第5話 最終確認
「事件のあった今日だけど、ウチのクラスに体調不良者っていたっけ?」
『アンタね…何を言い出すかと思ったら。今日は欠席も遅刻もないわよ。早退した横倉さんを除いて、全員ずっと授業を受けてたわ。ってか、もう少し他人に興味を持ちなさい。』
下着が盗まれた時間は全員授業に出席していた。
もちろん全校生徒の中には、欠席などでその時間自由に動けた人もいるかも知れないが、わざわざ横倉さんの着替えを盗む動機が見当たらない。横倉さんは大人しくて、間違っても恨まれたり妬まれる性格ではないからだ。
「もう一つ、着替えが終わった後、女子全員で教室を探したと思うけど、その時何か不審な事はなかった?ってか状況をよく聞かせてよ。」
『不審って…別に変わった事はなかったわよ。もし変質者が侵入してたのなら、その時大騒ぎになってたろうし。』
「うん、女子全員が教室に入って着替えをしてる時に、横倉さんの下着がないってわかって。それで全員が着替え終わってから、先生のところに報告に行ったから。」
そう、着替えの最中は誰も入らない様に必ず全員が着替え終わってから扉を開けるのがルールとなっている。
女子の誰かが隠した可能性もあったから全員で教室中を探して、持ち物検査もしたけれど、結局見つからなかったのだ。
「おけ、わかったよ。それじゃあ今から横倉さんの家に行こうか。」
「板垣くん、犯人がわかったの⁉︎」
「その理由は向かう途中で話すよ。それに俺からは話にくいから、2人からちゃんと横倉さんに説明してね。」
私には密室の部屋から着替えが消えたトリックがわからなかったけど、影薄丸は既にわかったらしい。
時刻は19時を過ぎていて、ちょうど最終下校の時間となっていた。
私たちは学校を後にして、横倉さんの自宅近くへ向かう事にした。
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