第3話 遠ざかるぬくもり

シロが、あまりご飯を食べなくなった。

散歩も公園へ行くのも嫌がって

いつものクッションで寝てばかりいる。


お母さんがシロを病院に連れてった。

「シロはね、人間だったら、おじいちゃんなの。

それと病気だから元気がないのよ。」


何が寂しいのか分からなかった。

シロ、辛いのかな

シロと遊べなくなったのか

シロが、また元気になれるのか




ある日

いつもみたいに起きて、朝ご飯を食べようと下りたら

いつものクッションの前にお母さんが座ってた。

お母さんが泣いてるところを初めて見た。


お母さんがシロを抱っこしてる。

「シロね、寝ちゃったのよ。

疲れてたからね。

でもね、もう嫌いな病院に行ったりとか

薬とか飲まなくていいの。

いっぱいがんばったから、眠くなったって」



泣いても泣いても止まらない顔を

シロの優しい体に押し付けた。

温かい、いつものシロが

少しずつどこかへ行くのを顔で感じた__

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