第4話 聞き込み調査

前田先生は、女子バレー部の顧問だったから、ちょうど体育館で部活の指導をしているところだった。


『前田先生、ちょっと聞きたいんですけど、教室の鍵ってスペアってあるんですか?』


「吉岡さん、どうしたの?…って、例の盗難事件の事ね。スペアの鍵はあるけれど、当日は職員室から持ち出されていなかったわ。」


後から追いついて来た影薄丸が、続けて前田先生に尋ねる。


「先生、スペアの鍵って簡単に合鍵作れるんですか?」


「うーん…鍵を持ち出す時は台帳に記入しなきゃいけないし、過去にスペアキーを作るだけの長時間、持ち出された記録はないわ。ほんとに誰の仕業なのかしらねぇ。」


前田先生も困ったような顔をしていた。

けれど私たち3人を見て、


「犯人は先生たちで探すから、あなたたちはちゃんと今日の宿題をしなさい。」


と答えた。

周りのバレー部も、じろじろ見始めたから、私たちは先生にお礼を言って、そそくさと教室へ戻って行った。


「もう…ほんと吉岡さんは無闇に動くんだから。」


『なによ⁉︎スペアキーについて確認しなきゃいけないって言ったのはアンタじゃない!』


しかし、これで謎が余計に深まってしまった。

施錠に使った鍵は、水泳の授業中私たちの目の前にあったし、スペアキーも持ち出されていない。

犯人が事前にスペアキーを作っていた可能性もないから、一体どうやって教室に侵入したのだろう?


「犯人は、よほどピッキングの上手い人なのかな…?」


「いや奥間さん、それはないと思うよ。ピッキングとはいえ開けるのに数分はかかるだろうし、ガチャガチャ音も鳴る。さすがに他の授業中のクラスから、誰が気づくでしょ。」


影薄丸は、なんだかわかった様な顔をしている。


「それじゃあ、最終確認をするね。」

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