第3話
皆様、こんにちは。織姫です。
私は今まで、とあるスタジオでドラマの撮影をしていまして、今は次のモデルの撮影の仕事の為に移動中です。
最近、富みにこの様な仕事が増えた様な気がするのは気の所為ではないと思うのです。
そう。思えば私は3年前、確かに父のコネで父の会社の事務職についた。
志望通りの事務職。
私はあの時、少し浮かれていて、父が仕掛けた罠に気が付かなかった。
「織姫、入社おめでとう。希望通りの事務職なんだが、その…な?デザイン部門の奴らがしつこくて、その断り切れなかったんだ。
その…スマンが偶にでも良いからモデルの仕事もしてくれんかな?」
「え?」
「勿論、織姫が嫌なら断ったって構わんのだぞ?
けれど、前にも1度やってるし、一応、織姫の気持ちもどうなのかと思ってな?」
「はあ」
「どうかな?それに事務職だって現場をきちんと把握してた方が仕事としても捗るのではないか?」
「はあ、まあ、そういうものですかね?」
「そうだとも!事務も現場も多くこなして来た私には分かる」
「まあ、そこまで言うのでしたら、偶に…でしたら」
「そ、そうか!まあ、気分転換がてらに顔を出して上げたらいい。向こうも喜ぶだろう」
「まあ、そうですね。1度はお世話になりましたし、顔見せ位は」
「ああ、そうしてやってくれ」
「はい」
そうして、初めは確かに偶にだった筈のモデルですが、入社2年目から次第に増え続け、それに伴い、世間での認知度が上がると昔、スクールでお世話になっていた織田社長にオファーを受けた。
チョイ役で、代打見たいなものだからとお願いされ、まあ、チョイ役ならと引き受けた事から、メディアに知られる事が多くなり認知度が急上昇し始めた。
後で知った話、織田社長と
私はまんまと罠にハマった訳で…。
まあ、一度引き受けたのなら、最後まで
今や私の生活は、基本モデル業、ドラマ出演、
そして、残りの1パーセント位で事務職。
今や私は、推しも押されぬマルチタレントと化していた。
どうしてこうなった!?と言うかまあ、父の罠にまんまと嵌められただけなんだけど、それにしてもこれは酷い。
気が付かつけば、周りが固められていて、そうそう辞められない状態に。
なんだろう。
花菜もこんな状態で結婚したのだろうか?
だとしたら、非常に申し訳ない。
もう少し親身に相談に乗るべきだったかもしれない。
まあ、今更なんですけどね…。
「織姫ちゃん!良いねぇ!その憂いな表情頂きます!」
カシャ!カシャ!
「次ポーズよろしく!お、良いねぇ!」
カシャ!カシャ!
黙々と仕事を熟し、精神を殺し、なるべく早く終わらせる様に行動する。
世の中、理不尽だらけだよ!
こなた、本当に気を付けて!
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