第24話 精霊の名前
まえがき
昨日の近況ノートに書きましたが、ペンネーム変更しました。
「やまむねこし」→「山宗猫史」にしました。
ーーーーー
「お姉さん、この世界には世界樹はある?」
「はい。ありますが、それがどうしたのですか?」
「世界樹の名前は?」
「世界樹は世界樹ですよ?」
「そうなんだ。」
「?」
「決めたよ。」
「どきどきわくわく。」
「ふっ。」
「わくわくどきどき。」
「声に出すなし、ぷっ、もう、笑わせないでよ!」
「そんなつもりはないのですが。」
「天然?」
「?」
「まぁ、いいや。お姉さんの名前は、ユシル。」
「ユシル、ユシル、ユシル……」
確かめるように繰り返しユシルと言うお姉さん。
「駄目?気に入った?」
「気に入りました!私はユシルです!名付けありがとうございます!」
「良かったぁ……これからよろしくね、ユシル。」
「よろしくお願いします。ラハートフ君!」
魔導書は領に三冊あれば多い方でこの城には読ませてもらった多くの魔導書が本物ですよとユシルに教えてもらった。
異常に多い……。
たまたまなのか?
わかっているのか?
集まりやすい何かがあるのか?
まぁこれからエヴィンカル様に報告ついでに聞けばわかることか。
エヴィンカル様も魔導書と契約しているから。
ユシルは名前はわからないと言ったが、俺はエヴィンカル様だと思っている。
あの落下を防いでくれたのと耳の回復は精霊が助けてくれたんだろうとユシルの存在と契約している子がいるということからエヴィンカル様だと確信している。
外れていたら恥ずかしいな……
夕食を知らせに来てくれた使用人に夕食後エヴィンカル様に話ができるか聞いてきてもらい、できるということなので夕食後エヴィンカル様がいる執務室に案内された。
部屋にはエヴィンカル様と金髪のぼんきゅっぼんのお姉さまがいらっしゃった。
「セディスの方を見るということは魔導書と契約できたということか?ラハートフ。」
「は、はい。エヴィンカル様が魔導書の契約者だと思い、報告に来ました。」
「なぜそう思ったのかね?」
「あの戦いの時に助けてくれたのが、エヴィンカル様の精霊ですよね?私の精霊がオルヴェルド家の方に契約している者がいると教えてくれました。あの時の不思議なことは精霊で、現場にいたのはオルヴェルド家の方はエヴィンカル様しかいなかったので、そう思いました。エヴィンカル様、セディスさん、あの時助けていただきありがとうございました。今こうして生きていられるのもエヴィンカル様達のおかげです。ありがとうございます。」
「契約者の私が苦戦しているのにラハートフを助けに行ったんだ。どう思う?」
「……エヴィンカル様の勝ちを信じていたからじゃないですか?」
「……そうなのか?」
「ええ、そうよ。」
「……そういうことにしておこう。」
「初めましてラハートフ君。私はセディルアトス、ラハートフ君は私のことをセディスと呼んでいいわよ。」
「なっ!」
エヴィンカル様がすごく驚いた顔をセディスさんに向ける。
「ど、どうしたんですか?」
「……私がセディスと呼んでいいと言われたのは、契約して十年くらい経った頃だったんだ。会ってすぐにセディスがそう言ったことに驚いてしまった。」
「私が……いいんですか?」
「本人が呼んでいいと言っているんだ。いいのだろう。」
「ええ、ラハートフ君はいいわ。」
俺の身体の中から出てきて胸を張って自慢気に言うユシル。
「ラハートフ君は精霊にモテモテですね。」
「あなたがラハートフ君の精霊?」
「はい!ラハートフ君に名付けてもらいましたユシルと言います!」
「それは羨ましいわ。それにしてもずいぶん小さいのね。でもこれからラハートフ君といればおっきく強くなれるから本当に羨ましいわね。」
「はい!私もラハートフ君に魔導書を選んで貰えて幸運だと思っています!」
嬉しそうに言うユシルを見ると契約してよかったなと思う。
「セディス、ラハートフといれば強くなるというのはどういうことだ?」
「契約者の魔力量によって私達は弱くなったり強くなったりするのよ。エヴィとの契約はあまり変わらなかったけど、最近始めたあれのおかげで少しずつ強くなっているわね。」
「ほぉ。それはラハートフに感謝だな。ありがとう。」
「お役に立てて嬉しいです。」
「いい子ねー。」
セディスさんに頭を撫でられる。
母さんに撫でられると嬉しさが出るけど、他の人に撫でられると恥ずかしいな……
ユシルも真似して小さな手で俺の頭を撫でている。
「もう一冊はどうなのだ?」
「どうとは?」
「あれも魔導書であろう?契約はしていないのか?」
「やっぱりエヴィンカル様は魔導書かどうかわかるんですね?」
「私はなんとなくで、セディスが魔導書だと教えてくれるんだ。」
「なるほど。旅のオトモは選ぶときにさらっとしか読んでないので、まだ契約はしてません。できるかもわかりませんが。」
「ラハートフ君でしたら契約できます!」
「そうね。ラハートフ君ならできそうね。」
「セディスがそう言うならできるんだろうな。」
「……そもそも複数の精霊と契約ってできるんですか?二人目と契約したら破裂するとかないですよねっ?」
「破裂はしないわよ。ラハートフ君の魔力量なら大丈夫でしょうけど、他の人なら魔力切れでぶっ倒れて契約ができないっていうのはありそうね。」
「そこまでラハートフの魔力量は異常なのか……」
「エヴィンカル様。エアルリーザ様やエンダース、様も同じくらいに余裕でなりますよ。エアルリーザ様の弟や妹も。そしてエヴィンカル様も。」
「……うむ。喜ばしいことだな。」
なんで遠い目をしているんだろう?
それから魔導書が多い理由はセディスさんが見掛けたら買うのを続けていたら集まったと聞いた。
それも先祖代々。
セディスさんは当主になる者に引き継がれるらしい。
敵対貴族に魔導書が渡らないようにという理由もあるみたい。
攻撃性の高い魔導書と契約されたらヤバいもんね。
ちなみにセディスさんは回復系の魔導書だそうだ。
耳の痛みがぱっとなくなったもんね。
納得した。
ラハートフが執務室から出ていった。
「後継者問題も解決するわよ。」
「生まれつき魔力量が少なくても、あれで増やせるのだから、あとは相応しい子を指定すればいいのか……。一番魔力量が多かったエンダースがセディスと契約できる可能性があったから、指定しなければいけないのかと思うと不安だったのだ。」
「そうね。どうしてあんな子になっちゃったのかしら?」
「紹介された家庭教師が原因だ。気付くのが遅かった。」
「あの家庭教師ね。精霊の目を誤魔化したのだから、エヴィのせいではないわ。」
「これから変わってくれればいいが……」
「……今のあの子の契約者にはなりたくないわ。」
「「……」」
「そうだわ!ラハートフ君をどこかの養子にしてエリザのお婿さんにしちゃえばいいのよ!今一番魔力量が多いしこれからも増えていくでしょ。」
「エリザの婿。」
「そうすればエリザは出ていく必要はなくなるわ!」
「そうだな……知っているラハートフが息子になるのはいろいろ安心だな。」
「そうでしょ!」
ラハートフは自分が貴族の養子になるという話をされていたとは微塵にも思っていなかった。
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あとがき
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