第61話 野外実習 2
「右前方からーゴブリンかなー?三体ー。後方ー六人ー。」
「前、ゴブリン、三体。後ろ、人、六人。」
「わかった。ラハートフは後ろで周囲警戒、ウィンドルとナトナ嬢は魔法射程に入ったら放て。俺とエリザが前衛、アリナ嬢はウィンドルとナトナ嬢の護衛を。いいか?」
「はーい。」
「わかった。」
「「「わかりました。」」」
ウィンドル様が風の魔法の、ナトナ嬢が土の魔法の探知魔法で周囲の探索をしていた。
それに引っかかった。
正確には後方に八人いる。
俺達のパーティーと後ろのパーティーの少し離れた木の上にいる。
成績を評価する監視者だと思うけど……
伝えるか迷ったけど、結局情報共有した。
エンダース様が指示を出し、2121の配置でゴブリンに向かって音を立てないように警戒しながら進む。
エンダース様が手を上げ俺達は止まる。
小声で話す。
「目視でゴブリン三体確認した。ウィンドル、ナトナ嬢、ここから狙えるか?」
「当てることはできるかなー。」
「同じく。」
「じゃあ、もう少し近づく。」
そう指示があり、食事中のゴブリンどもに近づく。
「いけるよー。」
「同じく。」
「ウィンドルとナトナ嬢が魔法を放ったら、俺とエリザが進撃する。ラハートフは周囲警戒、アリナ嬢は二人の護衛を。」
「わかったわ。」
「「わかりました。」」
「じゃあウィンドル、ナトナ嬢、合わせて放ってくれ。」
「はーい。いくよー。」
「わかった。」
「「敵を射て『『ウィンドアロー(アースアロー)』』」」
二人の魔法が放たれ、エンダース様とエリザお嬢様がゴブリンへ走り出す。
ウィンドル様のウィンドアローは頭に刺さり絶命、ナトナ嬢のアースアローは首に刺さる。
エリザお嬢様がそのゴブリンに止めの突きを刺す。
二体が殺られエンダース様達に気がつく無傷のゴブリンをエンダース様が首に一振り、驚愕の顔したゴブリンの頭が宙に飛ぶ。
魔石を取り出し、プチアースで大穴を開ける。
ゴブリンを落としてから閉じて、プチクリーンで汚れを落とす。
「周囲に人以外なーし。」
「同じく。」
「お疲れ様です。」
「この調子で続けよう。」
エリザお嬢様、エンダース様、アリナ嬢(アリティーナの愛称)が前衛と護衛を交代したり、一対一の接近戦をウィンドル様とナトナ嬢にもさせたり何回か戦闘を重ねた。
まぁ十の時に初陣を体験していてそれ以降も討伐をしているから、全員が慌てることなくこなす。
俺はゴブリンの後処理とプチクリーンしかしていない。
勝利の戦姫様の戦う姿を見ていられるからいいんだけど、このままだと評価されない感じだろうか?
エリザお嬢様と一緒のクラスならドベでもいいけど、監視者のあなたに気がついてますよって監視者がいるところを凝視して探知能力の評価を上げるか?
まだ時間があるから、いいか……
ついてきていた誰かさん達は三戦目の時に俺達を大回りして奥へ進んでいっていた。
俺達は少し開けた場所を発見、そこで昼を取ることにした。
周りに結界を張る。
テーブル椅子を出し休んでもらう。
五戦闘目に狩ったダッシュボアを魔法を使いささっと解体し、道中採取した薬草、きのこやプチボックスにある野菜を使い料理する。
串焼きにしょうが焼き、豚汁ならぬボア汁、サラダとパンをテーブルに並べる。
料理はオルヴェルド公爵家やマジルド伯爵家の料理人と母さんに教えてもらっていた。
エリザお嬢様の「美味しいわね。」で嬉しさのあまり気を失いかけた。
これからも頑張ろう。
食後にドライフルーツと紅茶を出しまったりする。
「こんなのんびりしていて、ピクニックに来ているようですね。」
「ラハートフのおかげね。」
「あ、ありがとうございます!」
「専属従者、羨ましい。」
「あげないわよ。」
エリザお嬢様の「あげないわよ。」でまた気を失いかけた。
必要とされるって嬉しすぎるっ!
「残念。」
「一人に一従者欲しいですね。」
「ラハートフならスライムみたく分裂できるようになるんじゃないか?」
「いや、エンダース様、さすがにそんなことできませんよ。」
「残念。」
「残念だねー。日向で寝るときに結界を張ってもらいたかったなー。」
「それ、もう人間じゃないですよね……」
「ラハートフならできるようになりそうね。」
「エリザお嬢様、私、頑張りますっ!」
「ふふ、ラハートフが増えたら安心ね。」
「超頑張りますっ!」
「頑張って。」
「頑張れー。」
「冗談のつもりが、本当にできるようになるかもな……。」
「あはは……」
楽しく昼休憩をしていると。
「きゃあああああああ。」
森の奥から悲鳴が聞こえた。
「今の悲鳴は、モモティルナさん?」
「ラハートフ、グリフォンを何体まで出せる?」
「……全員、六体出せます。」
「なら出して、声がした方へ飛んで行くぞ。」
「わかりました。『プチウィンド』」
エンダース様の指示で六体のグリフォンプチウィンドを出す。
驚いているウィンドル様とナトナ嬢をそれぞれ乗せて、悲鳴がした方向へ飛んでいく。
正直行きたくないけど……
ーーーーー
あとがき
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