第12話

「あの……今のは?」

「あー……あれです。技能で無力化しただけですよ」

「そ、そんなことが出来るんですね……」

 と、変な空気になったところで時間となった。


「ど、どうやら時間のようです。皆さんお疲れ様でした!」

 講師が無理やり終わらせることにより、授業は終了した。

 ――そのまま帰ろうとしたとき、大地が俺にこっそり話しかけてきた。


『そうそう、ご主人さま。伝え忘れていたことが一つあります』

『伝え忘れていたこと? ……嫌な予感がする』

『帰ったら冒険者組合に向かってください。ご主人さまのランクを上げておきましたよ?』

 告げられたのは、衝撃の事実だった。


 学校が終わると、すぐさま冒険者組合へ向かう。

 そして受付に


「冒険者ランクを上げられた? らしいのですが……確認してもらってもいいですか……?」

 冒険者カードを渡しそう聞いてみる。

 すると……


「!? ……えっと……組合長直々に対応すべき事柄らしいので……案内します……」

 機械にカードを読み込ませたらしい受付嬢が俺を――随分と困惑した様子で――案内する。

 俺はその後ろについていく。何かあるのか? まあどうせランクが上がった事関連だろう。でもあんな感じになるかな……


 しばらく進むと大きな扉の前にたどり着いた。ここが目的地であるようだ。

 彼女はドアを開けて中に入るように促す。それにしたがって入るとそこには一人の男が立っていた。

「ようこそ、不破 黒斗くん。私はこの冒険者組合の組合長をしている『船橋ふなばし 哲也てつや』という」

 男はそう言って名乗ると深くお辞儀をした。とても丁寧だ。

 見るからにいかつい。正直怖い。今から何をされるか不安になってしまうほどだ。これなら暴力団の組合長のほうが信憑性がある。

 そんなことを考えながら見ていると彼は顔を上げて口を開いた。

「早速本題に入ってもいいかな?」

「えぇ……どうぞ」

「まず……君のランクだが……『S』になった……」

「……は? 一体何を言って――」

「そういいたくなる気持ちも分かる。私もそうだ。だがしかし、正式に承認されてしまったのだよ。渡されたくないだろうけど、これがその証拠だ」

 そう言いながら1つのカードを取り出し、俺に差し出してきた。

 そのカードを渡された俺は――


「はあああああ!?」

 と思わず絶叫してしまうのだった。

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絶望なる闇の魔王/皇 ~幻想の世界で俺は人類に絶望を刻み込む~ ねくしあ@『暗殺者』毎日投稿なう! @Xenosx2

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