第41話 適性属性 2
あれ?
おかしい……
最後まで名前を呼ばれないで終わっちゃったんだけど……
どういうこと?
エヴィンカル様がエアルリーザ様の件で話したそうにする貴族、商人達を一睨みすると彼、彼女らはさささーっと一目散に教会を出ていった、逃げていった?
残ったのはオルヴェルド公爵家の方々様と名前を呼ばれなかった俺ラハートフと司祭様かわからんけど進行をしていた教会のたぶん偉い人だけ。
「お父様、帰らないのですか?」
「……はぁ。」
「「「……」」」
次期当主ぅ……
たぶん、俺でしょ?
いや、どうみても俺でしょ?
エアルリーザ様以上に光るからでしょ?
村の子がそんな光ったらヤバイんでしょ?
…………たぶん。
わざとか?
わからないふりしているのか?
わざとなのか?
トリーリア様が悲しんでいるからやめてあげて。
「……司教殿、よろしく頼む。」
「はい。ラハートフ君、前へ。」
「はい。」
「お父様、平民風情が」
「黙れっ!」
「ひぃっ。」
「黙っていなさい。」
「は、はい!」
学習しないな……
「ラハートフ君。」
「はい。」
適性属性の鑑定の水晶に触れる。
司教様が汗をかいてハンカチで拭いている。
「こ、公爵様……」
「どうしたのだ?全属性か?」
「ち、違います……て、適性属性が、ありません……」
「適性属性が、ないだとっ?」
「えっ?嘘でしょ?」
「適性属性がないって、あっははは。残念だったな!あっははは。」
「……」
「そんなはずは……ラハートフ、もう一度、水晶に。」
「そうよ。ラハートフに適性属性がないっておかしいわよ。」
「はい。」
もう一度触れる。
司教様が首を左右に振る。
「……適性属性が、ありません。」
「「「……」」」
「……」
「平民風情なんだから当然じゃありませんか、っぷふふ。いや、残念だったな!平民風情!」
めっちゃ上機嫌なにやにや顔でそう言ってくるエンダース、様。ほんと、嫌なやつ、だな……
エヴィンカル様達がすごく悲痛な表情を浮かべているんだけど、俺はそんなに落ち込むことなんだろうかと疑問に思う。
普通に魔法が使えるんだから、あ!
もしかして鑑定されてからだと適性がある属性しか使えなくなるとかかっ?!
「『プチライト』『プチファイア』『プチウィンド』『プチウォーター』『プチクリーン』『プチリペア』『プチボックス』『プチアース』『変種』『プチグロース』『テント』『ゲート』『
こんこんと結界をノックする。
うん、ちゃんと結界は張ってある。
ラハートフの頭上には手のひらサイズのペガサス、ドラゴン、グリフォン、リヴァイアサン、亀が浮いていて、ラハートフの手には鉢植えと実ったいちご、横には扉とテントがある。
「『プチダーク』」
そして、サングラスっぽいプチダークをかけてラハートフは魔法が使えることにほっとする。
なんだ使えるじゃないか。
なんでエヴィンカル様達は悲痛な表情を浮かべているんだかわからん。
「お、お前は、な、何をしてるんだっ!」
「あ、いきなり、申し訳ありませんでした。魔法が使えなくなったのかと思ってしまって、あはは……。」
「なぜっ笑っていられるっ!」
いやいきなり魔法を使い出す奇行な人だと他人に思われるだろ?
恥ずかしいんだよ。
ごまかし笑いだよ!
分かれよ!とは言わず、サングラスをかけたまま鉢植えを持ったまま頭を下げる。
「申し訳ありません。」
「属性なしの出来損ないがっ!」
「エンダースっ!」
「ちっ……。」
「次は魔力量鑑定ですか?」
「あ、あぁ、そうだな。司教殿。」
「あ、はい。ラハートフ君、次はこっちの水晶に。」
「エヴィンカル様、サングラスかけた方がいいと思いますが、かけますか?」
「……平民風情の魔力量なんて大したことないだろ……」
小声だけど聞こえているぞ?
お前は無しだな。
「エリザの時のプチダーク、か?」
「はい。そうです。」
「お願いしよう。」
「わかりました。あ、司教様にも使いますね。」
「え?あ、ありがとう?」
エンダース、様以外にサングラスプチダークを使う。
「触れます。」
ぴきっと音がした。
「めがあああめがあああいたいいいあついいいいいたいいいい」
「ぐああああ」
エアルリーザ以上の強烈な閃光にエンダースがやられ、水晶が爆発して超近距離で爆発を受けたラハートフは教会の壁まで吹き飛び、頭を打ちつけ気絶した。
「「「ラハートフ(君)!」」」
ラハートフに駆け寄るエヴィンカル達。
エンダースに駆け寄り回復魔法を使う司教。
家族にほっとかれるエンダース、不憫……
ーーーーー
あとがき
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