第19話
未だに警鐘を鳴らし続けている私の第六感をまるで鼻で笑うかの如く今日も何事も無く日々が過ぎる。
数日間程、転校生君がお礼とお詫びをしたい的な事で纏わりついて来ていたが、「私が気にしてないから貴方も気にしないで」と言い続け、しばらくして
本当になんなんだろう…
まあ、何時までもそんな事に気を取られているのもバカバカしいので、第2種戦闘配備程度で彼にマーキングしておけば近づかれてもビーコンで対応出来る。
何かあれば即反応とまでは、いかないにしてもそこそこ対応出来る自信はあるし。
と、言う訳で警鐘アラームをマナーモードに設定し、通常の生活のリズムを取り戻していく。
◇
家に帰るとママはまだ帰ってないようだ。
「あら、こなたちゃん。お帰り」
「ただいま戻りました。お祖母様」
「そうそう、突然だけど、この後時間空いてるかしら?」
「?はい。別段これと言って予定はありませんけれど」
「本当!良かったわぁ〜。姫ちゃんも直接来れそうって言ってたし問題なしね!」
「はあ。?」
「ああ、ごめんなさいね、何かお父様がね?あ、こなたちゃんにとっての曾祖父になるのだけれど、何でも娘と孫と曾孫で一緒に食事したいとか言いだしたのよ。まあ、お父様もいい歳だから私も親孝行出来るうちに、しとこうかなと…ね?」
こなたは織姫を通して一ノ瀬家だけでなく雨宮家のお家事情にも精通しているので、親孝行と聞いて納得する。
「…ふむ。なるほど…はい、いいんじゃないですか?親孝行。私はアリだと思いますよ!」
「あら!?そお?もう姫ちゃんといい、こなたちゃんといい2人とも優しいいんだから!大好きよ!こなたちゃん!」
「はい!私もお祖母様が大好きですよ!」
そうして、普段使いには抵抗のある、ちょっと?良い目の
「まあ、可愛いわね!こなたちゃん」
「お祖母様は……美魔女…ですね。…ナンパされないか本気で心配してしまいます」
着飾ったお祖母様はママと遜色無い美貌の持ち主なのだと改めて思い知らされる。
ママと2人で並べば、10代後半から20代の姉妹に見えるのではなかろうか。
これで56歳の一児の母とは誰が信じるだろう。しかも衰えといったものを微塵も感じさせない。
正に人類の神秘だね!
そんなこんなで、お祖母様と2人でタクシーを使い、指定された料亭へと足を進めた。
料亭の前に着くと1台前のタクシーからママが降りてきていた。
「あ!ママだ!」
「あら、本当ねぇ。姫ちゃん、本当に時間厳守よねぇ。お仕事大丈夫だったのかしら?」
そう言いつつお祖母様はケータイを使って電子決済で支払いを済ませていた。
お祖母様って、何気に最先端なガジェット使いこなしてるのよね。
若さの秘訣なのかな?
そう思いつつも私は颯爽とタクシーを降りてママの背中に抱きついた。
「ママ!」
「きゃ!」
可愛らしい悲鳴が辺りに響き、抱きついた正体が私だと気付くとジト目で私を見てきた。
「はぁ、考えてみれば私の後ろを取れるのは今の所、こなただけでしたね。ふだん無意識化でも常に後ろを取られ無い様に
ママは私と過ごした9年間でレベル上げをしていたようだ。
詳しく聞くと目の前に居ても認識されないレベルで
空間把握能力ってそういう感じの能力だっけ?
それにしても、目の前に居ても認識されない能力とか…ママはアサシンにでもなるつもりなのだろうか?
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