第5話
「CM…ですか?」
「そうなのよ!織姫ちゃんに是非にってオファーがあってね、それも朱聖堂からよ。
まあ?今まで化粧品メーカーが織姫ちゃんを採用しなかったのが不思議なくらいだったから、遂に来たって感じよ」
「はあ…」
「きっと化粧品メーカー同士で、織姫ちゃんを巡って熾烈な裏工作が繰り広げられていたのね!」
「はあ…」
「で、で!勿論受けるわよね?」
「お断り出来るのですか?」
「ん〜♪」
「はぁ、またそれですか」
「稼げる時に稼いでおかないでどうするのよ。ほら、こなたちゃんの為にも頑張って、ね!」
「はあ…」
最近、こなたまで芸能界に引きずり込もうと画策している織田社長に変に、これ以上の弱みは見せられない。
こなたは私が護る。
因みに、この織田社長。
昔、お世話になったスクールの織田先生とバーチャルラバーの織田社長のお母様でいらっしゃる。
まあ、織田家のトップとも言う。
織田先生のスクールは所謂、織田プロの養成所に位置するので、基本スクール出の人達は織田プロ所属になる訳で、まあ、バーチャルラバーは辞めたのだけれど、スクールまでは辞めていなかったので、オファーが織田社長から来たと…。
この織田社長、名前は佳代子さんと言い、性格は……結構なタヌキさんである。
そして私は、スクール時代にこの人と何度か遭遇していたのだ。
時に掃除のオバチャンとして、ある時は購買のオバチャンとして、またある時は子役の保護者として、初め他人の空似かと思っていたけど、毎度演じて生活していた私にはバレバレだったのだ。
気にしたら負けかなと思っていたけれど、1度だけ聞いて見た事があった。
そんなにずっと演じていて疲れませんか?と…。
その時は片眉をピクリと動かしただけで、なんの事?と誤魔化されたけど、私も自分に同じ事、突っ込まれたら、同じ反応するなと思い、その時は有耶無耶にしてしまった。
それが悪かったのか、私は織田社長に高校時代から目をつけられていたらしい。
いつの間にか、私がバーチャルラバーでバイトしいた事も調べられていて、今回の契約を結ぶ時の弱みとして握られてしまっていた。
流石に高校時代から、傍から見れば援コーに見えるバイトをしていた事を両親に知られたくは無い。
いや、身体を売ってなくても、これも立派な援助交際なのか?
お金…貰ってたしな…。
うわ、考えたら最悪だ私…。
真面目に凹む。
いや、あれはバイト、あれはバイト、あれはバイト!
ちゃんと事務所通してたしぃ!
契約書もあったしぃ!
………。
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