第118話 解呪開始
聞いた話を要約すると邪神の呪いに古聖獣や全属性持ちの魔力をぶっ込む、以上!
身体の自由を取り戻せないグリフォンが全属性持ちのエリザお嬢様を傷つけることがないように、プチウィンドで空気を操作してグリフォンの顔周辺の空気を抜いていき、失神させて無力化する。
グリフォンがぐったりとして地面に落下していく。
グリフォンプチウィンドで親猫が子猫を運ぶように首を噛み掴み、ゆっくりと地面に下りて、ゆっくりと横たわせる。
プチダークでグリフォンの目を目隠しし、口や手足をプチアースの枷を作り着ける。
さらに胴体と枷を地面にがっちがちに固定する。
グリフォンにプチクリーンして綺麗にする。
「準備ができました。」
「えぇ。」
エリザお嬢様がグリフォンの第二の心臓、魔石がある辺りに右手を当て、左手を俺の方に差し出す。
「?」
「魔力譲渡は触れていた方が効率が良いのよね?」
「そ、そうですね。まさか?」
「ほら、早くしなさい。グリフォンが起きて暴れたら大変でしょ。」
確かに、その方が効率が良いけど……
え?まじ?エリザお嬢様に触れちゃうの?
「『プチクリーン』」
「?何しているの?」
「心の準備を。」
「……」
「すーはー、すーはー。一応もう一度『プチクリーン』」
だ、大丈夫だよな?
手は綺麗になってるよな?
も、もう一度やっとくか?
『プチクリーン』
ちょこんと手をエリザお嬢様の左手にのせる。
「はぁ。」
「!」
エリザお嬢様がため息を吐いた後、ぎゅっと手を握ってきて驚く。
「魔力譲渡、よろしくね。」
「は、はいっ!」
「ん!ラハートフ、一気に送りすぎ!」
緊張しすぎて魔力操作を間違い、エリザお嬢様に一気に多くの魔力を送ってしまってエリザお嬢様に負担をかけてしまった。
「あ!申し訳ありませんっ!」
魔力譲渡に集中して、送る量を調整していく。
「そのくらいなら大丈夫よ。」
「わかりました。」
冷静になって、供給源の興味津々で近くでグリフォンを見ている養両親と義姉兄、公爵閣下に魔力糸を伸ばす。
魔力が見える養母と義姉兄が魔力糸を握る。
魔力奪取を使い、負担がないよう吸い取りながら、エリザお嬢様に魔力を送る。
「エリザの魔力と呪いが戦っているわ。」
「そうなのかい?こんな近くでも僕には見えないから、やっぱり魔力が見えるのは羨ましいなー。」
「送る量を増やした方がいいかもね。」
「呪いの方が強いわね。」
養父と義姉兄が暢気に会話している。
養母が真剣な顔でエリザお嬢様に言う。
「エリザさん、先に呪いに侵されていないグリフォンの魔力を覆い保護した方がいいわ。」
「わかりました。ニルサリア様、誘導してもらってもいいですか?」
「えぇ、わかったわ。真っ直ぐ、もう少し下、ーー、」
養母の指示にエリザお嬢様が魔力を送っていく。
「そこね。」
「ありがとうございます。」
「送る量を増やし、そこから周りに魔力を広げていきましょう。」
「はい。」
「ラハートフ、もう少しエリザさんに送る量を増やした方がいいわ。」
「エリザお嬢様、大丈夫ですか?」
「えぇ、少しなら。」
「少しずつ増やします。辛かったら言ってください。」
エリザお嬢様がグリフォンに魔力を送って減る量の方が俺が魔力譲渡でエリザお嬢様に魔力を送る量より多くなっていたようだ。
魔力視を持つ養母が来てくれて助かったな。
エリザお嬢様に負担がないよう少しずつ、少しずつ送る魔力量を増やしていく。
「ラハートフの方が上回ったから、もういいわよ。」
「エリザお嬢様、大丈夫ですか?」
「大丈夫よ。」
養父がお姉様達に何度も「あとどのくらい?」と聞いているから、養父と同じく見えない俺にも解呪の進捗状況が伝わってくる。
グリフォンも起きず、邪神の呪いの魔力が残り四分の一まで来ていた。
「順調だね。」
養父の言葉に皆、口に出さずとも同意していた。
一人はこれ、何か起こるフラグじゃないよな?な?と焦り、無事終わることを祈っていた。
ーーーーー
あとがき
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