第77話 十七回戦 2
エリザお嬢様は迫り来るファイアボールをショートソードで縦に一振り、魔力の斬撃が飛び、ファイアボールが真っ二つになり左右に分かれ、エリザお嬢様の横を通りすぎる。
「なっ?!」
「中身がかすかすのファイアボールですね。誰かの頭のように。」
「な、なんですってえええ?」
「モモを侮辱するなっ!」
「殿下、私との試合に集中してください。」
「黙れ!」
「……うわあ。本当に、面倒臭い人ですね……。」
「貴様あああ!」
「「あら(あれ)?口に出ていましたか(口に出てしまっていましたか)。」」
「悪役令嬢があああ!『ファイアボール』『ファイアボール』『ファイアボール』」
さっきも悪役令嬢と言われたけれど、私、悪いことしたかしら?
就寝前にいけないことだとわかっていてラハートフから貰ったドライフルーツを食べてしまったことかしら?とか思ったエリザお嬢様。
慈悲の聖女とはかけ離れた言動のモモティルナにほとんどの者達が絶句していた。
エリザお嬢様の言葉に何人かがそうだな(だね)と何度か頷く。
乱入しようとするホルスディンをアリナ嬢がエリザお嬢様に行かせないように足止めする。
いや、足止めって意味がわからないな。
一対一の試合なのに……。
「『ファイアボール』」
モモティルナとは違い一回の使用で三つのファイアボールが出現する。
モモティルナのファイアボールに当て相殺する。
「火の槍よ、敵を貫け『ファイヤランス』火の槍よ、敵を貫け『ファイヤランス』火の槍よ、敵を貫け『ファイヤランス』」
「『ファイヤランス』」
「無詠唱っ!しかもなんで三つ出るのよっ!」
モモティルナのファイアランスは相殺される。
「努力の結果ですわ。」
「禁呪ねっ!」
「仮に禁呪だとしても、こんな大勢の前で使う頭の足りない方は学園にいないと思い、ますよ……たぶん。失格、最悪退学になりますから。」
エリザお嬢様がちらっと逆ハーレムメンバーを見て若干言い淀む。
「公爵の権力で見逃せているんでしょっ!」
「……大勢の前で我が公爵家を侮辱することの意味を考えていますか?」
「侮辱なんてしてません。ただ真実を言っているだけです!」
「……」
「禁呪を使うのをやめろ!」
「私もエリザ様も禁呪なんて使ってませんよ!何度言えばいいんですかっ!」
「……私達がどんな禁呪を使っているのでしょうか?」
「魔力量増加とか魔法効果向上とかでしょ!」
「……では、魔法を使わないで戦いましょう。」
エリザお嬢様がモモティルナに向かって歩き出す。
「認めたのね!勝てなくても文句を言わないでよ!火の槍よ、敵を貫け『ファイアランス』」
「……」
エリザお嬢様は当たる直前に一歩斜め前に踏み出し避ける。
「避けるんじゃないわよ!火の槍よ、敵を貫け『ファイアランス』」
「……」
今度は盾に魔力を纏い、受け止める。
ぼんっと爆発する。
「あっははは、は?」
無傷で何事もなかったかのように自分に向かって歩くエリザお嬢様に驚くモモティルナ。
「魔法を使ったんでしょ!」
「使ってません。」
「『ファイアボール』『ファイアボール』『ファイアボール』」
エリザお嬢様は二つをショートソードで斬り、最後の一つをシールドバッシュし、モモティルナに返す。
モモティルナが慌てて横に飛ぶ。
「魔法を使っているでしょ!」
「使ってません。」
「嘘よ!あ!その武器が魔法武器なのね!」
「違います。」
「普通の武器に見せかけてるなんて、なんて卑怯なの!」
「……」
エリザお嬢様がショートソードと盾を地面に置き、モモティルナに向かって歩く。
「武器を置いて何?認めたの?土下座でもして謝るつもり?」
モモティルナは魔法を使わない、武器を置いたエリザお嬢様に接近を許す。
エリザお嬢様は拳を軽く握りしめ、肩幅に足を開き、左足を半歩前に出し、右足を半歩後ろに引いて少し腰を下げる。
「な、何しているの?」
右方向に体を捻るエリザお嬢様。
「ま、まさ、ぎゃああああああ」
「ふぅ……」
モモティルナの顔面に当たる瞬間、拳に力を込め叩き込んだ。
「モモっ!」
「いい加減にしてくださいっ!」
「ぐっ……」
モモティルナが顔面を殴られて吹き飛ぶ。
右拳を振り抜いたエリザお嬢様が再びモモティルナに歩き出す。
助けに行こうとするホルスディンにキレたアリナ嬢が容赦なく後頭部に一撃を入れ、ホルスディンが気絶し倒れた。
「あ、あ、がおがあああ」
エリザお嬢様は接近し、顔が顔がと呻くモモティルナを見下ろす。
「ひぃっ!ごう」
エリザお嬢様は言いきる前に踏み出した右足をすっと自身の頭まで上げモモティルナの頭に振り落とした。
綺麗なかかと落とし。
か、格好良すぎるっ!
さらに惚れてしまうわっ!
「がっ……」
モモティルナは地面に顔が埋まり、ぴくぴくと身体が動く。
「「勝者、エアルリーザ(アリティーナ)!」」
「「「聖女様あああ!」」」
「「「モモ(モモさん)!」」」
教会の者と逆ハーレムメンバーがモモティルナに駆け寄る。
埋まる顔を出すと鼻血が出て歯が折れていて白目を向く酷い顔をしていたモモティルナ。
ざまあみろと心の中で言ってやった。
エリザお嬢様が戻ってきて二言。
「最後少し身体強化を使ってしまったわ……気づかれないかしら……」
エリザお嬢様は相当頭に来ていたようだ。
当然「ナイスですエリザお嬢様!」と称賛しましたさ。
残り十七回戦の結果は
ーーーーー
あとがき
最後まで読んでいただきありがとうございます。
面白くなってきたら☆を足してくださいな!
フォロー応援もよろしくお願いいたします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます