第10話

 今日はユウちゃんとミヤちゃんとプールに行く事になった。


 子供だけでは危ないとの事で、保護者兼監視役としてミヤちゃんのお兄さんとユウちゃんのお姉さんが一緒に来ている。



 ミヤちゃんとユウちゃんは幼なじみな関係らしく、その上のお兄さんとお姉さんも等しく幼なじみという間柄な訳で…。


 何やら妙な空気が流れている様に感じるのは私だけだろうか?



「こなたちゃん!はやくはやく!」



 そう言って私の手を引っ張るユウちゃんとミヤちゃんに引き摺られる様に連れ出される私。


 そんな光景を微笑ましく見つめる保護者兼監視役達、そして目が会うと互いに顔を赤くしては、そっぽを向いたり、俯いたり。



 そして、互いにチラチラと目線を飛ばしあっている。


 …あれ?これって私達、しに使われてる?



 そうこうしている内に、私達は電車に揺られ、大きな野外プール施設に到着したのだった。


 私達はお揃いで水着を購入していたので、赤青黄の3色ヒーローのようだ。



 因みに、ミヤちゃんが赤色のワンピースで、ユウちゃんは黄色のワンピース。


 そして、私は青色のワンピースで、共にぽっこりお腹を惜しげもなく大胆に披露しているわけなのだが、小学生なのでしょうがない。



 私達も、もう少し大きくなればボンキュッボンのママの様な体型になれるはずなのだ。

 


茉夏まなつ。水着、その…よく似合ってる。凄く…その…可愛いよ」


「~~~っ!たかくんのバカ…」


「………」



 私は目の前で何を見せられているのだろうか。



「おにいちゃん!ミヤあれのりたい!」



 そして、一切いっさい空気を読まずに2人の間に割り込んだミヤちゃん。


 まあ、小学1年生ならそんなものなのだろうか。



 そう言って指さしたのはウォータースライダー。



「え?あれって小学生とか大丈夫だったっけ?」



 お姉さんの疑問にお兄さんがすぐ様反応する。



「じゃあ、俺ちょっと見てくるよ!みやび、とりあえず小学生が乗れるか確認してくるから、そこの子供プールで遊んでてくれな」


「はやくしてね〜」



「はいはい。…茉夏、すまないけどみやび達を見ててくれるかい?」


「うん。わかった」



「雅も茉夏の言う事ちゃんと聞くんだよ」


「はぁ〜い」



 そう言ってミヤちゃんのお兄さんはウォータースライダーの所へ向かっていった。



「じゃあ行こ!ユウちゃん!こなたちゃん!」


「うん!」


「え?うん」



「え?え?ミヤちゃん?」



 そう言って駆け出すミヤちゃんとユウちゃん。



「お姉さん、行かないんですか?」


「こ、こなたちゃん〜〜」



 目をうるうるさせてコッチをみてくるお姉さん。


 いや、お姉さん、貴女、私達の保護者兼監視役でしょうに。



 何、小学生に振り回されてるんですか。


 高校生とかなら、そんなものなのかな?



 しばらく子供プールで水の掛け合いをしていたら、ミヤちゃんがいつの間にか消えていた。



「あれ?ミヤちゃんは?」


「うん?あ、あそこ、おねえちゃんのところ」


「あ、ホントだ。何してるんだろ」



 不思議に思って近づくと声が聞こえてきた。



「わたし、のどかわいてきちゃった。きっとユウちゃんとこなたちゃんもそうだよ。まなつちゃん、ちょっとジュースかってきてくれないかなぁ〜」


「え?でも、私、皆の事お願いされたし、貴くんが帰ってきてからでも…」



「ミヤはすぐのみたいの!」


「あ!なら、麦茶あるよ。水筒に入れてきたんだ」



「いやぁ〜!ジュースがいい!」


「ええ?」



 何だか我儘姫が降臨されていらっしゃる。



「ミヤちゃん、お姉さんは保護者兼監視役なんだから、あんまり我儘言ってると次、来れなくなっちゃうよ?」


「むぅ〜」


「こなたちゃん〜〜」



「それに麦茶は汗と一緒に流れるミネラルを多く含んでいるから夏バテにも良いしね」


「ほわ〜、こなたちゃん物知りなのね。凄いわ!」


「むぅ〜」



 何とか険悪な状況は回避できそうだ。



「おねえちゃん!ユウ、オレンジジュースのみたい!」



 そして、ここにもう1人、場の空気を読まないお子様がいらっしゃるようだった。


 勘弁してよ…。


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