第26話 契約精霊 2

街に、城に来てから一ヶ月経った。


いちごを移植してからいちごなどのデザートが毎食後に出るようになった。

母さん達がドライフルーツにしたものは大人気だ。


色んな種類が入った瓶、宝石のような色鮮やかなドライフルーツが入った瓶を見てうっとりしている使用人もいる。


もちろん俺が加工し厳選したドライフルーツをエアルリーザ様に渡した。

未だ俺のが一番美味いからね。


笑顔で「ありがとう!」と言われた。

歓喜っ!


厳選から外れたドライフルーツはメリルさんに渡した。


美味しいから別にいいよね?


朝食を終え戻っている途中、隠密侍女のメリルさんが瓶を見てうっとりしているのを見かけた。

さっとすぐに隠れた。


うん、俺は何も見ていないぞ。

バレないようさっとその場から離れた。



究極の植物魔法の魔導書より分厚い魔導書もあと少しで読み終えるとこまできている。

魔導書を読んでいるとき、ユシルは小さな手を、両手を使い俺の髪を梳かしている。

おかげでからみなどなくさらさらだ。


それから一時間経たないうちに読み終わり旅のオトモの魔導書を閉じた。

ユシルの時と同じように魔導書が淡く光る。


光が形を作り始める。

真っ白もふもふなわんことタンクトップにショートパンツの赤髪ポニーテールのまたしても健康的な小麦色の肌の少女。


ユシルよりさらに小さい少女と手乗りわんこがぷりぷりしている。


「読み終わるの遅いよ!」

「そうだそうだ!」

「ご、ごめんね。」なぜか謝る俺。

「謝れて偉いの!」

「えらい!」


少女に頭を撫でられ、わんこにもふすりされ、魔導書が光になり俺の中に入ってきた。


またかっ!

契約の確認されてないのにっ!

契約されたぞっ!

旅のオトモの三つの魔法『コンパニォン』と『テント』と『ゲート』をきっちり理解できたけどっ!


「ユシル、話が違くない?契約の確認は?」

「それほど私達とラハートフ君の相性が良いってことですね。」

「契約された!これからどこ行くのっ?」

「遊ぼっ!」

「うん。ちょっと落ち着こうね。俺はラハートフ。君達の名前は?」

「ポチマル!」

「わたしは名前がないのっ!ラハートフ、付けてっ!」

「わかった。考えるから静かにしててね。」

「「わかったっ!」」


たしかに、元気な子達だな。

尻尾を左右に振るポチマルと「なんだろー?」「まだかなー?」と身体を左右に揺らす少女。


「ニチカなんてどうかな?」

「ニチカ!いいよ!わたしニチカ!わかった?ポチマル。」

「うん!ニチカね!わかった!」

「ニチカ、良かったですね。私はユシルです。ニチカ、ポチマル、よろしくお願いしますね。」

「ユシルお姉ちゃんだね!よろしく!ラハートフ、名前ありがとう!」

「ユシル姉ちゃんよろしく!」


うん。

元気な妹と弟ができたようなもんだな。


「ニチカ、ポチマル。」

「なーに?」

「なに?」

「君達との契約のメリット、デメリットは?」

「めりっと?でりっと?」

「なにそれ?」

「得と損」

「トクトソン?誰?ポチマル知ってる?」

「知らなーい。」

「良いこと、悪いこと」

「良い子はわたしとポチマル!悪い子は魔物達!精霊食べちゃうんだよ!」

「魔物は聖獣も食べるんだ!悪い子だ!」

「うん。魔物はやっつけないとね。」

「わたしも戦うよ!燃やしてあげる!」

「噛みついてやるよ!」

「皆で頑張ろうねー。」ちょい現実逃避……

「任せてよ!」

「わん!」


「ユシル……この子達のメリット、デメリットを知っている?」

「メリットは私と同じようなものだと思います。デメリットは、わかりません。悪いことはないと思います。」

「精霊も成長するんだよね?知性の方も?」

「幾年も経ててですけど、成長しますね。ラハートフ君の魔力量のおかげで少し早まるかと思いますが。」

「あ!これがこそこそ話ね!わたしもしたい!」

「ぼくもぼくも!」

「う、うん。また今度しようね。」

「絶対だよ!」


ーーーーー

あとがき

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