第78話 エアルリーザ・フェン・オルヴェルド 十八回戦
「エリザ!やはり君は酷い女だ!」
「……」
ホルスディン様が対峙するなり私に突っかかってくる。
「無防備なモモを殴り飛ばし蹴るなんて酷すぎる!」
「試合が終わってもないのに油断したのが悪いのではありませんか?それに魔法は禁呪だと言い、武器は魔法武器だと言い卑怯と言いましたので、それを使わず戦いましたのに……本当に禁呪でも魔法武器でもありませんのに……酷い女だなんてホルスディン様の方が酷いではありませんか。」
「ご、誤魔化されないぞ!」
「全くもって私は誤魔化などいませんよ。真実を言っただけですよ。」
「なぜ、そこまで嘘をつくのか僕にはわからない。」
「……なぜそこまで信じてもらえないのか私にはわかりません。婚約者だというのに。」
「人間の皮を被った悪魔ようなことをする君を好きになれるわけがないじゃないかっ!婚約者であることもこの試合の前でなくなるっ!」
「?」
悪魔ようなこと?
婚約者であることもなくなる?
「「「!?」」」
「僕はっ!人間の皮を被った悪魔ようなエアルリーザ・フェン・オルヴェルドと婚約破棄をするっ!」
「!」
私は驚いて、声が出ません。
「「「えっ?」」」
「「「なっ?」」」
「「「はっ?」」」
ほとんどの者が驚くなか、一人が一瞬微笑みを浮かべた。
その人物はマジで言ったよ!
その時期じゃないっていう誰かの指示に従うと思っていたから言わないだろうなと思っていたけど、マジかっ!と心の中で大喝采、踊りまくっていた。
「この婚約は王命だが、皆聞いてくれ。僕は真実の愛を見つけたんだ……。」
「「「……」」」
「僕はモモティルナ・ライトベルと結婚するっ!」
「!」
「えっ?」
「「「なっ?」」」
「「「はっ?」」」
「「「おめでとうございます!」」」
「「「はっ?」」」
貴族達がホルスディン殿下の発言に驚きの声を上げ、教会関係者の祝福にまた驚きの声を上げる。
「ありがとう。」
ほとんどの者が置いてきぼり。
モモティルナさんも驚いている。
ホルスディン殿下が晴れ晴れした表情で私に言う。
「元婚約者のエリザ、正々堂々と戦うことを願う。」
正々堂々と戦っているんですけどね……
「……魔法は使いません。武器は訓練用なので魔法武器でありません。」
「禁呪を使わないと魔法が使えないのか。」
「違います。禁呪ではないと言っても禁呪だと疑われるので魔法を使わないのです。」
「はぁ……まだ認めないのか。」
「認める認めないではなく、私達は禁呪を使っていません。モモティルナさんにも言いましたが、そもそも禁呪を使っていたら反則負けか最悪退学になりますよ?王宮魔導師様達が見ていても何も言わないということは禁呪ではないと言ってるのも同然ではありませんか。と言っても信じてくれませんよね。」
「……」
「はじめましょう。」
「「はじめっ!」」
私はホルスディン殿下の魔法を斬らず、受けずに最低限の動きで避け近づく。
また斬ったり受け止めたりしたら魔法武器とかまた文句を言われますから。
一発も当たることもなくホルスディン殿下に接近した。
私はホルスディン殿下の顔面にシールドバッシュを仕掛け視界を潰す。
ホルスディン殿下がロングソードで防御の構えを取った。
「ぐはっ、ごほっごほっ、ぐううう」
盾はロングソードで防がれましたが、盾に隠れて同時に突くショートソードに気がつかなかったホルスディン殿下は反応できずみぞおちを突かれ武器を落とし、みぞおちを押さえ呻く。
私は身体強化されていなくても、あれは痛そうだ。とか武器を手放しちゃ駄目でしょと思いながら足を払い、ホルスディン殿下を転ばす。
受け身を上手く取れないホルスディン殿下はまた呻き声を上げる。
「今のは避けるべきでした……訓練を続けてこなかったんですね。」
「ううう」
「もう終わりですか?」
「ぐ……」
「睨むだけで勝てる戦いなんてほぼありませんよ。」
「ぐっ、おおおおおお」
ホルスディン殿下が立ち上がった。
昔の模擬戦のことを、歯を食い縛って何度も立ち上がる昔のホルスディン殿下を思い出した。
あの時は睨まれてはいなかったですが……
「水の槍よ「はぁ、使わせるわけないじゃないですか。」かはっ。」
私は近距離で詠唱し始めたホルスディン殿下に呆れながら、盾で顔を横殴りした。
「くそおおお。」
「使うなら動きながら使ってください。隙を作ってから使ってください。」
ホルスディン殿下がロングソードを拾い、私に振るう。
紙一重で避ける。
避けた後に軌道を変えるかもしれないことも頭に入れながら避け続ける。
結局そんなことをしなかった。
「くそくそくそっ当たれよ!」
「わざわざ当たる人なんていませんよ。」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
「魔法を使わなくても勝てます。禁呪なんてものを使う必要がありません。私達は禁呪を使ってません。」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
「わかっていただけたでしょうか?」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」
「……体力が落ちすぎでは?」
「ふんっ。」
「なるほど。油断させる演技ですか。」
と思いましたが、ロングソードを振るった後、肩でを通り越して身体全体で息をしていました。
「……終わりにしますか。」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」
ラハートフがアリナさんにやったようにホルスディン殿下の顎をショートソードの腹で打ち抜く。
かくんと倒れるホルスディン殿下。
後頭部にショートソードを突き立てて審判を見る。
「勝者、エアルリーザ。」
「ホルスディン殿下、共に過ごした日々楽しいときもありました……。今までありがとうございました。モモティルナさんとの幸せを陰ながらお祈りしています。」
一礼して退場する。
同時に行われていた
集中しきれないモモティルナさんが無駄な動きが多く体力切れになり、降参と言わせるまで攻撃され続けました。
何か恨みでもあったのでしょうか?
今度、話をしてみましょうか……
残りは
ナルストラ様の髪の毛を全焼させた。
「僕の髪があああ」には失礼ながら笑ってしまいました。
ーーーーー
あとがき
最後まで読んでいただきありがとうございます。
面白くなってきたら☆を足してくださいな!
フォロー応援もよろしくお願いいたします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます