第88話 上級クラス 親睦会

エンス達の愚痴以外、一学年の頃とは違い平穏な学校生活を過ごしている。


放課後は部活動みたいなことをしている。

クラスメイト全員が訓練場に集まり、模擬戦(個人戦からパーティー戦、一対多など)や魔法の習得や詠唱破棄、無詠唱で使えるように魔法を使いまくったりしている。


エンス達がモモティルナから逃走、抜け出してきて参加することも多くある。

休日にもなぜかエリザお嬢様の下に、オルヴェルド侯爵家王都別荘に集まって共に活動をすることも多々ある。


一学年の時には行わなかった親睦会をカシュエ嬢の提案で焼肉ドラゴンミートにて開かれた。


もちろん?エンス達も来たぞ。

どうでもいいことだが、別の日にエンス達特級クラスも高級店を貸切状態で開かれたらしい。


会費は全額俺が出した。

ラハートフ式プチウォーターを使用した干し肉やドライフルーツなどの加工品の売上金の一部や『変種』した野菜や果実、植物の買取金でお金が貯まっていく一方だから。


それに初めて行ったときにエリザお嬢様に全額出してもらったから、ついでにクラスメイトの分も出した。

皆美味しそうに食べていて良い雰囲気だ。エリザお嬢様も微笑んでらっしゃる。

良いクラスだな……


「上級クラス、いいな……」

「あぁ……」

「でござる……」

「うん……」


スタン、タッシュ、ウィンがエンスの言葉に同意している。


「モモティルナが中心となって纏めて仲が良いんじゃないの?」

「いや、あれは、仲が良いというか、」

「気持ち悪い。」

「そう、気持ち悪い。全員が盲信的でモモティルナ嬢に対して否定の言葉を言うところを聞いたことがない。」

「それに男同士で話しているのを見たことがないぞ。本当に最低限のやり取りしかしていない。」

「僕達が否定したり断ったりすると全員が睨んできたり突っかかってくるよね。」

「モモティルナ殿がとめると、やめるでござる。異常でござるよ。」

「あー、早く一年経って離れたいよー。」

「「「そうだな(そうでござる。)。」」」

「まぁ、美味しいもの食べて、頑張って。」

「……今年は手加減なしで思いっきり殺ってやろう。」

「……そうだな。」

「……死には死ないでござるな。」

「……僕もそうしよう。」


昔とは変わって温厚になったエンスがこんなことを言うなんてな。

スタン達も相当やられているな。

レッサードラゴンの肉もっと頼んであげよう。


「モモティルナ嬢の香水が臭い。」

「「わかる(でござる。)。」」

「べたべた触りすぎでござる。」

「「「わかる。」」」

「あいつらは実力がないのに威勢がいいのはなんでだろうな?」

「「「馬鹿だから(でござる。)。」」」


美味しい肉を食べながら、モモティルナやクラスメイトの愚痴が始まった。

離れよう……。


「ラハートフ君、今日はありがとうね。」

「ありがとうっす。」

「「ありがとうございます。」」


イーサ嬢、カシュエ嬢、クロッシュ嬢、ルシュカ嬢にお礼を言われる。


「食べている?」

「美味しいわ。」

「もちろんっす。」

「はい。美味しく頂いています。」

「美味しいです。」

「美味しいよね。今日は遠慮なく食べてよ。」

「滅多に来れるようなお店じゃないから、もちろんっす。」


同意するようにうんうんと頷く三人。


「ラハートフ君はエリザさんとどのような出会いだったの?」

「私も聞きたいっす。」

「「私も。」」

「別にいいけど、エリザお嬢様が可愛いだけで、面白い話じゃないよ。初めて会ったのは五歳のときだったね。今思うと可愛い勘違いをエリザお嬢様がしてたな。」


あの時はエリザお嬢様の発言で使用人達が母さんに対して冷たい眼差しをしたことに怒りを覚えてしまったけど、今はエリザお嬢様の可愛い勘違いだったなと思っている。


仁王立ちお姉ちゃんぶっていたエリザお嬢様……

可愛すぎっ!

ロリコン量産されちゃうよ!

あぁ、エリザお嬢様が姉でも良かったかも、最高の姉だな……。


彼女らは魔力量増加や魔込魔法がオルヴェルド家が関わっていることを察しているみたいだから、村襲撃のことから簡単に説明した。

それから魔縮魔法など他言無用なことは話さず、エリザお嬢様がいかに可愛かったかを力説した。


「ラハートフ。」


エリザお嬢様に呼ばれる。

……なぜだろう。

いつもは名前を呼ばれるだけで嬉しいのに……

怖いと感じるのは、なぜだろう……


「は、はい。なんでしょうか?」

「あっちで一緒に食べましょう。」

「よ、喜んで!」

「皆さん、少しラハートフを借りるわね。」

「「「「ど、どうぞ!」」」」

「ありがとう。では、行きましょう。」

「は、はい!」


エリザお嬢様のあとをついていく。


「こ、怖かったっす。」

「わ、私達、大丈夫かな?」

「大丈夫だと思うよ?」

「あれはラハートフ君に怒っていたから、私達は大丈夫ですよ。」


イーサにそう言われ安堵する三人。


「……」

「え、エリザお嬢様、お、怒ってますよね?わ、私、何かしてしまったでしょうか?」

「……なんで失敗談なんか話したのよ。恥ずかしいじゃない。」

「あれは失敗談ではありません。恥ずかしがることありませんよ、エリザお嬢様。」

「……」

「失敗しても、放り投げず諦めず、修練を続けて成功を手に入れたエリザお嬢様は格好良かったですよ。失敗談でなく成功談と言っていいでしょう。涙を流さないように耐えていたエリザお嬢様は可愛かったですが……。」

「もう……」


エリザお嬢様が両手で顔を覆い俯く。


「え、エリザお嬢様?」

「……あまり可愛いとか連呼しないでちょうだい。」

「な、なんでですかっ!」

「恥ずかしいからよ。」

「く……わかりました。」


あ!めんこいとか愛くるしいとかならいいか?


「……言い方を変えても駄目よ!」

「!」


エスパーかっ?


「顔を見ればなんとなくわかるわよ。」

「!?」

「約十年いればわかるわよ。」


なるほど……

俺がなんとなくわかるようにエリザお嬢様もわかるのか……


「……」

「……」

「……こうして楽しく過ごしているのはラハートフ、あなたのおかげよ。ありがとう。」

「えっ?」

「お父様を救ってくれて、魔法を教えてくれて、力を付けさせてくれて、食生活を良くしてくれて、お兄様を許してくれて、いつも見守ってくれて、ありがとう。」

「え?え?」

「あなたに出会えて良かったわ。」

「そ、それは俺の方です!」

「そう、それは嬉しいわね。」


照れたように微笑むエリザお嬢様を見て昇天、気絶した。

脳内保存はした。

可愛すぎぃ……


その後ナトナ嬢につんつんされまくって目を覚まし、最初ぎこちないながらもエリザお嬢様と共にクラスメイト達と歓談した。

話すにつれて自然といつも通りに戻り、クラスメイト達とも打ち解けて仲良くなった。

親睦会の目的を果たした。


ーーーーー

あとがき

面白いじゃん、続き早く上げろ。と思ったら☆☆☆、面白いなぁと思っても☆☆☆、少しでも気になるな。と思っても☆☆☆をつけていってくださいな!

冗談です。

前から☆☆☆、☆☆、☆をつけてください!

面白くなってきたら☆を足してくださいな!

フォロー応援もよろしくお願いいたします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る