第71話 二回戦
「やられてしもうた~。」
「うおおおおお!」
棒読みで早々にやられたふりをしたカシュエ嬢に勝ったホルスディンが勝利の雄叫びをあげている。
あれ?デジャブ?
やっぱりホルスディンが格好悪いと思った。
やっぱり観客もなんか無理して盛り上がっている感じがする。
モモティルナが開始前にシーラお姉様に何かを言った。
珍しくモモティルナに笑顔を見せるシーラお姉様。
「「はじめっ!」」
なんとっ!
シーラお姉様が突っ込まないっ!
珍しい……
槍だけでモモティルナの魔法を相殺している。
シーラお姉様は相殺しながらモモティルナに近づく。
引きつった笑みをするモモティルナ。
近距離で魔法を放たないモモティルナは長杖を振り下ろす。
それを槍で弾くお姉様。
お姉様に向かって長杖を振るう。
また弾くお姉様。
何度か繰り返し、今度はお姉様が突く、振り下ろし、振り払い槍で攻撃をする。
モモティルナに合わせて。
徐々にその攻撃の間隔が速くなっていく。
「ちょっ!は、話が、違うじゃないっ!」
笑顔のお姉様。
「ちょっ!は、速い、わよっ!」
変わらず笑顔のお姉様。
「ひぃっ!」
モモティルナが耳のすぐ横を突かれて悲鳴を上げる。
お姉様はモモティルナの手を突き長杖を離した瞬間遠くに弾き飛ばし、首に槍を突き立てる。
「降参する?」
「……降参、するわけないでしょっ!『ファイアボール』」
お姉様は火の玉を槍で突き、制御を奪ってモモティルナの顔に突き立てる。
「あつっ!」
「降参「モモから離れろっ!」!」
シーラお姉様の背中をホルスディンが剣を振り下ろす。
お姉様は振り返りながら槍を薙ぎ払う。
吹き飛ぶホルスディン。
「ぐわああああああ。」
「ホルス様っ!あなたはっ!『ファイアボール』」
モモティルナが背を見せているお姉様に再度火の玉を放つ。
お姉様は避け石突で顔面を殴り、みぞおちを突いた。
吹き飛び転がり止まる。
モモティルナもホルスディンも気絶して動かない。
他の学年の試合の音以外なくなる。
闘技場の静けさ。
お姉様が審判を見る。
「はっ!しょ、勝者、ショコラン。」
まさか王子が乱入してきて、背中から攻撃を仕掛けてくるとは誰も思わなかっただろう。
またやらかした二人に実況者も解説者も観客も沈黙。
お姉様が戻ってきた。
「ひどいわね。」
「ひどいね。」
「……そうね。」
「「「……」」」
「まぁ、切り替えていきましょう。ラハートフ、楽しい戦いをしましょうね。」
「はいっ!」
「僕達も楽しもうね。」
「……は、い。」
「「はじめっ!」」
あぁ、エリザお嬢様が俺を見ている。
一瞬微笑んだ。
楽しい戦いか。
よしっ!
期待に応えられるよう頑張ろう!
エリザお嬢様が火の矢を放ってきた。
プチファイアの矢で放ち相殺し、今度は俺からプチウォーターの矢を放つ。
お嬢様が水の矢を放ち相殺される。
他の属性の矢を放ち合い相殺し合う。
今度は武器と体術で戦う。
攻めと受けを繰り返す。
振り下ろしを盾で受け流されショートソードの突きが来る。
身体を反らし避けさらに自分を追いかけるように振られてくるショートソードを武器を戻し防御する。
上へ払い上げ、振り下ろす。
盾で受け止められる。
力を込めて押し離し一旦距離を取る。
お嬢様へ走り出し突きを放つ。
横に避けられてすぐに水平斬りをするも姿勢を低くして避けられる。
アッパーをするかのように突き上げる盾が迫る。
一歩後退し逆水平斬り、ショートソードで受け流され、シールドバッシュをされ後ろに飛ぶ。
体勢を立て直した時にはすぐ目の前に突きを放つお嬢様がいた。
技術面では凡人の俺が天才で努力家のお嬢様に勝てないか……
身体強化をして避け、お嬢様の腕を掴み、突きの力を利用して投げる。
投げて空中にいるお嬢様に魔法を放ち、俺もお嬢様に向かって飛ぶ。
魔法を放たれ、弾き、受け止めて隙のできたお嬢様に剣を振るう。
エリザお嬢様は寸でのところで身体を捻って避ける。
すぐに返して剣を振るう。
吹き飛び、追撃のため追いかけながら魔法を放つ。
お嬢様は空中で体勢を整え、魔法を放ち突っ込んでくる。
一回転し遠心力をつけた振り下ろすを仕掛ける。
エリザお嬢様が盾で受け止めようとする。
当たる寸前にさらに身体強化をして叩き込む。
力負けして地面に背中から衝突するお嬢様。
着地し、剣を突き立てる。
「降参よ。」
「勝者、ラハートフ!」
手を差し出し立たせる。
「『プチクリーン』技術面で勝てなくてごり押ししてしまいました。」
「じゃあもっと身体強化を鍛えていつか勝ってみせるわ。」
「身体強化だけは負けないようにします。絶対。」
「ふふっ。」
満面の笑みじゃないけど、笑顔を見せたエリザお嬢様に見惚れた。
ーーーーー
あとがき
23:59ギリギリセーフ!
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