第73話 四回戦 ホルスディンと会話

ホルスディン第一位ラハートフ第十七位

モモティルナ第二位リョーレン第十六位

エアルリーザ第三位ナルストラ第十五位はエリザお嬢様の勝利、瞬殺。

アリティーナ第四位イーサ第十四位はアリナ嬢の勝利。

スタルード第五位ナトナ第十三位はスタルード様の勝利。

アソトー第六位エンダース第十二位はエンダース様の勝利、瞬殺。

ミサイト第七位タダシュ第十一位はタダシュ様の勝利、瞬殺。

ウィンドル第八位クロッシュ第二十位はウィンドル様の勝利。

マリダット第九位カシュエ第十九位はカシュエ嬢の勝利。

ルシュカ第十位ショコラン第十八位はショコランの勝利。


ホルスディンが開始前から突っかかっている。


「「はじめっ!」」


激情しているホルスディンが速攻で接近してきて鍔迫り合い。

至近距離で怒鳴ってきた。


唾が飛んできた……

汚い……


間に結界を張る。


「よくもモモに傷をつけたなっ!」

「多少の傷がつくのは仕方がないじゃないですか。」

「なんだとっ!」

「王子様がそんな喚いていると格好悪いですよ。」

「きさまっ!」


押し少し離れると連続で剣を振るってくる。


「だから静かに話せよ。お前に怒鳴られるとぷちっとしたくなる。」

「っ?!」


今度は俺達の周りに防音の結界を張る。


「なぁ、殿下。モモティルナを愛しているなら、エリザお嬢様と婚約破棄して、モモティルナと結婚したらいいじゃないか?」

「……今は、その時期じゃ、ないらしい。」

「……そうか?大勢がいるこの武術大会で言うのは絶好の機会だと思うぞ。」

「……確かに。」

「おい、戦っているふりをしろ。」

「あ、あぁ。」

「試合前に『婚約破棄する。真実の愛を見つけた。モモティルナと結婚する』とか宣言すればいいじゃないか?王子と聖女はお似合いだって噂も流れているから誰もが大賛成、祝福してくれるさ。」

「そんな噂が?」

「あぁ、そうだ。よかったな。」

「……お前は、エリザの従者じゃ、ないのか?」

「専属従者だ。」

「……なぜだ?」

「可哀想だから。王妃教育とか色々頑張っているのに、蔑ろにする相手と結婚なんて辛いだろ?」

「最低な女を、蔑ろにするなんて、当たり前だろっ!」

「……最低な女?どこがだ?」

「奴隷、孤児、使用人、民達を、嗜虐している。」

「はあ?どこ情報だよそれ、エリザお嬢様はそんなことはしていない。あ、尻軽聖女か。」

「モモは、尻軽とかじゃ、ないっ!」


ホルスディンが力を込めたから、押されたふりをして一旦後退する。

すぐに突っ込んできて連続で振るってくるのを受け流したり避ける。


「殿下以外の男を侍らかしているけどな。」

「モモは、そんなこと、してないっ!」

「えっ?いやいつも侍らかしているじゃないか。その目は節穴か?あ、節穴だな。見ようとしてない?まぁ、いいか。さっきのことはモモティルナから聞いたのか?」

「そうだっ!モモが、エリザは、酷い人だから、やめた方が、いいって、言ったんだ!」

「それを鵜呑みにしたの?確認とかした?」

「その必要は、ないっ!」

「信じすぎじゃないか?」


ホルスディンなりの猛攻が続く。


モモティルナ戦の前にこのことを知っていれば……


「エリザお嬢様はそんなことしていない。」

「嘘だっ!」

「ほぼエリザお嬢様と一緒にいる俺はモモティルナを学園の入学試験まで会ったことも見たこともない。オルヴェルド公爵家の使用人達がそんな嘘を言いふらす訳もないし領民から姫扱いのお嬢様を悪く言う人もいない。万が、億が一、そのようなことをしていたら、モモティルナはどこでそれを知ったんだ?いつから偽りの情報を言われてきたんだ?あ、いや、言わなくていいや。あんたはエリザお嬢様と婚約破棄してくれればいいや。」

「……」

「あんたとモモティルナなんてどうでもいい。エリザお嬢様を、侮辱しなければ「っ!?」な。」


飛んで後退するホルスディン。


「エリザお嬢様との試合前に婚約破棄を宣言してくれよ。それでモモティルナと結婚できるんだからハッピーエンドだろ?」

「」

「あっちも終わりそうだし、こっちも終わらせるか。」

「!?モモっ!」


防音の結界を解除するとモモティルナの悲鳴が聞こえた。


リヨンお兄様の金棒が当たって骨が折れたのだろうな。


俺は視界に二人の試合が入っていたから外の音が聞こえなくても状況がわかっていたが、ホルスディンは気づいていなかったようだ。

ホルスディンが我武者羅に剣を振るう。


「ホルスディン様の実力じゃ助けに行くことは無理ですよ。」

「くっ!」

「それに、これは試合ですよ?試合放棄して乱入するなんて、王子様がしていいことですか?」

「退けえええ!」

「試合放棄したら全勝、あ、もう負けてるか。」

「き、きさまあああ!」

「そんな遅い大振り当たりませんよ。的人形や死体にしか当たりませんよ。」

「きさまあああ!」

「なんという体たらく……十歳になる前に模擬戦した時から全然成長してないじゃないですか?弱すぎですよ。」

「ぐっ!」


「勝者、リョーレン。」


「あっちは終わりましたね。」

「モモっ!モモっ!」

「最後まで降参を言わないなんてモモティルナ嬢は根性がありますね。」

「きさまあああ!」

「同じく敗因にしましょう。モモティルナ嬢と同じ、嬉しいですよね。まず右腕、」

「ぎゃあああ」

「右肩、」

「ぎゃああああああ」

「左腕」

「こ、こう「右足」ぎゃああああああ」

「最後に顔に振り下ろすっと。」


ぎりぎりのところで寸止め。


「……」

「気絶、失禁も同じですね。お似合いです。ホルスディン様も根性がありますね。」

「勝者、ラハートフ。」


ーーーーー

あとがき

微ざまぁ?


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