真の闇より無闇が怖い!〜消えた着替え〜

かぬち まさき

第1話 水泳の授業の後で

私は吉岡美咲、全校生徒700人ほどの、どこにでもある様な中学の2年生。


7月に入って期末試験も終わり、もうすぐ夏休みという頃に、事件は起きた。


「あれ…私の着替えがない…。」


水泳の授業の後、着替えの為に女子が更衣室に戻ると、同じクラスの横倉さんの下着がなくなっていたのだ。


着替えが終わった後、更衣室として使用していた教室を女子全員で探したが、結局見つからなく、その日横倉さんは仕方なく早退したのだった。


「美咲、さっきの事件、相当ヤバイよね。横倉さん…大丈夫かなぁ?」


そう話すのは、小学校からの幼なじみである奥間紗英。誰よりも優しくて思いやりのある、私の自慢の親友だ。


『横倉さん、地味にクラスの男子から人気だったからねぇ…。それにしても、盗んだやつ気持ち悪いよね。』


「うん…たぶんすごいショックだったと思う。自分がそういう嫌らしい対象に見られてた事も、盗まれた事自体も。」


事件のあった日の放課後、クラスの女子たちは男子の誰が盗んだか話題になっていた。


『私は横倉さんとあんまり話した事なかったけど…確かに心配だね。ねぇ紗英、盗んだ奴も許せないし、私たちで犯人を捕まえようか?』


「そうだね…。そっとしておいてあげたいのもあるけど、犯人が分からなかったら横倉さんも学校に来づらいと思うし…。」


『よし決まり!今から犯人探して、横倉さんに伝えに行こうよ!』


…と言っても、クラスの男子のほとんどが部活に行っていて、ロクに聞き込みも出来ない。


残っている男子は、宿題を提出し忘れて居残りさせられている板垣冬馬、通称[影薄丸]しかいなかった。

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