第16話 閑話
「姫ちゃん姫ちゃん。これ、白鷺系列のホテル招待券が届いていたのだけれど、姫ちゃんに白鷺グループのお知り合いって居るの?」
「白鷺…ですか?」
唐突に母にそんな話を振られ、はて?と考え込む。
「誰だったでしょうか?」
そう言って受け取った封書を開くと本当に招待券だけが入っていた。
どうやらグランドオープン前に行う関係者の為のプレオープンへの招待状のようで日付け指定されている。
関係者?
何かそれ関係で仕事をしただろうか?
ここ最近スケジュールを組まれるままに仕事をこなして来ていたので、何処のスポンサー関連繋がりなのかよく分かっていない。
故に、例え白鷺グループの仕事をしていたとしても私にはよく分からないのだ。
だけど、こういった物は事務所通して来るものなのだけど私個人宛とはこれ如何に?
まあ、くださると言うなら遠慮なく使わせていただきますけど…。
それに、どうやらこのチケットで4名まで可能らしい。
「家族の皆様で、という事でしょうか?」
最近、仕事は抑えているから、行く分には問題ないけれど、差出人不明なのが…いえ、白鷺グループの方なのはハッキリしているのですが…ちょっと怖いですのね?
「まあ、新設のホテルで施設使い放題なのね。あら、エステとか良いわねぇ〜。珠には息抜きしたいわ」
「はぁ、まあ、お母さんが行きたいのでしたら別に構いませんが…プールもあるんですね。こなたが喜びそうです。こなたとお父さんは予定大丈夫でしょうか?」
「ああ、どうかしらねぇ」
「まあ、土曜日なので大丈夫ですかね?」
「識留さんには後でLIN○送ってみるわ」
「ん。なら私はこなたが帰って来たら聞いてみるよ」
そんなこんなで奇跡的に皆の予定が空いていたので皆でプレオープンに遊びに来た。
「一ノ瀬様ですね。プランマネージャーよりお伺いしております。ご案内いたします」
そう言ってコンシュルジュ的な人に引き継がれ、何も分からず案内について行く一ノ瀬ファミリー。
「織姫さん、お久しぶりね。元気してた?」
「え?」
唐突に声をかけられた先には大学時代の友人がいた。
「なによ?数年会わないだけでもう忘れちゃった?織姫さん、酷〜い」
「…楓さん」
「改めまして、ようこそ当ホテルへおいで下さいました。御家族の皆様も歓迎いたします。……こなたちゃん、本当にお久しぶり。しばらく見ないうちに大きくなったわねぇ〜」
「楓ちゃん?」
「あら、覚えててくれたの?嬉しいわね」
「うん!お菓子いっぱいくれたお姉ちゃん!」
「あらあら」
「ふぉふぉ」
「ふふふ。親御様も可愛い孫が愛おしくて仕方ないでしょう?」
「もちろんよ」
「正に目に入れても痛くないと言う奴だな」
「うふふ」
「おほほ」
「ふぉふぉふぉ」
いや、私が出産した訳じゃないからね?覚えてます?皆様?
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