第95話 お出掛け 2
武器屋にて双子の弟ラルと妹ラーナの十歳の誕生日プレゼントを買った。
そして、格好良く美しい自分の武器を手に入れてうっきうきな気分でエリザお嬢様とルシュカ嬢と並んで歩いて次の店、魔法具屋へ向かっていた。
「嬢ちゃ」
脇道から俺らの前を塞ごうとする輩を結界で阻む。
「おい」
逆の脇道から同じく俺らの前を塞ごうとする輩も結界で阻む。
エリザお嬢様は魔法具屋で良いのがあったらそれをプレゼントとして贈るようだ。
「待てやごらあああ!」
「お前ら呼ばれたら止まれよ!」
「話を聞けよ!」
「ラハートフ。」
「わかりました。」
俺、エリザお嬢様、ルシュカ嬢の周りに結界を張り、阻む結界を解除する。
すると輩達は前と後ろに回る。
道の真ん中で堂々と俺達を囲む。
おかしいことに通行人がいない。
初めて二人きりで出掛けた日と似たような感じだな……
「おお!別嬪さんだな!」
「本当に十五歳か?」
「胸も大きいじゃねぇか!」
「小さい方は震えて可愛いじゃねぇか!」
「俺は茶髪の子な!」
……目を潰してもいいだろうか?
「何の用かしら?」
「三ヶ月くらい俺らの家でやるパーティーの誘いだ。」
「女は強制参加だけどな!」
「男も参加してもいいぞ。」
……喉を潰してもいいだろうか?
「参加するわけないでしょ。」
「い、行きません!」
「……お嬢様が参加しないなら私も参加しません。退いてくれませんか?」
「女の前だから強がるなよ?参加しないならお前は帰っていいぞ。」
「言葉を理解できないのかしら?私達は参加しないと言ったのよ?」
「優しく誘っているうちに来ないと痛い目に遭うぞ。」
「プレゼントを選ぶ時間も彼に服を見てもらう時間も結構かかるものなのよ。これ以上邪魔をするなら痛い目に逢うわよ。」
へ?服を見る?
聞いてませんよエリザお嬢様?
でも見たいからいいか!
エリザお嬢様が怒っているな。
「「「はっはっは」」」
「小娘二人に小僧一人で何ができるっていうんだ?」
「私一人よ。」
「は?」
「「「はっはっは」」」
「お前一人で俺らを相手にするのか?早々に壊れてしまうぜ。」
「俺は口で?!ーー?!」
「俺は尻のあ?!ーー?!」
「お、おい!どうしたっ?」
「「ーー?!……」」
二人の男がいきなり喉を押さえ出し、踠き倒れ動かなくなった。
エリザお嬢様が動き出す。
男どもの顎にフックを打ち抜く。
最大身体強化したようだ。
誰も反応できず脳を揺らし倒れ込む。
「『プチクリーン』」
「ありがとう。行きましょう。」
「はい。」
「ほ、ほっといていいんでしょうか?」
「大丈夫でしょう。早く行くわよ。ゆっくり選ぶ時間がなくなるわ。」
「は、はい。」
魔法具店でエリザお嬢様はラルに筋力強化の指輪を、ラーナには素早さ強化の指輪を購入した。
選んでいるときエリザお嬢様がミスリルのチェーンに赤い宝石の付いた魔法具に手を伸ばしかけて引っ込めて数秒それを見ていた。
俺はそれをこっそり買った。
次の店は二階建ての服屋。一階は普通の服、二階は、
「ご主人様はどうでしょうか?」
「ぐはっ!」
胸を矢が刺さった……
胸を押さえて踞る。
仕切りを開けて現れたのはメイド服を着たエリザお嬢様がその場でくるっと回り、綺麗な礼をして俺に聞いた。
仕事ができるクール系格好良い女子のエリザお嬢様がメイド長となって現れた。
紺のフリルロングワンピースに控えめのフリルエプロン、レース付のカチューシャを着けて俺をご主人様だとっ!
心臓がどっかんどっかん鳴ってる!
爆発してしまう!
「ら、ラハートフっ?どうしたのっ?」
「も、もう一度、ご主人様と、」
「ご、ご主人様、大丈夫ですか?」
「さ、最高です。最高に似合ってますよ、エリザお嬢様。」
「そ、そう。つ、次の服に着替えてくるわね。」
照れているエリザお嬢様、最高かよ……
「ラハートフ様はど、どうですか?」
「うん、可愛いね。」
「あ、ありがとうございます!」
同じメイド服を着たルシュカ嬢。
一生懸命頑張ってますって感じのメイド見習いっぽくて微笑ましく見た。
可愛い子がメイド服が似合うわけないな。
そう、ここの二階はコスプレ服が試着、購入できるらしい。
次はチャイナ服っぽいやつ。
勝手な想像だけどあっちのある国の女武道家が着て語尾が「~アル」というイメージがアル。
というか!
この服ヤバすぎるだろ!
身体のラインがはっきりしているから胸は強調されているし、真っ白な健康的な太ももがちらりと見えてヤバい!
顔を赤くして胸を腕で隠し脚をもじもじさせる姿が色々ヤバい!
色々ヤバい!
鼻血出た!
すぐ結界を鼻に突っ込んだからバレていないはず。
今日寝れるかな……
ルシュカ嬢は、可愛いね。
彼女のおかげで少し落ち着いた。
店員さんが鼻に布を詰めていた。
ドレスアーマー。
戦乙女ワルキュリエだ……
俺にはエリザお嬢様の背中に純白の一対の翼が見える。
神々しい……。
ルシュカ嬢は見習いっぽいね。可愛いよ。
騎士服。
エリザお嬢様なら初女性騎士で総団長になれる。
エリザお嬢様に憧れて女性騎士が増えてしまうね。
格好良すぎる。
似合いすぎる。
ルシュカ嬢は新人女性騎士だ。
執事服。
イケメン。
惚れてしまうな。
店員さん顔を赤くしてるよ。
というか店員さんのメイク術が的確、全てエリザお嬢様、ルシュカ嬢に合っている。
プロだなと尊敬する。
ルシュカ嬢は男の娘って感じ。
女の子だけど……。
どのコスプレも最高だった。
チャイナ服とサキュバスのコスプレはヤバかったけど。
出血死しそうだった。
鼻血が逆流して喉を通るくらいヤバかった。
今日絶対眠れないぞ……
一階に行き、普通の服を見て回り、二人が気に入った服を購入してプレゼントした。
聖女の微笑みという何度か来ているケーキを売っているカフェで昼食をとった。
「色々ありましたが、楽しかったです。」
「そうね。」
「はい。」
「また一緒に出掛けたいです。」
「えぇ。」
「機会があれば行きましょう。」
「はい!」
ルシュカ嬢とは途中で解散した。
エリザお嬢様の部屋でミスリルチェーンに赤い宝石の魔法具を取り出す。
エリザお嬢様が目を見開き驚いている。
「それ、」
「気になっていたようだったので。」
「……」
「それにエリザお嬢様に似合うと思いましたので買いました。」
「……けて。」
「なんと言いました?」
「着けて。」
「わかりました。」
と返事をしたが、心臓がばっくばくなっている。
エリザお嬢様が後ろを向き髪を持ち上げる。
良い匂いがした。
真っ白な首筋。
「着けて。」
「は、はい。し、失礼します。」
ぼーっと見てしまっていた。
緊張して震えそうな手を、いや若干震えている手で留めを外し、前を通して後ろで留め具を付ける。
少し肌に触れてしまったけど、反応しなかったから大丈夫、だよな?
エリザお嬢様が振り返る。
「どう、かしら?」
「似合っています。」
「そう。」
エリザお嬢様がはにかむような笑みを浮かべた。
俺は親睦会の時と同じく昇天、気絶した。
もちろん脳内保存はした。
可愛すぎるぅ……
ちなみに部屋にはメリルさんもいたよ……
女の子の部屋に専属従者でも二人きりは駄目なんですよ。
目が覚めたら、廊下でした……
メリルさんのジト目に堪えられず、割り与えられた部屋に撤退。
ベッドで横になり眠ろうとしたが、目を閉じると思い出し興奮して眠れなかった……
ーーーーー
あとがき
いやエリザお嬢様はコスプレなんてしないだろとツッコミをされる前にちょいっと裏話?
ルシュカ嬢がいなければメイド服だけの予定でした。
ルシュカ嬢に対抗して色々コスプレしちゃいました。
まだ先ですがエリザお嬢様視点の話でもう少し詳しく執筆する予定です。
面白くなってきたら☆を足してくださいな!
フォロー応援もよろしくお願いいたします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます