第70話 一回戦 2
「一回戦三試合目は天才剣士対聖獣使いの比翼の試合!前衛の天才剣士が有利でしょうか?」
「先ほどの聖獣使いの比翼のお姉さんの動きを見ると弟君の方もなにかあるかもしれませんね。」
「たしかにっ!リョーレン君の武器はお姉ちゃんのショコランちゃんとは違い、体格に合わない大きな金棒ですね?」
「あれが見た目通りの重さなら、リョーレン君はパワータイプなのかもしれませんね。」
「ショコランちゃんがスピードタイプでリョーレン君はパワータイプですか。」
「対してスタルード君は体格と指導者に恵まれパワーもありのテクニックタイプですね。」
「近衛騎士団団長、直々ですからね。楽しみですね!」
「よろしくね。」
「あぁ、よろしく。」
「「はじめっ!」」
リヨンお兄様がスタルード様に向かって大きく飛んで一回転からの金棒を叩き下ろす。
スタルード様は大きく後退する。
どがあああああああああん!
スタルード様がいたところを大きく陥没する。
「なななんという破壊力っ!」
「す、凄いな……」
「ひぇー、あんなの当たったら潰死です。リヨン様と戦いたくありません……」
「当たらなければいいのよ。」
「ちゃんと相手の実力に合わせているから大丈夫ですよ、たぶん。」
「た、たぶんって言いましたよね?ラハートフ様っ!目を逸らさないでください!こっちを見て言ってください!」
「大丈夫ですよ。」
「エリザ様!」
「アリナさんならあれくらいなら骨にひびが入るくらいでしょう。」
「えええ?それ全然大丈夫じゃないですよっ!」
俺達は楽しく?観戦しているが、他のクラスメイト達は顔を青ざめさせている。
スタルード様がリヨンお兄様に向かって走る。
お兄様が金棒を薙ぎ払う。
スタルード様がそれを飛んで避け、空中で逆さまでお兄様の後頭部に剣を水平斬り、ごんと音が鳴りお兄様が前のめりになる。
お兄様の後方で着地したスタルード様は間いれず背中に剣を振り下ろし斬り上げ袈裟斬り水平斬りと連続で剣を振るう。
「いったいなーっ!」
お兄様が片手で金棒を振り払う。
スタルード様は姿勢を低くして避け後方に飛ぶ。
「相変わらず硬いな。」
「硬くなってても痛いんだよ!手加減してよ!」
「いや、お前が手加減しろよ。お前の攻撃を受けられないんだよ。」
スタルード様の言葉にアリナ嬢がうんうんと頷く。
「スタルード君の猛攻を受けてもリョーレン君はぴんぴんしています!」
「凄いな……」
大興奮の実況者、感心の言葉が漏れる解説者。
スタルード様はお兄様の走りながら金棒を振るう攻撃を避け、通り様に腹を斬る。
お兄様はすぐに金棒を横に払うが当たらない。
「さすがにこれだけじゃスタルードには勝てないかー。」
「……使うのか?」
「だって僕、魔法使いだよ?」
「……そうだな。」
「『アロー』」
「えっ?」
「はっ?」
ファイアアロー、ウォーターアロー、ライトアロー、あとたぶんウィンドアローもある。
それが複数、お兄様の頭上に浮かぶ。
「詠唱破棄っ?!同時使用っ?!」
「凄いな……」
「行っくよー。」
魔法を放つかと思ったら、スタルード様に向かって走り出した。
魔法が来ると身構えていたスタルード様は少し反応が遅れたが、金棒の攻撃を避ける。
そこにアローが来る。
武器で防ぐ、しゃがむ、横に飛んで避ける。
しかし、スタルード様は絶妙にタイミングをずらして飛んでくるアローを避けきれず受けてしまう。
「ぐっ。」
アローに紛れ金棒の薙ぎ払いを受けて吹き飛んで転がるスタルード様。
すぐに立ち上がり片手で武器を構える。
もう一方の片手はぶらぶらと力なく下がっている。
リヨンお兄様が容赦なくアローを放ちながら走り出し金棒を振るう。
金棒を大きく避けアローを最小限の動きで避け反撃をするスタルード様。
だが、お兄様の身体強化を破れない。
避けるのを止め片手で上段に構えるスタルード様。
それを見てアローを解くお兄様も上段に構える。
両者間合いに入ったとき同時に振り下ろす。
すっと振り下ろされたスタルード様の剣が金棒を途中まで斬り込んだところで止まる。
お兄様は金棒を捻って剣を折って再度振り上げ振り下ろそうとしてなぜか止めて、ゆっくりとスタルード様の頭にこつんと金棒を当てる。
スタルード様が立ったまま気絶しているようだ。
「勝者、リョーレン!」
「「「おおおおおおおおお!」」」
リヨンお兄様とスタルード様に健闘の拍手と歓声が送られる。
一方アソトー対ナルストラはナルストラの勝利。
ぐだぐだの試合をしていたらしいが、黄色い歓声がされていたらしい。
以降の一回戦の試合はミサイト対イーサはミサイトに何か言われたイーサ嬢が静かなる怒りを纏い、ミサイトが一方的にヤられてイーサ嬢の勝利。
ウィンドル対ナトナはナトナ嬢の素早い動きと多彩な妨害の魔法にぼこぼこになりそうになりウィンドル様が降参し、ナトナ嬢の勝利。
マリダット対エンダースは開始前に「お前なんかに負けるかっ!」と言ったマリダットだったが瞬殺(死んでいないよ。)、心を入れ替え訓練など経験を積んできたエンダース様の圧勝、勝利。
ルシュカ対タダシュはおどおどのルシュカ嬢とそのルシュカ嬢を応援する観客にやりにくそうにするタダシュ様。
ルシュカ嬢は何気に「ひぇー。」と言いながらタダシュ様の攻撃を避けていた。
最後はルシュカ嬢の体力が切れて、刀を突き立てられて降参、タダシュ様の勝利発言にブーイングが少し。
タダシュ様が可哀想だった……
ルシュカ嬢も申し訳なさそうだった……
ーーーーー
あとがき
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