第37話  成立?

「あの、先日のメッセージや電話の件は本当なのでしょうか?」


 話しながら酒場の椅子にかける。スチュアートやリーナも同じテーブルにかける。



「そうです。この度、このゲームは世界的なゲームとしてリリースされ、すでに8億人がプレイしています。そして、あなたは特殊な職業を手に入れました。そのようなレジェンド系の職業は現在ほとんど確認されていません。」


 パントマイムってレジェンド系の職業なのか…。なんかパッとしないな…。でもこんな職業が自分以外にも複数確認されているんだな…。


「そこで、プレイ動画をサイトで公開したり、イベントへの参加などでこの産業を牽引していただきたいと思ったのです。」


「なるほど…。しかし、私にも今の仕事があるので…。」


 話を遮って石火矢がテーブルに肘をつき、身を乗り出して話し続ける。


「ご安心ください。当社から今の報酬の10倍、それ以上をお支払いできるでしょう。とりあえずは、動画機能をオンしてもらいながら、現在と同じようにプレイしてくださっていて結構です。そして、現在の会社退職手続きも同時に進めていただければ問題ありません。」


 今の給料の10倍だと…。いいや、落ち着け、ゲーム産業がこれから伸びるにせよ、こんなことがあるのか?しかも、今のままの生活でいいのか…。


「わかりました。とりあえず、1ヶ月試させてください。あと、覆面をしながらプレイしてもいいですか?それで考えさせてもらいます。」


「そうですか。わかりました。そのような旨を日本支社で共有させてもらいます。最後に良い返事が聞けるようこちらも十分にサポートさせていただきます。メッセージは、ロックFからさせていただきます。動画などもこちらに送ってください。」


「わかりました。では、定期的に連絡させていただきます。」


「ありがとうございます。では失礼します。」


 そういうと、石火矢さんはログアウトしていった。それにしてもロックFってそのまんまだなー。でも自分はソラだから、もっとそのまんまだから何も言えないな。しかし、副業みたいなものだからバレないようにしなきゃな…。



➖ World create 日本支社➖


「部長。なんとか遊作さんの件なんとかなりそうです。」


 大きなビルの一室で、石火矢は報告の電話をしていた。こんな夜遅くでも、結果を必ず電話するよう言われていたからだ。


「わかった。いよいよだな…。」


「ええ、そうですね。夜分遅くに失礼しました。」



 今日の仕事はひと段落ついた。明日からまたさらに忙しくなるだろう。一息つき、窓から外を見ると暗いビルにパラパラと灯りが付いていた。



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