第62話 野外実習 3
「なんで?なんでっ?オークキングがいるのよっ!」
「モモっ!落ち着いて!ミサイト達に回復魔法を使ってくれ!」
モモティルナ達がオークキングどもに囲まれている。
モモティルナ以外はどこかしら怪我を負っていてホルスディン以外の者は倒れている。
「ラハートフ、殿下達の周りに結界を張ってくれ。エリザとアリナ嬢は殿下達に回復魔法を。ウィンドルとナトナ嬢は結界内で殿下達の側にいてくれ。」
「わかったわ。」
「わかった。」「は、はーい。」
「「わかりました。」」
のんびり屋のウィンドルが強張っているのがわかる。
ナトナ嬢は、変わらないな。
四角形の天井の一部を開けてオークども魔物を拒み魔法と物理を反射する結界を想像して魔力増し増しで張る。
グリフォンプチウィンドが開けた一部から結界内に入っていく。
グリフォンの登場に双方動きを止める。
モモティルナが喚く。
「オークキングの次はグリフォンっ!なんでっ?なんでなのよっ!」
「モモっ!僕が隙を作るっ!その内に逃げてくれっ!」
「だ、駄目です!」
「生き残りにはこれしかないんだ!」
「ホルス……」
「モモ、君は生きてくれ。」
「ホルス……う、ううう。」
「モモ……」
「「「くっ……」」」
「「「……」」」
俺達に気がついていないモモティルナとホルスディンは涙を流し抱き締め合う。
逆ハーレムメンバーは悔しそうな表情をしている。
なぁ?
どう声をかければいいと思う?
ほら、俺ら全員気まずい顔をしているよ。
エリザお嬢様だけ珍しくしかめっ面だよ……。
エンダース様、ほら、声をかけて、早く。
エンダース様が頷いてくれた。
伝わったようだ。
「殿下っ!助けに来ましたっ!」
「「!」」
「「「!?」」」
「エンダース様っ!」
「「「エンダース!」」」
「エンダース……エリザ。」
二人だけじゃないぞ……。
俺達は地面に降りる。
俺はオークの様子を見る。
エリザお嬢様とアリナ嬢がグリフォンから降りてホルスディン達に回復魔法をかける。
ドンドン、バンバン
「ブモオオオ!」
「「「ブモオオオ!」」」
オークどもが動きだし、結界に気がつき攻撃し始める。
結界は、大丈夫そうだな。
「「「!?」」」
「な、なにが……」
「どうして?」
「結界を張ったので大丈夫です。」
「そうか……」
「「「ふぅ……」」」
「さすがエンダース様!そのグリフォンを使役しているんですかっ!」
「あ、あぁ。」
「凄いです!」
エンダース様が乗っているグリフォンに抱きつくモモティルナ。
さっきまで涙を流していたのに、殿下達の怪我を治さないし、こいつの行動っておかしいよな……
「このグリフォンで逃げるんですか?」
「いや、斃す。」
「そんなっ!まだ無理ですよ!逃げましょう!」
「そうだ!エンダース!降りてそのグリフォンに命令して僕とモモを逃がすんだ!王族と聖女を逃がすなんて名誉だぞ!」
「ホルス様!それじゃあエンダース様!」
「モモ、僕は王族、エンダースは配下、僕達を助けるのは当たり前なんだよ。」
「そんなっ!私の為にエンダース様が助けに来てくれたのに!」
「僕とエンダース、どっちが大事なの?」
「ホルス様もエンダース様も皆、大事です!」
「モモは、優しいね……」
え?優しい要素どこにあった?
わからん。
「エンダース様も一緒に逃げましょう!二人乗りすれば逃げれます!」
「モモティルナ嬢。」
「もう!モモって呼んでくださいって何度も言ってますのに!」
「……誰かがオークどもと対峙していないと追っかけきて、他の者が被害を受けます。俺達が引き付けているのでモモティルナ嬢達は救援を呼んできてください。」
「エンダース様が犠牲になる必要なんてありませんっ!そこの令嬢とモブ達が囮になればいいんですっ!」
「!」
「「「クワアアア!」」」
グリフォンが咆哮して立ち上がり、翼を羽ばたかせる。
膨大な魔力が吹き荒れる。
「「「ひぃっ!」」」
「「「くっ!」」」
「「「うわっ(きゃっ)!」」」
「な、なにっ?」
「ラハートフっ!」
エンダース様、ウィンドル様、ナトナ嬢がグリフォンから落ちたのにはラハートフは気がついていない。
真っ赤に染まる視界でモモティルナだけを見ている。
こいつは、誰を指して、誰を囮にするって言った?
「え、エンダース様っ!そ、そのグリフォンを止めてくださいっ!」
「い、いや、無理だ。ラハートフっ!止まれっ!」
「こ、こっち来ないで!」
モモティルナが尻餅をついて後退する。
ラハートフが追いつきモモティルナを見下ろす。
モモティルナは羽を逆立てるグリフォンと憤怒の表情のラハートフに恐怖し失禁、失神してしまう。
グリフォンが前足を振り上げる。
振り下ろす時グリフォンとモモティルナの間に立つ令嬢を見てグリフォンは動きを止める。
「ラハートフっ!」
「え、エリザお嬢様、?」
ゆっくり前足を下ろすグリフォン、吹き荒れる魔力が収まる。
「ラハートフっ!」
「は、はい!」
「私はオークごときにヤられるかしら?」
「い、いえ、エリザお嬢様なら蹂躙できます。」
「あなたとお兄様がいれば余裕よね?」
「は、はい。」
「じゃあ、さっき言われたことは気にしなくていいじゃない。」
「え?いや、でも、」
「気にしなくて、いいの。」
「は、はい!気にしません!」
「物分かりが良くて、よろしい。」
エリザお嬢様はちらっとモモティルナを見て、殿下の方へ向く。
「私達は引き付けますので、殿下達はお逃げください。ラハートフ、モモティルナさんをグリフォンから落ちないように縛りつけなさい。」
「わかりました。」
「モモを雑に扱うな!僕が支えていく!」
「一体に一人です。高く飛べなく攻撃を受けてもいいんでしょうか?」
……二人乗りできるんだけどね。
「くっ……」
「早く縛りなさい。」
「はい。」
うわあ、濡れてる、汚い。
プチウィンドで包んでグリフォンに乗せる。
本物のグリフォンじゃなくてよかったな。
汚れて可哀想だもんな。
新たにプチウィンドを縄状にしてグリフォンとモモティルナをぐるぐる巻く。
ささっと結界の外に森の外の方に飛ばす。
「モモっ!待って!」
「「「モモっ!」」」
逆ハーレムメンバーが急いでグリフォンに乗って追いかけ飛んでいく。
モモティルナがいたところと結界内をプチクリーンしとく。
「……エリザ様、大丈夫なのでしょうか?」
「えぇ、私とラハートフ、お兄様で殲滅します。アリナさん達はここで待っててください。」
「さ、三人でこの数を?」
「余裕でしょう。安心して見ててください。」
エリザお嬢様が三人を安心させる微笑みをする。
安心させられてしまう!
格好良すぎますエリザお嬢様!
ーーーーー
あとがき
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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