第36話 お世話になっております?
あのメッセージ本物だったの?
「実は、メッセージにあった通り新規事業を進めている中、宇宙様のプレイヤーとしての様子を拝見いたしました。そこで、是非我が社のお力になっていただけないかと思いました。」
「いや、いきなりそんなこと言われましても…」
「そうですよね。では、今夜10時ごろにゲーム内でお会いしませんか?お会いいただければ100万G差し上げます。日本円に換算すると10万円程度です。お仕事を引き受けていただければさらに追加報酬を差し上げます。」
「…はい、わかりました。ピタセム都市国家でよろしいですか?」
「よかったてす。ピタセム都市国家にあるグリンドーの酒場でお会いしましょう。ではよろしくお願いいたします。」
そういうと電話が切れた。休憩室から戻ると田口が待っていた。どこからの電話だったのかと聞かれたが、お菓子を渡してなんとか聞かないような雰囲気を出すと、田口はそれ以上聞かなかった。なかなか空気の読める後輩だ。正直言うと、ゲームのことを話したいところだが、副業だと言われたらあとあと面倒なことになりそうだ。
そして、仕事が終わり帰宅してログインした。まだ、東ピタセム森林なのでとりあえず持ち物にある移動アイテムを使おう。基本的には歩くと経験値が入るので、歩き続けていたが緊急なのでこっそり買ったこれだ。
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ムーブの羽根ペン を使いますか?
はい◀︎ いいえ
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この羽根ペンでマップに触れると…。周囲が水色の空間に包まれた。よく見ると薄い白のグリッド線が書かれていた。リーナとスチュアートを包み込む。数秒経つと水色に囲まれた空間が消えてなくなった。
目の前は、ピタセム都市国家の城門の前に移動していた。初めて使ったけど、ちょっとクセになりそう。楽しい。マップでグリンドーの酒場を調べると都市の中央に位置していた。酒場を目指して歩き始める。しかし、一体どんな用なんだろう…。まだ、詐欺という可能性も捨て切れない…。でも、本当だったら…。そんな考えを膨らませながら歩いているうちに酒場に着いた。
中に入ると複数のNPCが椅子に座り、お酒や食事を楽しんでいた。そこに1人だけプレイヤーがいた。
「すみません。今日お電話してくださった方ですか?」
「ええ、そうです。ゲームの中ではありますが、商談をはじめましょうか」
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