第24話
相楽君が一ノ瀬家に居候し始めてから1ヶ月程たった今日この頃、相変わらずママは帰って来る気配が無い。
お爺様に聞いても、どデカいプロジェクトの根回しをして貰っている為、守秘義務扱いで家族にも教えられないそうだ。
なので、どれほどで帰って来るのかは2人の能力と機転と話術次第だそうだ。
それもあって相楽君のお父さんも渋っていたのだけれど、息子を社長自ら預かると言う事で今回折れてくれたそうなのだ。
そんな中、もうすぐ中学2度目の夏がやって来る。
「もうすぐ期末テストだね」
「ちょっと優!嫌な事思い出させないでよ!せめてもうすぐ夏休みだねとか言えないわけ?」
「いえ、ミヤちゃんは、思い出して正解だと思いますよ?この間の中間、この前より順位落としてましたよね?勉強の理解、追いついてますか?」
「うっ!それは…」
「お姉ちゃん言ってたけど、点数落とすとお小遣い減らされるって!だから何時も必死だって何時もお姉ちゃん言ってるよ?ミヤちゃんもこれ以上、成績落としたらお小遣い減らされちゃうんじゃないの?」
「あ、アタシは大丈夫よ、いざとなったらお兄ちゃんとお父さんに甘えれば何とかなるもの」
「その驕った考えを貫いていると手痛いしっぺ返しを貰う事になりますよ?……ふむ、ですがまあモチベーションを上げると言うのは確かに良い手ではありますね。直哉君ちょっと…」
「へ?な、何かな?こなたさん」
因みに、相楽君とは名前呼びになった。
一ノ瀬家で一ノ瀬さん呼びされると、皆一ノ瀬さんなので、ややこしいからだ。
初めて教室で名前呼びした時は何故だかクラス中がザワついたのは今でも謎である。
今は家庭の事情で相楽君を預かっている事はクラスに知れ渡っているので何の問題も無いのだけれど、何故だか、ほぼ毎日の様に友達?の誰かしらが
何故、友達に
例えば、小学時代から謎コントを披露してくれた
因み、私の周りに優ちゃんやミヤちゃんが居ると余り絡んで来ない友達もいる。
私の初めてのお友達と言う奴だ。
絵美ちゃんは大人しめの本好き少女で何時も教室で1人で本を読んでその世界に浸っている。
彼女とは放課後、市民図書館で良くコソコソと会話している。
彼女の本の趣味はとても雑多で話していると色々な雑学を教えてくれる面白い子だ。
良くオススメの作家の本を貸してくれたりもする。
選出する本が私と相性が良いのか?それとも私が好きそうなのをピックアップしてくれているのか?貸してくれる本は何時も面白い。
前に夜更かししてしまい気付いたら朝になっていて仕方なくそのまま早朝ジョギングに行った事も今では良い思い出だ。
おっと、話がだいぶ脱線してしまった。
「ミヤちゃんのモチベを上げるために協力して頂けないでしょうか?」
「協力?別に良いけど…僕に出来ること?」
「はい。1日程お時間を頂ければ…」
「長いよ!?」
「ミヤちゃんが今度の期末で10位内に入れば1日デートしてあげて下さい」
「で、デデデデート!?」
後ろでミヤちゃんが急に壊れた。
「…はあ、まあ、別に良いけどさ…こなたさん、これ貸し1つだよ?」
「別に構いませんが……そうだ、何なら私の裸、ノーカンにしても構いませんよ?」
「謹んでお受け致します!!」
「おい!何だよ裸って!」
「おま、お前、まさか一ノ瀬さんの…裸…見たのか?」
先程まで直哉君と会話していた十文字君と蒔田君が唐突に絡んできた。
「なっ!そ、そんなわけないだろ!!こなたさんも勘弁して下さい!!」
「その動揺、答えたのも同じ!まさに万死に値する!」
「市中引き回しの上、獄門決定!死んで詫びろ!直哉!!」
「冗談です」
「な、何だよ冗談かよ、マジで焦ったぜ!親友!」
「直哉、焦らすなよ~マジで殺処分する所だったじゃんよ~」
「何でこなたさんの言葉だけ信じるんだよ!僕の事も信じろよ!!」
何だか、あっという間に決壊しそうだな男子達の友情。
そんな事を考えていたら何故だか直哉君にジト目で見られたけれど、直哉君もミヤちゃんからジト目で見られていた。
まあ、ミヤちゃんは真相しってるからね。
後、優ちゃんも…
うん。そして、優ちゃんはそろそろ殺気を消そうね。
さっきから凍えそうだよ?
◇
一方その頃、織姫は…。
「次ニューヨーク行きの飛行機が18:30発です」
「ちょ、ちょっと待って下さい!一ノ瀬さん!一体どんな体力してるんですか!ウチらもう2日も完徹してるんですよ!宿取って休みましょう!」
「何言ってるんですか?飛行機の中で12時間は寝れますよ?阿呆な事言ってないで早く行きますよ!」
「飛行機じゃ安眠できませ~ん!!改善を!就業の改善を求む~!!」
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