第2話 再結集
板垣冬馬は、顔も優顔で頭も悪くないのだが、妙に人付き合いが苦手な奴で、滅多な事では話しかけてこない。
以前、廃病院の噂を一緒に暴いた事があるが、冷静な反面どこか上から目線を感じて、私はイライラしていた記憶がある。
こんな奴がクラスの男子の情報を知ってるはずもないが、他に男子もいなかった為、私は仕方なく影薄丸に声をかけた。
『影薄丸!アンタ、横倉さんに気がある男子知らない⁉︎』
「…全然知らない。」
影薄丸は興味なさそうに回答した。
そっけない態度に私はカチンときて、更に問い詰めようとしたけれど、紗英が空気を読んで間に入ってくれた。
「勉強してるとこごめんね、板垣くん。さっきの水泳の授業の後の盗難事件は知ってるよね?私たち、被害にあった横倉さんの為に、犯人を探そうと思ってるのだけど…協力して貰えないかな?」
やっぱり紗英は優しい。こんな無愛想な奴にさえ、謙虚で丁寧に接する。
誰にも優しい紗英であったから、男女問わず慕われていて、今回の被害者は横倉さんだったが、私は紗英こそ1番被害に遭いやすいと思っていた。
「うーん…横倉さんは大人しくて地味だったけど、一部の男子からはそこが人気だったかな…。」
『じゃあ、さっさとその男子の名前を教えなさいよ!』
「いや、簡単に人に濡れ衣を着せる事はできないよ。そいつが本当に横倉さんに好意があるのかもよく分からないし。」
影薄丸にも、男同士の友情があるのだろうか?
だが、それを言うなら私たち女子には女子の関係がある。
『言えないってのは、余計怪しいんじゃないの?それとも、まさか犯人はアンタなの?』
「そんな訳ないだろ。」
「板垣くん、濡れ衣を晴らすなら、なおさら犯人を見つけるのが良いんじゃないかな?良ければだけど、私たちに協力してくれない?」
「わかったよ。」
影薄丸は紗英から言われるとあっさり了承する。なんだか感に触るが、貴重な男子の繋がりである。
こうして、私たちはまたも3人で調査を始めるのだった。
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