第72話 三回戦
魔法の天才のリヨンお兄様は天才の中の大天才のエリザお嬢様には勝てなかった。
「よくもモモの勝利を奪ったなっ!」
「は?」
「絶対お前に負けないからなっ!」
「頑張ってください。」
「いつまでその余裕な態度を取っていられるかな。」
「はぁ。昔の方が頭がよかったんじゃない?」
「なんだとっ!」
ホルスディンがシーラお姉様に突っかかっている。
モモティルナが俺に近づき、小声で話しかけてきた。
「(ラハートフ様、わたしを勝たせてくれたら、あの女から解放してあげますよ?)」
「……」
「(逆らえないんですね。だいじょ)「はじめてください。」(まだ話が終わってません。暴力をされているんですか?家族が人質にされているんですか?)」
「……」
「(私が、教会がラハートフ様達を助けます。)」
「はじめてください。」
「こ、後悔しますわよっ!」
こいつは、俺をイライラさせる、怒らせる天才だな……
武器をモモティルナに向けて離れるよう促し、審判を見る。
「はじめっ!」
「は、はじめっ!」
魔力の糸を周囲に展開する。
「『ファイアボール』」
モモティルナのファイアボールが魔力の糸に接触した瞬間、魔力奪取をしてファイアボールの魔力を全て奪い取り消し去る。
「なっ!何をしたのっ?」
「……」
「『ファイアボール』『ファイアボール』『ファイアボール』」
三つのファイアボールが飛んでくる。
さっきと同じく消し去る。
モモティルナは何度も飛ばしてくる。
驚愕した顔が少しだけ見れて面白かったが、同じことの繰り返しで飽きてきた。
シーラお姉様が制御を奪ったのを思い出し、真似て制御を奪い取ってみる。
何度目かに成功し制御を奪い取ったモモティルナのファイアボールを頭上に浮かべる。
どんどん飛ばしてくるファイアボールも制御を奪い取り浮かべる。
「私のっファイアボールよっ!返しなさいよっ!」
「わかりました。」
言われた通り、全部のファイアボールを髪、手や足を狙って返す。
「モモっ!」
「行かせないわよ。」
「邪魔をするなあああ!」
「今のあなたの相手は私よ。」
ふっ、可笑しいことを思い浮かべ笑ってしまった。
ホルスディンとシーラお姉様のやりとりを聞いて、
実際は
こいつらが主人公とヒロインなんてあり得ない。
物語ではないから当然都合よくピンチに助けることなんてできないし、ホルスディンの実力じゃシーラお姉様を突破できるわけがない。
回復魔法があるんだ、そこで見てろクソ野郎。
モモティルナがファイアボールを飛ばしてきて数個だけは相殺されたが、残りのファイアボールがモモティルナに当たり炎上、悲鳴を上げ地面を転げ回る。
「あついいたいいたいいたい」
「モモおおお!」
プチウォーターやプチアースを自分にぶっかけて消せばいいのに……
その後聖女様とか呼ばれているんだからクリーンしてヒールをすればいいだろ……と思うだけでただ悲鳴を上げ転げ回るモモティルナを見る。
「退け退け退けえええ!」
「あーもうっ!うっさいわね!」
「ぐああああああ。」
ホルスディンがキレたシーラお姉様の一撃に吹き飛ぶ転がる。
モモティルナに手を伸ばし「モモ……」と愛称を呼び気絶した。
「自分の戦いに集中しなさいよね!全く!」
「勝者、ショコラン!」
プチアースで砂をモモティルナにぶっかけるとまた悲鳴を上げる。
「ぎゃああああああ!いたいいたいいたいいたい」
「ほら、火が消えましたよ。クリーンで綺麗にして、回復魔法を自分に使いましょう。」
「いたいいたいいたい」
「……」
「いたいいたいいたいいたい」
「……『プチクリーン』綺麗にしましたよ。早く回復魔法を使え。」
「ひぃっ!ひ、『ヒール』『ヒール』『ヒール』、ーー『スーパーヒール』、ーー『ハイヒール』」
中級、上級の回復魔法の詠唱していた。
おいおい、お前聖女様なんだろ?
お嬢様は無詠唱で使えるぞ。
アリナ嬢もエンダース様も上級は詠唱破棄しているぞ。と中級すら詠唱破棄をしていないモモティルナの回復魔法の熟練度に驚き呆れる。
「よ、よくも私の身体にっ!傷をつけたわねっ!」
「……」
「許さないんだからっ!業火の炎よ、我の敵を焼き尽し、灰にしろ『ハイフレア』」
「……」
「「「特級魔法っ!」」」
「ラハートフ君逃げるんだっ!」
モモティルナの頭上にモモティルナより大きい大玉の火玉が現れる。
一時期よく見た。
養母のニルサリア母上が好んで使う魔法だ。
ハイフレアは大爆発からの大炎上する広範囲特級火魔法だ。
対処方が見つかるまでは爆心地から地を走るか空に飛んで離れて逃げるだけだった。
対処方はシャボン玉結界と、たぶん魔力糸からの魔力奪取でいけるはずだ。
シャボン玉結界は外から入れるけど中から出れない盗賊ホイホイの結界の魔法版。
シャボン玉結界を設置しといて、ハイフレアに魔力糸を何十本も伸ばし接触、魔力奪取をする。
「いっけー!」
「「「逃げろおおお!」」」
「……」
俺に飛んでくるハイフレアが急激に小さくなり消滅した。
「「「はっ?!」」」
「「「なっ?!」」」
「「「えっ?!」」」
「なっ?!なんでっ?何したのっ?!」
「終わりですか?」
「ま、まだよっ!もう一度!業火の炎よ、我の敵を焼き尽し、灰にしろ『ハイフレア』」
同じく魔力奪取をして消滅させる。
「ど、どうして……」
「終わりですか?」
「くっ……」
「では私の番ですね。(『プチファイア』)」
「なっ?!」
モモティルナがハイフレアと同じく大きさのプチファイアに驚愕し、青ざめる。
「いけ。」
「ま、まま待って!」
「待ちません。あなたは同じものを私に飛ばしたんですよ?同じことされても文句を言わないでください。」
ゆっくりと近づける。
モモティルナが振り返り背を向けて逃げるが、足を縺れ転ぶ。
「あ、あ、あ」
這いながら逃げるモモティルナのすぐ近くまで来たプチファイア。
逃げ切れないことを察し、恐怖と先程の痛みを思い出し、顔を涙と鼻水で汚し悲鳴を上げ倒れた。
失神、失禁した。
髪の毛をちりちりにしてからプチファイアを消し、審判を見る。
「しょ、勝者、ラハートフ。」
「俺は好きでエリザお嬢様の側にいるんですよ。って言っても聞いていないか……」
エリザお嬢様の下に戻る。
ちゃんと無様な格好はカメラ?に映っていたかな?
ーーーーー
あとがき
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