第7話 雨降って、地固まる
翌日、横倉さんは無事に登校してきた。
私たちは授業前に前田先生のところへ行き、事情を話した。
「なんだ〜、ちゃんとあって良かった。先生も外部から侵入されたのかと心配になっちゃってた。」
それから、クラスのみんなへは前田先生からうまく話してくれた。
クラスのみんなも、なんだ〜といった声が上がっただけで、その後特に横倉さんを追求する事はなかった。
「誰も悪者にならなくて、ほんとに良かったね。」
放課後、紗英が屈託のない笑顔で話しかける。
『そうだね。でもあのまま真相がわからなかったら、今頃もっと大ごとになっていたかもね。そしたら、横倉さんももっと辛くなっていただろうね。』
「うん、何にせよ今回も板垣くんに助けられたね。お礼を言わなきゃね。」
影薄丸はと言うと、相変わらず居残りをさせられている。私たちの会話が聞こえているのかいないのか、無愛想にずっと机に向かっている。
『影薄丸!アンタ今回の真相、いつわかったの?』
「わかったってほどでもないけど、最初から本当に盗まれてたの?とは思ってたよ。後は1つ1つ可能性を潰していっただけ。」
『それ、誰かに提案する気はあったの?』
「全然ないよ。あんまり興味なかったし。」
『アンタね…。』
「まあまあ美咲、板垣くんには板垣くんの考えがあるんだよ。それより、美咲の行動力と板垣くんの頭脳が合わさったら、怖いものなしだね。」
『別にこんな奴の力借りなくても、解決できたわよ!』
「またまた美咲、本当は感謝してるくせに。」
『本当に違うってば!紗英!』
こうして、今回の事件も無事に解決する事ができた。
けれど、影薄丸はどうしてあんなに他人に興味がないのだろう。
それを知る事になるのは、もっともっと先に起こる、別の事件がきっかけなのだが、それはまた別の話としておく。
真の闇より無闇が怖い!〜消えた着替え〜 かぬち まさき @jhons
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