第63話 野外実習 4

「ラハートフ、オークを囲うように結界を張りなさい。」

「わかりました。」


エリザお嬢様の言う通りオークの逃走をさせないために周りの結界と同じ結界をオークどもを囲うように張る。


「結界を張りました。」

「ありがとう。」


エリザお嬢様が皆を見る。

不安な表情のアリナ嬢、強張る表情のウィンドル様、変わらない無表情のナトナ嬢、気合いの入った表情のエンダース様。


「ラハートフ、テーブルと椅子を出して。」

「はい。」


六人が余裕で囲める丸テーブルと椅子、いつもの(メリルさん特製)紅茶とドライフルーツを出す。


「三人は座って観戦でもしていて。」

「ほ、本当に大丈夫なのー?殿下達と協力した方がよかったんじゃないの?」

「誤爆されても、しても困りますから、邪魔なだけなのでいりません。」


ちらっとエリザお嬢様が俺を見た。

なんでだ?

考えても実行はしないですよ……たぶん。


「気を使わなくてもいいしな。」

「え、救援が来るまでこの結界の中にいた方がいいんじゃないかな?」

「籠城はできるわね。ラハートフがいるから食料の問題もないわね。」

「はい。エリザお嬢様との野営も準備万全、人数が増えても何年でも過ごせます!」

「何年も森の中にはいたくないかな……」

「殲滅して、周辺に他のオークがいないか探索して帰りましょう。」

「オークキングだよっ!」

「えぇ、オークキングなら何度か斃したことがあります。」

「「えっ?」」

「ほ、本当?」「ほ、本当ですか?」

「はい。信じられませんか?」

「「……」」

「じゃあ、ラハートフ、オークキングを殺っちゃいなさい。」

「わかりました。」

「「え?ちょ、一人で」」


ウィンドル様とアリナ嬢が何か言っていたようだが、俺は身体強化をして跳び開いている一部から結界の上に上がる。


オークキングを視界に捉える。

義姉兄なら見えて警戒していただろうな。


圧縮したライフリングされた筒とライフル弾を二つずつプチウィンドで作る。

近くで見れば何かあるなと思うだろうけど、離れていればわからない。

銃口を向けらてもわからないだろう。


オークキングの頭と心臓に狙いをつける。

囮に火球プチファイアを数個浮かべておく。

ライフル弾の後ろに圧縮圧縮圧縮したプチウィンドとプチファイアを生成、すぐに解放する。


ばあああんっとした後、オークキングが頭と胸に穴を空け倒れる。

その後ろにいたオークども数体が貫通した弾に突かれ絶命、瀕死、傷を負った。


数秒静寂に包まれる。


オークキングの近くにいたオークが叫び、逃げ出した。

そこから混乱が広がる。

オークジャネラルの上位種どもが落ち着かせようとしているみたいだが、呆気なくオークキングが斃されたことに恐怖するオークどもをとめることができないでいる。


結界内に戻る。


「オークキングを斃しました。」

「ご苦労様。」

「えっ?え?本当にオークキングを斃したの?」

「はい。頭と心臓を撃ち抜いたので確実です。」

「大混乱、あり得る。」

「そういうことよ。じゃあ、ラハートフ、お兄様、残りを片付けましょう。」

「手伝う。」

「わ、私も!」

「……数を減らしてから、お願いしようかしら。」

「それでいい。」

「わかりました。」

「ぼ、僕、減ったら手伝う。」

「わかりました。では、いきましょう。」

「あぁ。」「はい。」


俺達は結界の上に立つ。


「上位種を一体ずつ残して減らしましょう。」

「ウィンドル達の経験の為か。」

「ええ、良い経験になるでしょう?」

「はい。」

「そうだな。」


上位種を一体ずつ結界で囲った。


エリザお嬢様が一頭身大のドラゴンプチウィンドを数体作りオークへ放つ。

首に噛みついたり翼や爪で掻っ切ったりしてオークを斃す。


エンダース様は蛇プチウィンドを数体放つ。

こっちも首に噛みついたり首を締め付けたり口の中に入り窒息死させたりして斃す。


俺は斃されたオークの血抜きついでに、血を使い赤いリヴァイアサンプチウォーターを作っていき斃していく。


俺達は結界周辺がいなくなり地面に下りる。

俺はプチボックスに斃したオークを収納しながら、二人の援護をする。


万が一があっては嫌だから……


エリザお嬢様はオークの力を物ともせず盾で防ぎ首や目、口に剣を突き刺すのを繰り返していく。

エンダース様もオークの力を物ともしていない。


ううう、あのクソガキが成長したなぁ……

今はクソガキだとか思ってないぞ……

本当だよ?


二人は防ぎ避け弾き返して一振り、または攻撃される前に一閃で斃していく。

上位種はアリナ嬢達に手本を見せるかのように戦っていた。


攻撃は基本受けずに避ける、

受けたとしても受け流す。


彼女達の身体能力だと力負けしてしまうからだろう。


傷をつけていき鈍ったところに止めを刺す。

二対一でエリザお嬢様が前衛でオークを引き付け、後衛のエンダース様が魔法で傷をつけていく戦い方も見せていた。


十分もしない内に上位種一体ずつと数体のオークを残し斃した。

アリナ嬢達のいる結界内に戻るとアリナ嬢が顔を赤くして興奮していた。


「皆さん!お疲れ様です!本当に余裕で驚きました!凄かったです!格好良かったです!」

「凄かった。」

「す、凄かった。」

「「ありがとう。」」

「ありがとうございます。」

「次はあなた達の番よ。三人で協力して戦いなさい。」

「はい!」

「は、はーい。」

「わかった。」


三人はどう戦うか話し合いを始めた。

俺は自分達にプチクリーンをかけ、紅茶とドライフルーツを出して話が終わるまで待った。


ーーーーー

あとがき

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