第18話  わしの弟子にならんか?

  リーナが口を開けている理由がすぐにわかった。後ろに、魔物の気配を感じた。終わった。ただでさえで加減しているのに、このままとどめをさされるんだ。まー、かなり人気のゲームで久しぶりに長く休みを取れたから、一旦ログアウトして攻略方法でも探そう。




「やはり、お主筋がいいのう。弟子にならんか?」




「え?」




「じゃから、弟子にならんか?」



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S Sランククエスト


免許皆伝(隠れクエスト)

ウィルドに認められる


報酬

成功  ?????



失敗  レベル50ダウン

ウィルドとの親密度低下


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 SSクエスト?しかも隠れクエスト?レベル50ダウン?こんな序盤にこんなステージあるの?ただウィルドに認められるってなに?どうする…。千載一遇のチャンス。





「やりま………す!!」



「なんじゃその溜めは。」



「いえ、なんとなく。」



「よかろう。それではまず、ボロネーゼを食べるかの。まだあるから。ほれ。お嬢さんも食べなさい。」



「あ、ごちそうさまです。」


「わーい!いただきまーす!」



 美味しい…。麺は平たく、小麦の風味がかすかにする。ソースがよく絡む。ひき肉と玉ねぎ、トマトが口いっぱいに広がる…。香草とワインの味付けが絶妙だ。今度、料理にもチャレンジしよう。このゲームは奥が深そうだ。


「うまかろう。」



「はい!」

「うん!」


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HPが全回復しました。


ウィルドとの戦闘中のダメージは全て無効になります。(2時間)


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 なにこれ?回復はわかるけど、ダメージ無効ってことは…。



「それでは、さっそく組み手でもしてみるかの…。お嬢さんもやってみるかのう?」



「やるー!さっき2人ともすごかったから!」



 大丈夫かな、手加減してくれるのかな…。とりあえず、やってみたらいいのか。ウィルドは、ゴーレムを呼び出し、天井、壁の修理を指示した。そして、近くの階段から下の階層に移動した。


 するとダンジョンないとは思えない、広い空間に出た。野球やサッカーを複数チームが、実施してもしてもあまるような空間だった。



「それでは、いくぞい。」



 そういうとリーナの前に移動する。右左と優しく蹴りを繰り出す。リーナは咄嗟に腕を前に出すが、10mほど吹き飛ばされた。


【ウインド】



 しかし、たくましくもすぐにスキルを使用する。ウィルドはそのまま、蹴り上げるとスキルがかき消された。…強い。



 こちらもウィルドに距離を詰める。ボクサーのような格好でジャブを繰り出してみる。右右右。ウィルドはこちらに向かって、左半身を向けながら、左手、腕がしなやかに動き、攻撃をいなされる。

 

 さらにストレートを混ぜる。左手でいなされる。バランスを崩したまま、ウィルドの正面に来てしまった…。そして、カウンターの、要領でウィルドの右正拳突きが繰り出される。


ドン!


 強い衝撃とともに10メートルほど吹き飛ぶ。その間に、リーナが近づく。ウィルドの、足に向かってポカポカぐーでたたいている。ウィルドは見下ろして少し、間ができている。自分もそれを眺めていた。なんか、微笑ましかった。…ウィルドは、リーナを蹴り飛ばした。



 組み手だもんね?無慈悲だけども。









 




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