第8話 レイナのトークは止まらないっ!
「何それ。めっちゃイケてんじゃん。」
「すごいなレイナちゃんは!どこでそんな外国人留学生と出会うんだ?」
レイナちゃん衝撃の告白内容に臆することなく、むしろ大いに盛り上がった様子で会話を続ける男子二人。
エリちゃんは相変わらず「フフフ」と軽やかに笑いながらそんな状況を楽しんでいる。
私と、高田だけがまともに面食らって置いてきぼりだった。先ほど発された言葉を日本語として自身の脳に理解できる形で処理しようと必死だった。
「もともと私IFCに入っててさ、そこで真面目に留学生と交流してた結果、って感じかな」
「あ~。あのインカレサークルか。せーあいにも兼部してるヤツいたわ。」
「果たしてほんとに真面目に国際交流してたのかな~?」
「エ、エリちゃん手厳しいっス!レイナちゃんもハンパねっス!」
高田が戦線復帰を果たし再度会話に乱入していく。ちなみにIFCとは、International Friendship Circleの略で、うちの大学の国際交流を目的としたインカレサークルだ。
インカレと銘打つだけあって、多くの大学から学生が参加しており単純な在籍人数だけならば日本全国でも有数の巨大サークルだとか聞いた、チトセから。
なぜならチトセもこのサークルに籍を置いている。というのも最初チトセは本気で英語の語学学習を目的として参加したらしいのだが(本人曰く、「無料で英会話レッスンができると思った」とのこと)、実際はイケメン外国人留学生とつながりたい女子大学生が集まり、またその女子大学生を狙う日本人男子大学生が群がってくる、そんな欲望まみれの交流サークルだったそうだ。
「6ヵ国って具体的にどこの国なの?」
「アメリカとカナダでしょ、あとフランス、イタリア、イギリス、あとはドイツ!」
「え!レイナちゃん、俺の知識が正しければその国の並びはまさか!」
「理解はやいね、高田君インテリだ」
「分かんね。教えろよ高田。」
「ふふん!それはつまり・・・!G7!!の・・・国々ですな、レイナちゃん!?」
「正解だけど言い方!めっちゃウケる」
「ああ~、G7の国だったのか、気付かなかった」
「レイナはこれで先進7ヵ国すべての男と付き会いましたとさ~」
「ヤバ。逆にエモじゃん。」
レイナちゃんのG7だかCP9だかのトークで場は大盛り上がりである。
その空気の高調に反比例して私の思考は冷静になるのである。
目の前の山盛りポテトですら山盛りの友達がいるというのに、私ときたら空気を読んでヘラヘラすることに終始するのみだった。
話題の中心であるレイナちゃんの話だけれど、私が一番気になったところは外国人留学生を6ヵ国制覇した部分よりも、G7の残りの国である日本人とは当然付き合っているという前提で話が進んでいることだった。
私が日本人と一人目のお付き合を目指している間にレイナちゃんは国境を超えていた。ワールドワイドだこりゃ、世はまさに恋愛グローバリズムですわな。
打ちひしがれる私を完全によそにおいて、レイナちゃんの恋愛トークはまだ終わらなかった。
「それでもう普通の恋愛は飽きちゃってぇ、今はギャラ飲みアプリで社長と遊んでる~」
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