第6話 討伐後と報酬

目を覚ます。

覚醒していない脳でぼけーっと周りを見る。


この部屋は、教会の隣にある宿舎の部屋かな?なんでここで寝ていたんだろう?いつ寝たんだろう?とぼんやりと思う。


コンコンコンと扉を叩く音が鳴った。


「入るぞ。」

「あ、は、はい。ど、どうぞ。」


言葉の途中で入ってきたのは指揮官様だった。


指揮官様を改めて見ると父さんより大きい、さらにがっしりとした筋骨隆々だから、もっと大きく見える。

金髪長髪を襟足で縛り纏めている。

赤い瞳で鋭い目を合わせると慣れていない人なら怯み上がってしまいそうだ。


俺は父さんに似た雰囲気を出していたから少し大丈夫だった。


「起きていたか。具合はどうだ?」

「えーっと、少し、怠いです。」

「そうか。精神的にもあんな凄い魔法を使って疲れているからだろうな。」


凄い魔法?確かにいつもより多い魔力に多くの同時使用数だったけど、所詮生活魔法だから凄くないと思うんですけど?と脳が覚醒してきて考えられるようになってきて、気がつく。


「魔物はどうなりましたか?!母さん達は無事ですか?父さん達は?!」

「魔物は君のおかげで全滅することができた。村人達は休んでもらっている。魔法を多く使っていたらしく、疲れているだろうから休んでもらっている。」

「そうですか。父さん達は?」

「……肉屋の地下倉庫に生き残りがいた。」

「……」

「彼らに聞くと君のお父さんと肉屋の主人達が『必ず救援隊が来る。お前達には辛いこともあるが長い未来がある。お前は結婚したばかりの奥さんがいるだろ?お前は幼い子供がいるだろ?』と一人一人説得し若い世代の彼ら彼女らを教会まで間に合わないから地下倉庫に避難させたそうだ。避難した後も長い時間、外で勇敢に戦うお父さん達の声が聞こえていたそうだ。」

「……父さん達の、時間稼ぎの、おかげでっ、救援隊が、間に合ったんですねっ。父さん達は俺達を守った、英雄ですねっ。ひっぐ……う……。」


指揮官様が話をしている途中から涙がこぼれる。


父さんのおかげだけどっ、俺も幼い子供だろっ、母さんを一人にするなよっ……と掛け布に顔を埋め泣き、心の中で愚痴を言いながら、父さん達との思い出が浮かんでは消える。


前世でもされなかった肩車をしてくれた父さん、幼い子供に見せるべきじゃない大物の討伐したビックボアを誇らしげに見せる父さん、三歳児に肉の解体を楽しそうに教えて、ずたぼろの下手くそな解体でも美味しい部位を報酬としてくれた肉屋のおっちゃん、沢山の楽しい思い出が浮かんでは消える……。


指揮官様は落ち着くまで待っていてくれた。


「すみません。」

「もういいのか?」

「はい。また思い出して泣いてしまうかもしれませんが、今は大丈夫です 

。」

「うむ。子供らしいところもあるが……魔法も会話、その態度も子供には見えんな。それに娘以外の子供達は私とまともな会話はできん。娘と会話するように話しているのだがすぐ泣いてしまう……」

「あ、い、えーっと、いっぱい勉強を冒険者達や司祭様に教えてもらいましたから。それと少しですが接してみて恐い人ではないとわかりましたから、大丈夫です!」


少し落ち着いたのに……おっさんのしょぼん顔なんか見たくない!


「大丈夫か……うむ、うむ!」


うん、元気になった指揮官様。


「今回私を含め領兵、冒険者達がゴブリンキング、途中で進化をしたゴブリンエンペラー相手に少ない犠牲で討伐できたのは君のおかげだ。」


あぁ、父さん達以外にも犠牲が出たんだ……もっと早く支援していれば…………もっと早く結界を直せることに気がついていれば父さん達を……


「い、いえ、自分がもっと早く支援していれば……」

「調子に乗って突っ込んだ冒険者の自業自得だ。それに君が報告に来る前の話だ。」


う、確かに、それは自業自得だな。でももっと色々試そう。後悔しないように……


「君が上位種を倒してくれたおかげで軽傷に済んだ。君の支援がなければ少なくない犠牲が出ていただろう。私もゴブリンエンペラーに殺られていただろう。君が後悔する必要はない。貴族の当主を救ったのだ。誇ると良い。」

「わかりました!ん?」

「どうした?」

「えっ?貴族の、当主を、救った?当主様が、いたのですか?」

「そうだ。私を救った。」

「……」

「ん?」

「ええええええ?!指揮官様が貴族の当主様あああ?!」

「見えぬか?」

「い、い、いいえ。貴族様は後方で指示をお出しする方々だと思っていたので、最前線で戦っておりましたので、貴族の当主様だと思いませんでした。申し訳ありません。」


深く、寝かされていたベッドの敷き布団に頭が埋まるくらい深く土下座をした。


「何も気にしておらん。頭を上げよ。本当なら命の恩人である君に私が頭を下げるべきなのだが、貴族というものは厄介なものでの……頭を上げてくれ。まともに会話ができぬ。」

「わ、わかりました。」


「……」

「……」


「まず報酬の話をしよう。」

「報酬、ですか?」

「一つ目、偵察をしてくれた報酬だ。上位種の情報、規模の情報を正確にくれた。二つ目、上位種の討伐の報酬だ。」

「ありがとうございます。偵察の報酬は頂きますが、討伐に関しては横取りしたようなものです。報酬は戦っていた人達に、私は頂けません。」

「それは確認済みだ。領兵達は貢献度に応じた報酬で良いと言っている。」


納得しているなら、いいのかな?


「わかりました。私も同じようにお願い致します。」

「……本当に五歳なのか?」

「ま、間違いなく五歳の子供です!」

「……偵察は金貨十枚、討伐はゴブリンエンペラー、ジェネラル、ハイメイジ、リーダーとメイジの上位種の魔石と素材と討伐報酬九割、魔物が使っていた武器防具が君の報酬だ。」

「討伐の方はほとんどではないですかっ?!」

「みな納得している。」

「本当ですか?」

「ああ。」

「……」


あれって進化だったんだな!

エンペラーってキングの進化先だから売ったら絶対高いやつだ!

俺が売ったら面倒事が起こりそうだ!


献上した方がいいんじゃないか?

うん、そうしよう。


他の上位種の魔石と武器は一つずつ貰おう。

他は献上、売っちゃおう。

素材なんて使えないし。


「うむ。エンペラーは本当にいいのか?」

「はい。」

「わかった。他は買い取ろう。」

「ありがとうございます。」

「報酬は後日持ってこさせよう。」

「ありがとうございます。」

「……本当に五歳なのか?」

「ま、間違いなく!この村産まれの普通の五歳の子供です!」


ーーーーー

あとがき

面白いじゃん、続き早く上げろ。と思ったら☆☆☆、面白いなぁと思っても☆☆☆、少しでも気になるな。と思っても☆☆☆をつけていってくださいな!

冗談です。

前から☆☆☆、☆☆、☆をつけてください!

面白くなってきたら☆を足してくださいな!

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