第4話


「こなたちゃん!きょう、おひるのおとうばんだよ?いっしょにいこ?」


「あ、はい。ありがとうございます、絵美ちゃん」



 入学式から三ヶ月、クラスの班分けで良く一緒に行動する子達と仲良くなった。


 三ヶ月もすると、班分けも作用しているのだろうけど、幾つかの集団クラスターが出来上がっていた。



 初めママに脅され…ゴホン…警告されていたので、恐る恐る見極めようと行動していたけれど、ママが言うほど、そこまで打算的な子はそんなにいなかったので、今は普通に学校生活を楽しんでいる。



 その中でも、上流階級と言うか親の繋がりがあるからなのか、初めから纏まっていた子達が、何かにつけてちょっかいをかけてくる。


 それだけが、ちょっとウザイ。



「あら?いちのせさん?ごきげんよーですわ」


「ごきげんよーですわ」


「ですわ」



「あ、はい。ご機嫌よう」



「きょうは、おとうばんなのですわね。しっかりとはたらいてくださいまし」


「くださいまし」


「まし」



「はあ。では、お入れしますから、器をお願いします」



「あら、わたくしとしたことがうっかりですわ」


「ですわ」


「わ」



「はあ」



 私は一体、なんのコントを見せられているのだろと毎回思う。



 まあ、小中高一貫校な、お受験ありの学校なので、セレブなお嬢様やお坊ちゃまが入学してるとあって、性格の濃い方々もいらっしゃるのだと思う事にしている。



 それにしても、受験内容もそうだったが、この三ヶ月の授業が余りにも簡単過ぎて、本当に進学校なのかと不安になるレベルだ。



 特に演算処理が得意な私にとっては、意味不明な位に簡単で、確かに基礎は大事だけど、今更、足し算、引き算とか……せめて掛け算、割り算位にしておいて欲しかった。


 この前なんか余りの暇さに、寝落ちしそうになったくらいだ。



 最初だから、様子見な手加減をされているのだろうか?


 この前ママから、初等部ならここら辺だったでしょうか?と教えて貰った因数分解すら出てこない。



 それに、まだ、おかしな事がまだある。


 授業に外国語の枠が存在していないのだ。



 それをママに話したら、首を傾げて、不思議ですね?もしかしたら2年生辺りからの授業だったかも?と言っていた。


 なので予習を兼ねて、英会話の教室に通う事にしたので、何時でも来い外国語!と私の臨戦態勢は完璧だ。



「皆さん、それでは頂きましょう。頂きます」


「「いただきます!」」



 自分の今日のノルマを果し終え、皆と共に給食を食べる。



「こなたちゃん、おいしいね」


「…そうですね」



 はっきり言って、ママが作ってくれる料理に比べると美味しくは無い。


 けれど、これも食育の一貫なのだからしょうが無い。


 まあ、我慢しなければならない程、不味い訳ではないし…と言うか普通?



「こなたちゃん!こなたちゃん!こなたちゃんは何が好きなの?」


「え?」



 脈絡の無い突然の会話振りを受け、すぐさま相手が何を聞いているのかを模索する。


 ご飯時に聞く好きな…好きな料理か!



「えーと、ママ…ゴホン…お母様が作って下さるオムライスでしょうか?」



「へぇ〜。こなたちゃんのママ、オムライスおじょうずなのね」


「まあ…そうですね」



 ママを褒められて思わず嬉しくなってしまう。


 自然と顔が、はにかむと周りがザワつく。



「こなたちゃんは、かわいいねぇ〜」


「ねぇ〜」



「なっ」



 唐突にそんな事を言われ、思わず赤面してしまうのだった。






 注釈ちゅうしゃく:織姫は様々な世界線の記憶を併合しているうえ一時期、自らの記憶を改竄している為、過去の記憶が曖昧になっている。


 因みに実際、織姫が学校に通い始めたのは中等部からである為、こなたに教えている事に齟齬が生じているが、織姫はその事に気がついていない。

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