第93話 初級建物型のボス戦
「「「『アースボール』」」」
エリザお嬢様のただならぬ雰囲気に呑まれていたが扉を開け、敵を視認するとルシュカ嬢、カシュエ嬢、クロッシュ嬢がアースボールの魔込魔法をスケルトンどもの頭上に使った。
魔力の込められたアースボールは通常のアースボールより遥かに大きく、三つでスケルトンどもを一掃できるほどだった。
さらに敵の方向に縦回転していた。
落下し地面が揺れ奥に転がる。
ぼきぼきと音を立て転がり少しの抵抗があったが最奥の壁に激突し割れ崩れた。
「やったっすか?」
「それは言っちゃいけないやつです!」
「え?そうなんですか?」
「あ、いえ、」
「……まだ、上位種は残ってますので油断しないでください。」
「は、はい。」
アリナ嬢の言葉にフラグという言葉が過った……
まさか、アリナ嬢は転生者?と頭に浮かぶが、エリザお嬢様のお願いである彼女達のサポート、最高のサポートをするため頭を切り替える。
スケルトンハイメイジ、スケルトンメイジ、スケルトンナイトは骨にひびが入っている。
他のジェネラル、リーダーは無傷だ。
骨強度が魔法職と物理職では違うのようだな。
ナイトにひびが入っているのは一段階進化だからか?
スケルトン上位種どもが立ち上がり、まず魔法で反撃してくる。
敵の魔法の数と同じ数を発動し相殺する。
「ジェネラルの相手をしてきます。落ち着いて対処してください。」
「「「はい。」」」
俺がジェネラルに走り出すと俺の後ろに隠れ、ルシュカ嬢が走りついてくる。
ナイト二体が前左右から剣を振るってくる。
剣の薙ぎ払いでスケルトンの剣を大きく弾き間を走り抜ける。
私はばっと後ろに跳んで後退し消える敵、周囲を見る。
もう片方は後衛の三人の魔法が放たれて、斃され魔石を残し消えているところだった。
ラハートフ様は迫るスケルトン上位種の攻撃を弾き、受け流し、避けながら、スケルトンジェネラルに一直線に進んでいる。
凄いなと思いながら、ラハートフ様を狙って背を向けて無防備なスケルトン上位種に攻撃を仕掛ける。
三人も同じく魔法で攻撃をしている。
離れていくラハートフ様から近い私に標的を変えるスケルトン上位種。
深呼吸、強く優しいラハートフ様の言葉、いつも通りと安心させる表情を思い浮かべ自分を落ち着かせ、よく敵を観察する。
俺はスケルトンジェネラルまでたどり着き、そのまま走り続けすれ違い様に斬りつけて後ろにまわる。
俺は振り返り、ジェネラルも振り返り対峙する。
ジェネラルの後方ではルシュカ嬢が複数体相手に上手く回避し立ち回っている。
ルシュカ嬢に魔法を放とうとするハイメイジやメイジにプチウィンドの弾丸を放って妨害しながら、ジェネラルと剣を打ち合う。
私は最初ラハートフ様の言う通り回避を優先していた。
戦っている内に余裕が出てきた。
複数体のスケルトン上位種の攻撃を回避し、さらにスケルトンが持つロングソードの腹を叩き同士討ちするよう軌道を変えた。
または避けたら仲間がいたという立ち回りをして同士討ちさせた。
そこに後衛の三人の魔法が放たれ徐々に数を減らしていった。
エアルリーザ様達より遅い。
いつも通り、ラハートフ様の言葉の意味を知る。
私が上位種と余裕を持って戦えるなんて……
ラハートフ様達と同じ年で同じクラスでよかったと思うことができるほど余裕がある。
とても視野を広く見れて、思考も余裕が生まれ気がつく。
スケルトンから攻撃魔法がこないことに。
スケルトンハイメイジとメイジを視界に入れると前のめりになったり、膝から体勢を崩したりと不自然な動きをしていた。
全てラハートフ様のいる方向から何かをされているかように見えた。
あぁ、守ってもらっているんだとちらっとラハートフ様を見て、ラハートフ様がこっちが見える立ち位置で戦っていたからわかった。
気持ちが高揚した。
頑張らないと!と思った。
体勢を低くして避け棍棒の手前を持ち体勢を低くしたまま一回転。
足払いをし倒れた周りのスケルトンの魔石を狙いアースニードルを使って斃す。
俺はスケルトンジェネラルの攻撃を捌きハイメイジの魔法を妨害しながら、彼女らを見ていた。
おお、ルシュカ嬢のあれは複同か?
今までできるそぶりを見なかったが、殻を破った?
壁を越えた?
とにかく成長したんだなとおめでとうと念を送る。
ルシュカ嬢の動きが変わり、あっという間にジェネラル以外の上位種が斃された。ルシュカ嬢が走って近づいてくる。
「蹴り飛ばします!」
「わかりました!」
私はスケルトンジェネラル以外の上位種を斃してすぐにラハートフ様とジェネラルの方へ走り出す。
ラハートフ様は私に気づき、私に任せる言葉を言ってくれた。
さらに気持ちが高揚した。
ジェネラルは盾でラハートフ様の蹴りを防御しますが、宙に浮いて私の方に飛んできました。
無防備な背中に棍棒を叩きつけるが、ジェネラルの骨強度とラハートフ様の蹴りの威力が思っていた以上に強く、押し返されてしまった。
そして棍棒に衝撃を受け手が痺れてしまった。
ジェネラルはそのまま私を越えて飛んでいき、空中で体勢を整え床に着地、ざざーっと床を滑り、私と後衛の間のところでやっと止まった。
カシュエさんは顔を中心に魔法を放ち妨害、イーサさんとクロッシュさんが光属性で小さな傷を作っていく。
私は傷を負わせる二人に向かおうとするジェネラルの前に立ち塞がる。
ジェネラルの剣と盾の攻撃はナイト、リーダーより速い、がエアルリーザ様達より遅い。
避けるのはなんとかなっているけど、ダメージが通らない。
歯痒さを感じる。
するとばらばらだった光属性の攻撃が何ヵ所かを同じ、近い場所に集中した攻撃に変わった。
傷が大きくなる。
後衛をちらっと見ると三人の側にラハートフ様がいた。
ラハートフ様が頷く。
そこを狙うよう振るう。
何度目かの光属性の攻撃の後、棍棒を当てるとついに折れた。
そこからは早かった。
さらに大きく傷ついたところにカシュエさんが巨大なアースボールを高いところから落とし叩き潰して終わった。
ラハートフ様の「お疲れ様でした。」を聞き私は気を失いました。
「お疲れ様でした。」
そう俺が言ったら、ルシュカ嬢が微笑みを浮かべ倒れてきた。
倒れぬよう支えるとすーすーと寝息を立てていた。
首を皆の方に向ける。
「運んであげなさい。」
「わかりました。」
お姫様抱っこをしようとしたがエリザお嬢様の冷たい視線を感じてルシュカ嬢をおんぶする。
「いつも以上の素晴らしい動きをしていたから、疲れたんでしょうね。」
「そうですね。」
「成長は実戦に勝るものはないわね。」
「はい。狙ってか無意識かわかりませんが複同を使いましたよ。」
「えぇ、見てたわ。」
「今後が楽しみですね。」
「……えぇ、そうね。」
スケルトンジェネラル、ボスの魔石を回収し帰還の魔方陣に入り、ダンジョンを出て提出、初級自然型の進入許可を貰った。
ルシュカ嬢は許可を貰って暫くしてから目を覚ました。
まだおんぶをしていてその状況に狼狽えまくった。
慌てる小動物に見えて失礼ながら和んだ。
ーーーーー
あとがき
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