第23話
翌朝、何時もの様に早朝のランニングをして帰ってからシャワーを浴びる。
シャワーを浴び終わった後に洗面所で身体を拭いていたら、唐突に洗面所の扉が開けられた。
「………」
「………」
「おはようございます」
「……おはようございます」
寝ぼけ
「………」
こういう時は普通、叫ぶものなのかな?とラブコメ漫画に良くあるラッキースケベシュチュを思い浮かべたが、それはそれで何だか非常にめんどくさいし体力の無駄だなと思い、そのまま相楽君の隣りで身体を丹念に拭いて下着と服を着て出ていった。
自室で制服に着替えていると、
「わああああ!!!」
と言う相楽君の叫び声が響いた。
お祖母様がビックリして慌てて見に行っていた。
朝食の間中、相楽君はずっと私にごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいと言い続けていたけれど、私的にはどうでも良かったのでガン無視した。
お爺様とお祖母様が何とも言えない目で相楽君を見ていた。
蛇足だが、その日から洗面所の扉には使用中の札が取り付けられるようになった。
登校は勿論、同じ高校で方向は一緒なので2人揃って登校した。
何せ相楽君は一ノ瀬家からの学校の行き方を知らないのだからしょうがない。
「………」
「………」
2人終始無言で歩き続けていると、優ちゃんとミヤちゃんが合流する。
「こなちゃん!おはようございます!」
「こなたちゃん!おは!」
「優ちゃん、ミヤちゃん。お2人共おはようございます」
そう言って何時もの登校風景。
でも、今日は少しだけ違う。
「あれ?相楽君?」
「あれ?本当だ。直っちの
「え、ええと…」
「昨日から
「………はあっっ💢」
「そ、そそそそれはど、どうゆう事なのでしょうか?こなたさん…」
ガチギレの優ちゃんと余りの動揺で言葉遣いがおかしくなってるミヤちゃん。
「言葉の通りです。相楽君は一ノ瀬家でお預かりしております」
「何ですって!!」
「な、なんで…」
こうして見ると2人の相楽君への好感度がわかり易くて非常に面白い。
「相楽君!勿論こなちゃんには何もしてないでしょうね!」
「な、直っち、こなたちゃんとは別に何もないよね?」
「ひえっ!な、何もしてません!」
「そうですね、確かに相楽君は何もしてませんよ。まあ、あえて言うなら朝に私の全裸を見たくらいでしょうか」
そして、刻が止まった。
凄い、ママが能力を使わなくても刻って停まるんだ。
遂に私にも刻を停める能力が開花した!?なんてね…。
そんなアホな感想を抱きつつ私は再び登校を再開…
出来なかった。
「はあっっっ!!!💢💢💢」
「直っち…流石のアタシもそれは引くわ…」
そして、優ちゃんとミヤちゃんからの言葉攻めによる針のむしろ状態な青ざめた相楽君は、学校に着くまで私に延々とごめんなさいを言い続けるマシンと化したのだった。
……う〜ん。しかし、ママみたいなボンキュッボンなワガママボディーならいざ知らず、成長途上のお子様ボディー[注釈1]を見たくらいで何を騒いでいるのやら……全く、朝から騒々しいったらありゃしないよ。
[注釈1]
因みに、こなたがそう思っているだけで、中学生の中では、かなり発育がよろしいです。
でも下がツルツルなので、こなたはそう思っています。
何が、とは聞かないで下さい。
◇
一方その頃、織姫は…。
「相楽さん!早く起きて出てって下さい!シャワーが使えません!」
有言実行の相楽は風呂場で寝ていた。
「んん~お構いなく~」
「馬鹿なの?死ぬの?かまうから出てけって言ってるんです! 聞こえませんか?hurry up !get out!」
そう言ってゲシゲシと蹴りを入れる織姫は早朝のランニングで結構な汗をかいていたので早くシャワーを浴びたかった。
「うぇ!!す、すみません!」
状況を認識した相楽は、慌てて出ようとして、浴槽に、手を滑らせ肘をぶつける。
「アイタ!!」
「はあ、大丈夫ですか?」
そう言って差し出した織姫の手を取ると、引っ張られ近づく織姫の顔と汗に混じったフェロモンに当てられ相楽は慌てて出ていく。
そして、相楽はこのプロジェクトに参加した事を後悔し始める。
「やばいやばいやばいやばい!!朝からあんな美人の色気に当てられまくったら襲わない自信がない!!落ち着け!深呼吸して!スーハースーハー」
そして、織姫の残り香に再び当てられる相楽。
「わああああ!!織姫さんは仕事のパートナー!織姫さんは仕事のパートナー!織姫さんは仕事のパートナー!!まだ2日目だぞ!しっかりしろ!自分!!」
相楽が、己にそんな叱咤激励しているとはつゆ知らずに呑気にシャワーを浴びる織姫。
「はぁ~、やっぱり運動の後のシャワーは最高ですね」
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