第113話 襲撃のあった村々
「ドラゴンが飛び上がったっ!」
「息子よ……お前に女を教えられなくて、ごめんな……」
「あっははは!逆にドラゴンに殺されるのは凄いことじゃないかっ?」
「確かにっ!」
「ドラゴンよっ!せめて苦しまず殺してくれっ!」
「「「殺してくれっ!」」」
なんてオルガの街の一部の人達が叫んでいることは空を飛んでいるラハートフとエアルリーザには聞こえていない。
そんな状況を見た公爵閣下はなんとも言えない表情を浮かべていた。
城門に人がいなかったのは自分のせいだと気がついたのだった……
上空から見て、ぐるっと街の周りを飛んで見てまわった。
「逃げている魔物は、いないわね。」
「……そうですね。」
「どうしたの?」
「エリザお嬢様。」
「何を迷っているの?」
「……襲撃があった村に、行きたいんです。」
「なぜかグリフォンがいないわね。」
「そう、ですね。」
「街の周りにいる魔物はお父様達で討伐できると思うのだけど、ラハートフはどう思う?」
「で、できると思います!」
「じゃあ、私達は村に行きましょう。」
「エリザお嬢様!ありがとうございます!」
一旦、城門前の結界の周りの魔物どもを数十体潰し下りた。
逃げている魔物とグリフォンがいないことを報告、襲撃のあった村に行くことを伝え、魔物の足跡を辿っていく。
全ての建物が崩壊している村にたどり着いた。
上空から魔物どもが至るところで何かを食べているを発見した。
「『プチウィンド』」
見える範囲の魔物の頭に弾丸プチウィンドを撃ち込む。
「とりあえず、全ての魔物の討伐しましょう。」
「……はい。」
あの時のことを思い出して、涙が溢れそうになったのを堪える。
村の入口に下りると瓦礫の隙間などにいたラットの魔物どもが襲いかかってきた。
エリザお嬢様と共に一撃一殺しながら村の魔物を討伐していく。
「これで終わりね。」
「……はい。村の、人達を集めます。」
「私は残骸を纏めるわ。」
エリザお嬢様がボックスに残骸を収納し、俺は村の人達だったものをプチクリーンで浄化してから一旦プチボックスに収納していく。
地下収納などに生き残りがいないか確かめながら……
「ラハートフっ!ラハートフっ!」
最後の中央にあった教会らしき残骸を収納していたエリザお嬢様の下へ走る。
エリザお嬢様の近くに隈のある小さな子供達、妊婦の女性が座り込んでいた。
「お父様は教会の地下牢を地下避難場所に作り替えていたみたい。」
「さすが、公爵閣下ですね。」
「他の村にも生き残りがいるかもしれないわ。」
「そうですね!」
「彼女らをドラゴンに乗せて飛んでいくわよ。」
「「「どらごん?」」」
エリザお嬢様のドラゴンの言葉に何人か小さな子供達と妊婦さんが反応した。
「えぇ、ラハートフは凄い魔法使いなのよ。『ファイア』」
「「「わああ!カッコいい!」」」
「「「キレイ!」」」
「凄いわ……」
「ラハートフが作ったこのドラゴンよりとっても大きいドラゴンが村の入口にいるよ。」
「「「見たい!」」」
「で、でも、魔物は?」
「「「あ」」」
「おとうさん、おかあさんは?」
「まま、ぱぱは?」
「「おにいちゃんは(おねえちゃんは)?」」
「「「……」」」
「まものに、たべられたの?」
一番大きい女の子が聞いてきた。
「……君達を守ったんだよ。お父さん、お母さん、お兄ちゃん、お姉ちゃん、皆、君達を守った英雄だよ。」
「わたしのおとうさん、おかあさんはえいゆうなんだ。」
「そうだよ。君が生きているのはお父さん、お母さん達が魔物を斃したから、君達を守ったからだよ。」
「おにいちゃんもえいゆう?」
「そうだよ。」
「おねえちゃんも?」
「うん。」
「おじいちゃんも?」
「う、ん。」
「「「どうしたの?おにいちゃん?なんでないているの?」」」
「泣いていないぞ?汗が出てるだけだよ。」
「あせっかきなんだね。おとうさんといっしょだ。」
「はい。これでふいていいよ。」
子供がハンカチサイズの布を渡してくれた。
「ありがとう。優しい子だね。」
「えへへ。」
頭を撫でると照れたように笑う子供。
「えいゆうになったらてんごくってとおいとおいところにいくから、みんないないんだね。」
「「「そうなの?」」」
「きょうかいのおじいちゃんがいってたよ。」
「「「おぼえてない。」」」
「ちゃんとはなしをきいていないとごぶりんにつれていかれちゃうよ!」
「「「ちゃんときく!」」」
子供達のやりとりを見て少し落ち着き、少し和んだ。
「「「でっかい!」」」
「「「かっこいい!」」」
「「「つよそう!」」」
子供達がでっけぇドラゴンプチウィンドを見て大興奮。
怖いもの知らずでドラゴンをばしばしと叩いたり、お腹の下に潜ったりしている。
「だ、大丈夫なんでしょうか?」
「魔法で作られたドラゴンだから大丈夫よ。」
「ま、魔法でそんなこともできるんですね。」
「この大きさはラハートフだからできることよ。」
「凄い方なんですね。」
「えぇ!」
エリザお嬢様と妊婦さんが何か話していた。
少し落ち着いたところでエリザお嬢様が声をかける。
「では、乗りましょう。」
「あ、ちょっと待ってください。」
「どうしたの?」
「内装を変えようかと。」
「?好きにやっていいわよ。」
「みんな、ドラゴンから離れて、こっちに来てー。」
「「「はーい。」」」
「「「まだのらないの?」」」
「ちょっと待ってね。」
ドラゴンプチウィンドを操作して土を食べさせる。
「「「あ!おなかすいてたんだね!」」」
ふふ、可愛い感想に笑ってしまう。
土をプチアースで操り、ドラゴンの中の下面と胸辺りの高さまでの側面に土を張り付けていく。
一回では足りなかったから何度か土を食べてコーティングする。
さらにその土の上にプチウィンドの薄いクッションを張り付けてる。
これで下が見えなくなったから、怖さは軽減されるだろう……
子供達は張り付けなくても怖さより楽しさが勝りそうだけど……
乗るのがドラゴンの中で、しかも口からだとは思っていなかったようで、妊婦さんが滅茶苦茶びびっていた。
先に口の中に入った子供達が出てきて、手を引いてやっと入ってくれた。
妊婦さんの為にシートベルト付き座席をプチウィンドで作ってあげよう。
他の村にも生き残りがいた。
魔物を殲滅し、生き残りを連れて、英雄達もプチボックスにプチクリーンで浄化してから収納して、夕方にはオルガの街に戻ってきた。
オルガの街の周りにいた魔物どもは救援の領兵達によって討伐されていた。
オルガの街は祭り騒ぎだった。
ドラゴンプチウィンドが大人気だった。
ドラゴン様と拝む人が多くいて困惑した。
魔法なんだけど……
解除して消しちゃ駄目な感じ?
宿で食事をし落ち着いてから、子供達が「おとうさん(おかあさん)かえってきてえええあいたよおおお」と大泣きをするのを見るのは辛かった……
村全体を覆える結界の魔法具は作れないか……
街の結界はどのように作られたのか?
村の被害を出さないようにするにはどうすればいいか考えて眠れなかった……
ーーーーー
あとがき
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