第50話 合格祝いと変わったもの

合格者

一位ホルスディン・エン・ドラゴライヴェルド 600

二位モモティルナ・ライトベル 600

三位エアルリーザ・フェン・オルヴェルド 596

四位アリティーナ・フェン・ガルディーナ 572

十二位エンダース・フェン・オルヴェルド 512

十六位リョーレン・フェン・マジルド 424

十七位ラハートフ・フェン・マジルド 419

十八位ショコラン・フェン・マジルド 415


試験から二日後、王立学園門前に貼り出された試験結果と順位。

筆記は国語、数学、歴史地理、魔法学で実技は魔法と対人戦で各百点満点。


「ラハートフは十七位なのね。」

「申し訳ありません。数学以外苦手でして、魔法学もなになにの魔法の詠唱を書きなさいとかありましたが思い出せませんでした。」

「あぁ、魔法学は独学だったわね。マジルド伯爵閣下に教えてもらわなかったのかしら?」

「どちらかと言うと私が教えて一緒に検証していました。それにオルヴェルド公爵家の魔法使いの方々もここ数年で魔法名か無詠唱で魔法を使ってましたから詠唱なんて記憶に残ってなかったんですよね。」

「そうだったわね。ラハートフのおかげで大陸最強の魔法軍と言われるようになったわね。」

「ならエリザお嬢様は大陸最強の令嬢ですね。」

「ふふっ。ラハートフのおかげね。」

「力になれてよかったです。」

「なんで私が十八位なのっ?」

「筆記の魔法学以外の点数が壊滅的だからじゃない?」

「そ、そんなことないわよ!ぜ、全部埋めたもの!全問正解よっ!」

「本当に全問正解だったら、一位だったね。」

「シーラお姉様、一緒に勉強頑張りましょう。」

「くっ……エリザ、次は負けないわよ!」

「えぇ、私も負けないよう頑張るわ。」

「(姉さんでは勝てないだろうねぇ。)」

「(リヨンお兄様、やる気が出たのに削ぐようなこと言わないでよ。)」

「(どうせ魔法以外のことは長続きしないよ。)」

「(そ、そうだろうけど。)」

「リヨン!ラハートフ!早く帰って勉強するわよ!」

「「はい。(はーい。)」」

「エリザも行くわよ!」

「えぇ。わかったわ。」

「……」


悔しげに順位を見ているエンダース様が視界に入る。


「エンダース様、行きましょう。」

「……あぁ。」


オルヴェルド公爵家の屋敷に戻ってきた。

着替えさせられて大広間に案内された。

豪華な料理の数々が用意されていた。


「エリザ一位おめでとう。エンダースも頑張ったな。」

「……お父様、私は三位です。」

「……」

「わかっているだろ?」

「……」

「ラハートフは十七位か。」

「不甲斐ない結果で申し訳ありません。」

「二十位までに入れば特級クラスだから悪くない順位だ。だがアガートルンに勉強を任せたのが間違いだったな。もっと上を目指せただろうな。」

「そんなことないよ!ラハートフとは魔法の研究をしましたよ!」

「魔法の研究って、やはり……」

「オルヴェルド公爵閣下、私は国語も歴史地理も苦手なので、あまり変わらなかったと思います。父上との魔法は楽しかったのでいいのです。」

「ほらぁ、息子が楽しかったって言ってます!」

「お前、今、楽しかったは関係ないだろ。他の勉強を、だな……まぁアガートルンに言っても変わらないか……ラハートフ、ショコラン、リョーレンも特級クラスおめでとう。」

「「「ありがとうございます。」」」


「別行動していいわよ。」とエリザお嬢様に言われ、ある集団のところに行く。


「ラハートフ、これ美味しいよ!」

「美味しいぞ!」

「ラハートフ君、いっぱい食べて大きくなるのよ。」

「「お兄ちゃん、これ食べて、あーん。」」

「あーん、もぐもぐ。あーん、もぐもぐ。美味しいな!ありがとう。」

「「えへへ。」」

「仲良いわねぇ。ラハートフ、あーん。」

「い、いや、母さん、さすがに恥ずかしいよ。」

「ラハートフ、お母さんのことを嫌いになったの、ううう。」


スプーンを持ち上げたまま、少し俯き泣いているふりをする母さん。


「「ラハートフ、ママ泣かせたら駄目だよ(ぞ)。」」

「ラハートフ君、お母様を泣かせたら駄目ですよ。」

「「お兄ちゃん、ママ泣かせちゃ、めっ!」」

「あーもう、母さんのことを嫌いになるわけないだろ。あーん。もぐもぐ。美味しいよ。」

「っふふ。良かったわ。皆ありがとう。じゃあラル、ラーナ、ニチカちゃん、ポチマルちゃん、ユシルさん。」


母さんがここにいる者の名前を呼ぶ。

みなが頷く。


「せーの、」

「「「お兄ちゃん(ラハートフ)(ラハートフ君)合格おめでとう!」」」

「これ練習したのか?皆、ありがとう。」


母さん達がいるのはオルヴェルド公爵閣下が俺の合格祝いにと招待してくれたからだ。

これ合格しなかったらどうなってたんだ……

まぁ、合格したからいいけど。


母さんがニチカ、ポチマル、ユシルの声が聞こえているかのように接ししているのは、父上のおかげ?だ。父上に魔導書、精霊と契約していることがバレて、「ずるいずるい!ラハートフだけずるい!僕も魔導書と契約したい!」と子供のように、本当に子供のようにめっちゃ駄々をこねた。


オルヴェルド公爵閣下に相談し、渋々、渋々魔導書の閲覧の許可が出され、『究極のゴーレム作成~君好みにクリエイトしよう~』という魔導書と契約した。

メイド姿の精霊さんだった。


魔導書を参考にしたようだ。

動けるゴーレム依り代を用意し精神体に入ってもらう。

性格は選べないから良い精神体が来るのを祈ってくれ。と書かれていたみたい。


この魔導書も前世の記憶持ちなんじゃないかと思った。


それで俺の生き物プチ魔法で依り代の作成を試すことになった。

ユシル達を一柱ずつ凝視し、少し触れて詳細を脳内保存した。

全力で想像して使ったプチ魔法でできた依り代はプチアースの身体にユシルはプチウィンドの髪、ニチカはプチファイアの髪になっていた。

髪だけ色付いた等身大人形ができた。


そこに父上が用意してくれた高位ドラゴンの魔石を埋め込み、ユシル達に入ってもらった。

そしたら人形が光った。

光が収まると、精神体と同じ姿(目とか肌の色が)となっていた。


大興奮した父上がユシルに触れようとしたところ母上の手刀が落とさせ父上が気絶した。

ユシルとニチカは母上に確認され、目を覚ました父上はポチマルを確認した。

ポチマルはもふもふしていた。


こんなことがあり今、母さん達契約者以外の人とも会話ができるようになっていた。

楽しそうに会話している皆を見て和んでいた。


「ラハートフ、話がある……」


エンダース様が真剣な表情で話しかけてきた。


「ついてきてくれ。」


エンダース様は返事をしていないのに背を向けて歩いていった。


ついていかなかったらどんな反応をするか、いや、真剣な表情をしていたから、ついていくか……


エンダース様の自室に到着した。

扉は閉めたように見せかけて少し開けとく。

念のため。

エンダース様が振り返りがばっと頭を下げた。


「すまなかったっ!」


エンダース様が頭を下げて謝っている。


偽者か?


「ラハートフがお父様に褒められているのを見て嫉妬してしまった。魔力量の増加方法とかや騎士訓練や魔法修練も意地を張って今まであまりやってこなかった……」

「……」

「先日の実技試験を見て、ラハートフやエアルリーザ達を見て後悔した。俺も最初っから意地を張らず続けていたら、素直に教えてもらっていたらと……」

「……」

「お前の努力を否定し勝手に嫉妬をして、平民風情と侮辱したり、強くあたってしまったこと、すまなかった。」

「……」

「……」

「……こいつ、ムカつくなと思ったことは何度もありましたが、」

「……」

「謝罪を受けたので許しましょう。」

「ありが「ですが、自分のことだったのでこの程度でした。が、もし、もしエアルリーザ様や家族、お世話になった人達に何かしらしたら、」」

「……」

「謝っても、許さないからな。」

「あ、あぁ、わかった。すまなかった。」


エンダース様はこの日から若干素直になった。

エリザお嬢様や他の妹弟達とも少し会話をするようになった。

トリーリア公爵夫人が嬉し泣き、オルヴェルド公爵閣下やセディスさんも嬉しそうにしていた。


シーラお姉様とは相性があまり良くないみたいでよく口喧嘩?じゃれあっているけど。

圧縮や同時複数使用、身体強化の魔法なども素直に聞き、皆と修練することが増えた。

元のスペックも高いからかめきめきと上達していった。


ーーーーー

あとがき

面白いじゃん、続き早く上げろ。と思ったら☆☆☆、面白いなぁと思っても☆☆☆、少しでも気になるな。と思っても☆☆☆をつけていってくださいな!

冗談です。

前から☆☆☆、☆☆、☆をつけてください!

面白くなってきたら☆を足してくださいな!

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