第4話 失くした1/2

あのクッションはお母さんがどこかにしまった。

いつもの場所をもう見たくなかった。


毎日、何を見ても楽しくなくて

なんでか、夕方が嫌いになった。

いつも寂しくて、急に泣きたくなって

あの公園も行かなくなった。


夏休みが終わりそうな夜。

もう花火も楽しくないから今年はしなかった。




お父さんに呼ばれて部屋に行った。

「ここに座って」

お父さんの椅子に座った。音楽が流れてる。

この声はお父さんが好きでよく聴いてる人だ。



「これを歌ってるのは、尾崎豊って人なんだよ。

お父さんが高校生の頃、好きで毎日ずっと聴いてたんだよ。

でもね、尾崎はお父さんが大学生の頃に

急に死んじゃったんだ。

その時は、もうびっくりして、

悲しくて、寂しくてね。


お父さんも、ぽっかり胸に穴が空いたみたいに

寂しくて、思い出すのも嫌だったから

尾崎の曲を聴かなくなったんだよ」




何で、その人の話をするのか分からなかった。

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