。」


皆がスルーするなか養父がぼそっと呟いた。


「「「……」」」


誤魔化そうしているグリフォンを見て、みな、空気を読んでどもったグリフォンと養父の呟きをスルーした。


黙々と魔晶石に魔力を込める。

静まる室内でカツン、コロン、と音を立てテーブルに転がる魔力が込め終えた魔晶石。


カラン

コロン


最初誤魔化すようにぱくぱくドライフルーツを食べていたグリフォンが次第に一個一個味わい食べていた。

食べていて落ち着いたグリフォンが口を開く。


「我の子や優秀な者達を連れてきてもいいだろうか?」


グリフォンが俺を見て言った。

俺はオルヴェルド公爵閣下を見る。


だってオルヴェルド公爵閣下に決定権があるわけだから……


「少し時間をいただいても?」

「構わぬ。」

「ありがとうございます。ラハートフ、こっちへ。」


オルヴェルド公爵閣下に呼ばれ近寄る。

公爵閣下が小声で話しかけてくる。


「ラハートフが転移魔法の一種、ゲートを使えることをグリフォン様に教えても大丈夫か?」

「はい、大丈夫です。」

「ではグリフォン様に教える。」

「はい。」


隠しているわけじゃないから、教えても構わないと思っている。


「グリフォン様。」

「うむ。」

「ここでは騒ぎになります。」

「……うむ。」


グリフォンの尻尾が垂れ下がる。


「逆にグリフォン様に許可をもらいたいことがあります。」

「なんだ?」

「グリフォン様の住処にラハートフを案内してもらえないでしょうか?」


あぁ、そういうことか。


「うむ?」

「ラハートフは転移魔法の一種を使えます。」

「そうなのですか?」

「はい。」


俺を見て俺に聞いてくるグリフォンに俺と他の人への言葉遣いが安定しないなと思いながら返事をして頷いた。


「素晴ら、凄、な、なかなかやるな。それで?」

「グリフォン様が飛んでくることも騒ぎになりますので、グリフォン様の住処と私達の領都、住処をゲートで繋ぎ、お越しいただければ、騒がれることがなくなります。」

「うむ。では、我の住処に案内しましょう。」


グリフォンはそう言い、建物を出ようと扉へ向かって歩き出す。


「グリフォン様、お待ちください。」

「なんだ?早く我の住処につれていきたいのだ。」

「グリフォン様の住処へはどのくらいかかりますか?」


なぜかグリフォンがちらっと俺を見た。


「今日中に着くぞ。」

「それはラハートフと一緒でもですか?」

「あ…………」


どや顔で胸を張ったようなグリフォンが称賛してほしそうにちらちら俺を見ていたが公爵閣下の言葉で固まった。


ーーーーー

あとがき

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【PV10万達成】悪役令嬢に魅かれた男 山宗猫史 @kiratokuro

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