第96話 奇跡

見つかったらヤバいものを作ってしまった……。


眠れない二日間にエリザお嬢様のコスプレ姿をプチアースで作ってしまった。

目を瞑れば瞼に浮かぶものだから、精密なものが出来てしまった。

時間があったから色付けもして完璧な出来上がりになった。


そしてもう一日眠れなかった……。


普段の私服姿や制服姿や訓練時の動きやすい服装なんかもミスリルネックレスを付けたときや親睦会のエリザお嬢様もサキュバスエリザお嬢様も作ってしまった。


見つかればヤバいが、後悔はない。

プチボックスに収納しておけばバレない。

大丈夫だ。


全然大丈夫じゃなかった。

何かを察知しエリザお嬢様にジト目で問い詰められ白状してしまった……。


しかし、どういうわけかわからないが、奇跡が起きた。


メイド服や騎士服、私服、制服など普通のフィギュアは見せびらかせないことともう一つの条件をのんだら所持していいと言われた。


なんと幸福なことかっ!

所持していいって最高に幸せだよ!


それからえっちぃフィギュアと俺を昇天させたフィギュアを見て、顔を真っ赤に染めたエリザお嬢様は『ボックス』に収納して部屋で出ていった。

慌てついていく。


魔法修練場にたどり着いた。


「こっちを見ないように!」


修練場に魔法使いの領兵に大声で言った。

こっちに背を向けたのを確認してエリザお嬢様はえっちぃフィギュアと俺を昇天させたフィギュアを出して地面に置いた。


「業火の炎よ、我の敵を焼き尽し、「ちょっ!エリザお嬢様!」何よ?」


エリザお嬢様が無詠唱をできる特級魔法を態々詠唱していた。

しかも魔力増し増しのハイフレアの魔込魔法を発動しようとしていた。


「な、何をしようとしたんですか?」

「……わからないの?」

「こ、壊そうとしているん、ですよね?」

「わかってるじゃない。止めないで。」

「ぜ、絶対、誰にも見せませんから、しょ、所持の許可をっ!」


頭を下げてお願いする。


「……誰にも見せないなら壊してもいいじゃない。」

「あ、わ、私だけしか見ませんからっ!」

「……」

「私だけしか見ませんからっ!」

「……」


返事を来ないから、顔をあげると耳まで真っ赤っかなエリザお嬢様。


「……り。」

「え?」

「……無理!」

「えっ!」

「あ、あ、あんな恥ずかしいものを!あなたに見られ続けるなんて無理!駄目!業火の炎よ、我の敵を焼き尽し、灰にしろ『ハイフレア』!」

「あっ!」


超高速詠唱で発動された特級魔法ハイフレアの魔込魔法にさらに魔縮魔法も同時発動された。

圧縮され小さいハイフレアがえっちぃフィギュアと俺を昇天させたフィギュアに吸い込まれる。


「あああ。」

「燃えてなくなりなさい!」


燃え出し高温で赤くなり、どろどろと形が崩れていき、赤オレンジの液体に溶けてしまった。


「天使エリザお嬢様があああ」

「ラハートフっ!やめなさい!」

「小悪魔エリザお嬢様があああ」

「ば、ばかっ!」

「ぐっ……」


悲しみのあまり四つん這りになって地面を叩き叫んでいた。

そこに手加減なしのエリザお嬢様の掌か拳かわからないけど後頭部を叩かれ?殴られ?気絶した。


自室で目を覚まし、あぁ、夢落ちかと思った。

プチボックスに天使エリザお嬢様ミスリルネックレスを付けたときや親睦会のエリザお嬢様小悪魔エリザお嬢様サキュバスエリザお嬢様はなかった……


現実か……

燃やされ溶かされたものは残念、本当に残念だけど、ううう……


……まぁ、他のフィギュアだけでも所持できるようになることが奇跡か。

よくよく考えたら本人にとったら、あれらはたしかに恥ずかしいな。

エリザお嬢様に謝りに行こう。


なんとか許してもらった。

つんっとそっぽを向いて「仕方がないわね。」にきゅんときた……




条件というのはオルヴェルド公爵現当主様のエリザお嬢様のお父様エヴィンカル様や第一夫人のお嬢様のお母様アウルーレ様、お嬢様の専属侍女のメリルさんや俺、他の何人かのフィギュアを作るというものだった。


自分以外のものは比較的簡単に出来た。


エリザお嬢様が姿勢や服装などを考えたものを本人にポーズを取ってもらい俺がよく見てフィギュアにする。

エリザお嬢様の構図にない服装は先日行った二階でコスプレができるお店で購入したらしい。


公爵閣下は渋々、アウルーレ様は意外にもノリノリで着ていた。

メリルさんは淡々と着替えていた。

でも公爵閣下は出来上がったフィギュアには大満足のようだった。


結婚式。当時の衣装を着た二人。公爵閣下がアウルーレ様の腰に手をやり引き寄せているポーズ。

騎士団長と副団長の設定。背中合わせでお互いを守っているポーズ。


執務室に飾ってある。


公爵閣下に他の夫人、息子娘達、フェンリルのフィギュアの作成を依頼されて、エリザお嬢様の条件の後、後日作りましたとも。

報酬に金貨を貰って、また所持金が増えた。


未来の話になるが公爵閣下の子供の一人がフィギュアに興味を持ち、後にフィギュア作成職人として有名になった。


メリルさんのフィギュアは紅茶を淹れるときの美しい所作や騎士服でただ立っているポーズ、メイド服やドレスでカーテシーしているポーズなど。

所作が美しいから人気が出そう。


そして自分のフィギュア。

先日手に入れたダンジョン産の刀を構えたポーズや制服や執事服などのいくつものポーズ。

閣下と夫人の騎士団長と副団長の設定の俺とエリザお嬢様版や二人セットの構図。


作成してはエリザお嬢様に俺の顔の向きがもう少し下とか腕が、足幅が、姿勢がとか何度も駄目出しをされて、エリザお嬢様が納得するまで作り直しまくった。


最初の自分のフィギュア全てが完成するのに一週間はかかった……

エリザお嬢様のお願いでも、もう、自分のフィギュアは作りたくないと思った。

けど、お願いされたら作っちゃうんだよな……

魅かれた弱み?惚れた弱み?だから仕方がないよな。


以降どんどん自分のフィギュアは増えていくのであった……

その度エリザお嬢様のフィギュアも自分の癒しの為に作って増えるんだけど、たまに燃やされ溶かされる。


だから自分のフィギュアの数の方が多く存在していた……

そんな事実、全然嬉しくない……


ーーーーー

人物紹介

●エヴィンカル・フィン・オルヴェルド。

オルヴェルド公爵現当主。火と風と光属性持ち。

約百九十二センチ。金髪赤瞳。金髪長髪を襟足で縛り纏めている。筋骨隆々な体格。鋭い瞳に薄い唇。ワイルドなイケメン。

最前線に立って大剣で戦い仲間を鼓舞する。グリフォンプチウィンドに乗りたがる子供っぽいところもある。子供好きだが(息子娘以外の子に)怖がれて時々しょんぼりしていた。ラハートフと出会い子供達と接触が増えて子供が慣れて怖がれないようになって内心嬉しさいっぱい。

イメージはノー○ン・リー○スです。ダ○ル好きです。


●アウルーレ・フォン・オルヴェルド。

オルヴェルド公爵第一夫人。水と風と光属性持ち。

約百七十三センチ。金髪蒼眼。金髪ロングストレート。若干つり目、すっと通る鼻筋。母性溢れるものをお持ち。綺麗系美人。

意外にもコスプレをノリノリで着ちゃう女神様。ラハートフには色々感謝している。

イメージはロー○ン・コー○ン。


●メリル・フィン・オルルド。

オルルド侯爵長女。エアルリーザの専属侍女。オルヴェルド公爵家の影の一人。風と闇属性持ち。

約百七十センチ。濃緑色のショートヘアに濃緑色の瞳。目力が凄い女性。綺麗系美人。

隠密、侍女の能力が最高クラス。エアルリーザ命。ラハートフと協力して彼女のために美味しい飲み物、食べ物を日々改良している。無表情を意識しているが綺麗なもの、美味しいもの、可愛いものに弱く、たまに緩んでいる。最近ナトナを鍛えている。

イメージはショートヘアのキー○・ナイ○レイ。

何度も出ていたのに容姿などが初出……これは、ひどい……


ーーーーー

あとがき

今回「。」で改行する書き方に変えてみました。どうでしょうか?前の方がいいでしょうか?

あと他の作品で話の最後に人物紹介を書いている作品があったので参考にしてみたのですが、どうでしょうか?


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