第6話
最近、全教科を一読してみたら、余りに衝撃的な事実にぶち当たった。
てっきり手加減して教えているのかと思っていた初等部の教科は、あれが通常営業だったのだ。
その事をママに相談したら、
「先んずれば人を制すとも言います。こなたにとって初等部の授業が意味の無いものなら、個人的に先に進めば良いかと…」
と、言われ最近は授業中にママの通った大学の過去問を解いている。
数学と物理はパズルみたいで中々楽しい。
ただ、歴史とかはその時代の考証とか現場を見て見ないと、分からない物が多く、特に厄介なのは、現文。
作者のこの時の心情を述べよとか、マジで意味が分からない。
ただ1つだけ、貧乏暇なしなのだけは良く分かった。
つまり、この作者達は、何だかんだ周りに恵まれていたのだ。
そうでなければ、その時代、作家何て出来はしないのだから…。
泣き言や愚痴をダラダラと綴る暇が有るなら、パトロンなんかに頼らず、自分で色々な場所を巡り働いて見聞を広めた方がまだ、有意義だっただろう。
ペシミストとか甘ったれた思想としか…
「一ノ瀬さん!一ノ瀬こなたさん!」
「ふぇ!」
過去問の答案用紙に自分の愚痴ともとれる答えを思考し書き込んでいたら、結構集中していたらしく、先生に指名された事に気が付かなかった。
くすくす
「ふぇ!だって…」
「こなたちゃん可愛い…」
思わず、変な声が出た事に周りが笑っている。
非常に恥ずかしい。
「一ノ瀬さん、ここの答えが分かりますか?」
そう言ってチョークでコツコツと叩いている黒板には2桁の足し算が書かれていた。
「43です」
「あら、正解。流石は新入生代表だけはあるわね」
「恐縮です」
「それで?そんな代表の一ノ瀬さんは、授業に集中しないで、何を書いてたのかな?」
そう言って、此方に歩み寄り私の机の前まで来る鹿嶋先生。
初等部の教科書は大き目なので立てて使うと、その裏で何をしているかが前からは見えないので隠し事には便利だが、それはそれで、あからさまに目立つ行為ではあったなと猛省する。
等と思考を飛ばして現実逃避をしていたら、サクッと立てていた教科書を持ち上げられる。
勿論、早弁とかはしてないので、(給食ですから)お弁当箱は無いけれど、手元にあるのは、大学の分厚い過去問。
そこにびっしりと書き込まれている答え。
一瞬にして顔を顰める鹿嶋先生。
「これは全部一ノ瀬さんが解いたの?」
「え?はい、そうですけど…」
「他にはあるのかしら?」
「え?は、はい…」
そう言って授業をサボっていたのがバレてしまったので、諦めてランドセルから他の過去問も取り出す。
「英語に物理と数学と歴史」
ペラペラと過去問を
勿論、今まで授業をサボっていた分、過去問の中身はびっしりと答えが書いてある。
パタンと過去問を閉じると、はぁ〜と溜息を吐く鹿嶋先生。
「日本にも小学生の飛び級制度があれば良かったのにね。ふむ、一ノ瀬さんにとっては退屈な授業よね?一応、職員会議に通しては見るけど、でも、なるべく授業は聞いててね?」
「え?は、はい」
あれ?怒られなかった?
こうして何故だか良く分からないうちに私は、なし崩し的に授業中、過去問を解いていて良くなった。
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