第7話 断捨離

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 とある分譲マンション。一部は賃貸の扱いもあり、単身者から夫婦、子育て世帯に子が巣立った中高年世代まで……幅広い世代が混在している。比較的築年数は古いが、それなり以上のマンションだ。


 鹿島夫妻の暮らす家であり、いまの秋良が帰る場所。ただし、それは安寧を得るためではなく、過去と決別するため。


 あの日、秋良が家を飛び出し、あの怪しげなバーへ辿り着いたのは既に夜中。異世界へ行って戻ってくる間、この世界の時は秋良の帰りを待ってくれていた。


 ただ、彼自身には二十年の異世界体験が在々とその身に刻まれており、いきなり肉体だけが若返るという異常事態だ。


 管理者マスターからある程度の説明を受けた後、不可思議な白の空間から怪しげなバーへ戻った際、秋良はバーテンダーとしての役割をマスターに望む。


 バーの客としては語る言葉を持たず、カウンターで数杯、ウイスキーの水割りを静かにあおりつつ……“アキ”は昔を思い返して、口調や表情などを“鹿島秋良”へと切り替えていく。かつての自分を再起動する。


「(さて。しばらくはニートをするとしても……麻衣との離婚はさっさと済ませておきたいな)」


 店を出て、在りし日の錆びた思い出の眠るマンションに辿り着いたのは、既に日も変わる頃合い。

 異世界での日々による賜物……その身の内に『魔力』を巡らせるが故にか酔いもない。


「(俺にとっては久しぶりだけど……麻衣にとっては数時間前のこと……流石に起きて待っているのか。で、もう一人の気配……これは品川さんか?)」


 玄関には明かり。部屋の中には何故か二つの気配。麻衣ともう一人。品川京子。


 この世界で普通に暮らしていた頃の秋良に、品川京子の気配など把握していた訳ではなかったが、いまの秋良には不思議と判別がついた。


 鍵を開けると、その音に反応して二人の女性が待ち受けていた。秋良の予想通り。


「あ、秋兄ぃ……! か、帰ってきたんだね……心配した……!」

「秋良先輩。夜分にお邪魔しています。その……麻衣に事情を聞いて私も心配になったので」


 秋良のことを本気で心配している“風”の麻衣。

 そして、自らの状況を説明して軽く頭を下げる京子。

 何故か秋良の目には二人の熱量の違いが視えた。


「厳密には帰ってきたわけではないけど、ただいまと言っておくよ。……品川さんも申し訳ないね。こっちの事情に巻き込んじゃってさ。どうせ麻衣に呼び付けられたんでしょ?」

「い、いえ……そういうわけでは」


 違和感。

 京子が秋良と言葉を交わすのは久しぶりではある。しかし、それでも彼女は彼の言動……纏う雰囲気に違和感を覚える。『あれ? 秋良先輩はこんな人だったか?』という引っ掛かり。


「麻衣。とりあえず、先の事を話し合おうか?」

「……え? わ、分かったよ……あ、秋兄ぃ?」


 そして麻衣も同じくナニかを察知した。


 彼女達が知らない鹿島秋良。



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 ……

 …………

 ………………



「……とまぁ、そういうわけで麻衣とは離婚しました」

「そう。……ホント、麻衣はどこまで行っても馬鹿な子ね」


 吐き捨てる。そこには呆れと嫌悪。

 セリフの主は高峰たかみね紗英さえ。麻衣の母。


 最愛の夫と親友夫婦を喪って以降、高峰母子は確執が残ったまま。事故の遠因が当時中学生だった麻衣にあると……未だに紗英は思っている。


 それは一種の逃避なのだろうと……周りも一定の理解は示してはいるが、それを踏まえても、彼女の娘へあたりは強かった。


 事故の遠因がバス旅行をプレゼントしたことだと言うなら、本来は秋良も紗英の恨みの対象のはずである。しかし、彼女は秋良のことは受け入れている。むしろ、両親を同時に亡くした彼のことを心配までしていた。


「紗英おばさん。ということなので、俺は今後、麻衣とあなたの橋渡しは出来ません。もう会うこともないでしょう。麻衣に言いたいことがあるなら、次からは彼女と直接やり取りしてください」


 昔からの呼び方。麻衣と結婚したあとも変わらない。

 事故当時の高校生の頃から、秋良は紗英と麻衣の関係修復のために奔走してきた。間を取り持ち、いまは秋良を通してではあるが、当たり障りのないやり取りが母子で出来るくらいにはなっていた。


 だが、麻衣との関係が終わった以上、秋良は高峰母子に関与する気はない。というより、もう興味がない。


「当然のことね。でも……麻衣はともかく、別に私にはこれからも会いに来てくれて構わないのよ? 秋良君のことは本当の息子のように思っているから」


 ナチュラルに『会いに来い』と要求する傲慢さ。自らは動く気もない。


 今の秋良には分かる。


「(やっぱり親子か。おめでたいな。俺が『会いに来たいが気を遣っている』……と、本気で思っていそうだ。自己中心的なのは麻衣とそっくりだな)」


 自分の為に周りが動くのは当然。……そんな紗絵や麻衣の気質を、今の秋良は正しく理解している。


 突然に夫を亡くしたのは辛いことだ。

 家族ぐるみの付き合いだった親友夫婦を失ったのも悲しいことだ。

 自身も大怪我を負い、愛する者達の葬儀にも参列出来なかった……意識が戻ったときには全てが終わっていたというのも苦しいことだ。


 当時の秋良にだってその程度は容易に想像がつく。


「紗絵おばさん。最後だから言っておきますが、俺は別に麻衣に気を遣ってるわけじゃなくて、この先、あなたと会う必要がないから会わないだけです。……大切な人を亡くしたのはあなただけじゃない。麻衣だって同じ。しかもまだガキの頃にだ。そんな麻衣ガキに八つ当たりして、未だに被害者ぶってるようなあなたと親子ごっこを続ける気はないさ。麻衣と離婚した以上、もう姻族いんぞくでもないしね」


 モヤモヤしていた。かつての鹿島秋良は『俺が何とかしないと!』と奔走しながらも、何処かで想ってもいた。


『俺はもう二度と両親に会えない。でも、紗英おばさんと麻衣は話が出来るのにな』


 そんな想いを秘めつつも、母と娘の仲を取り持とうとしていた。


「な……ッ!? あ、秋良君!?」

「ま、精々悲劇のヒロインごっこを母子おやこで続けてたら良いさ。じゃあ、お元気で」


 秋良は伝票を持ってあっさりと店を出る。

 何やら喚いてるは無視だ。


 かつての秋良は、紗英と会う際には高峰家を訪問していたが、今回は展開の予想がついた為に地元の喫茶店を選んだ。


 中途半端な田舎だ。周りの席には常連であるご近所さんばかりで聞き耳を立ててる。


 麻衣との離婚も、紗英との決別も、後は噂好きな連中が勝手に喧伝するだろうという狙いが秋良にはあった。


 もっとも、噂が流れるにあたって、地元に残っている祖父母には少し悪い気はしたが……。


「(爺ちゃんと婆ちゃんも世間体が大事ってだけだからなぁ)」


 秋良は当然祖父母にも離婚の話をしたが、二人は『やり直せ』一辺倒。まだ孫を心配するなら理解もできたが……地元では鹿島家と高峰家の内情は知られているために『外聞が悪い』ということ。麻衣の浮気や秋良の疲弊などどうでも良いと言わんばかり。そんな祖父母の姿を彼はまざまざと見せつけられてしまった。


「(かつての俺はこんなモノに固執していたのか……振り返ると、洗脳されてたと言っても過言じゃないよな)」


 今の秋良が過去を振り返ると……身辺整理が捗るというもの。


「(さてさて……職場の方は離婚のショックで……とか言って無理矢理バックレで良いだろ。穴を空けるのは心苦しいが、元々ブラックな介護施設だし、職員一人の穴埋めも出来ないなら、お偉方にも責任はあるだろ)」


 仕事も切る。社会人として、周りの職員のために、施設入所者のために……と、かつての秋良は身を削っていたが、その頑張りが報われることは少なかった。それどころか『あいつは断らない』と周りに利用されていただけ。


「(離婚は成立したとはいえ、麻衣が鬱陶しいかもな……ま、別に放置でもいいんだが……)」


 断捨離。次々にこれまでの関係を清算している秋良だったが、一番はじめに決着が付いた筈の麻衣に緩く付きまとわれていた。


 体感二十年という長き異世界生活から帰還したあの後、秋良は淡々と離婚の話を進めたのだが、土壇場で麻衣がゴネもした。


 夫である秋良を裏切り、会社の同僚の男と関係を持ち、離婚届まで用意していたのも関わらずにだ。



 ……

 …………



「俺は出ていく。家具なんかはほとんど麻衣が買い揃えた物だし好きにしてくれ。慰謝料も要らないし、財産分与もお互い自分名義の通帳を持っていけば良いだろ?」


 時は遡り、夫婦の別れ話の只中。

 有責側である麻衣に譲歩した条件の提示。気まずいながらも、友人兼証人として同席している品川京子も『甘過ぎる』と思うほど。


「秋兄ぃ! 謝るから! 彼とは別れるし慰謝料だって払うから!……だから、もう一度ちゃんと話をして欲しい……!」


 そして頓珍漢とんちんかんな麻衣。


「だから……いま、ちゃんと話をしてるだろ? 俺はもうやり直す気はないし、別に麻衣が誰と付き合おうが構わない。浮気相手を本命に格上げして、この部屋で一緒に暮らしても文句はないさ。後はお互い好きに生きれば良いだろ?」

「つ、強がらなくていいから! 秋兄ぃにそんな無理をさせたかったわけじゃない!」


 秋良の話がまるで通じていない。


「……俺が強がろうが、意地になろうが……もうどうでも良くないか? 後は麻衣の好きにすればいいし、浮気も咎めないって言ってるんだから、そっちからすれば離婚条件としてはこの上ないだろ? あ、別に今回の件を公正証書に残すとかもしないぞ」

「そういうことじゃなくて! 秋兄ぃはそれで良いの!?」

「(だから、良いって言ってるだろうが……何だコイツ? 麻衣ってこんなにポンコツだったっけか?)」


 段々面倒くさくなる秋良。ちらりと見やると、品川京子も呆れ気味なのが分かるが、流石に夫婦の問題に口を挟むのを遠慮している様子。こんな茶番に突き合わされる彼女に若干の罪悪感を抱きつつ、それでも秋良は根気よく話を続ける。


「あのなぁ麻衣。冷静になって考えると、浮気云々の前から俺たちの関係は割と破綻してただろ? 俺は高卒安月給の使えない家政夫ポジションだし、これからもどんどんキャリアを積んでいく麻衣にとって不釣り合いだったのも理解してる。このマンションだって、俺一人の給料じゃ住めないし、いまの家具や家電だって俺には分不相応な品々だよ。色々と金銭面で麻衣に頼っていたのは紛れもない事実だと気付いたんだ。俺は身を引くから、麻衣は自由にやっていって欲しい。浮気相手は会社の同僚だろ? 似たようなスペック同士だろうし、俺なんかよりは余程お似合いだよ」


 無感動。それっぽいことを語るが、秋良は麻衣には何も感じていない。

 もう少し何らかの感情が込み上げてくるかと思っていたが、今はユラを喪失した痛みしかない。


 麻衣は整った顔立ちでスタイルも良い。所謂可愛い系の美人。高学歴ながら人たらし的にウケも良い。一流企業にも勤めている。既婚者ではあるが、異性からのアプローチが絶えないのだって秋良は知っていた。見て見ぬフリをしていた。


 ただ、下世話なことだと知りつつも、今はどうしても比べてしまう。愛しいユラと。


「釣り合ってないとか! 私は秋兄ぃのことをそんな風に思ってないから!」

「(いや、白々しいなコイツ。じゃあそもそも浮気するなよ。せめてバレないようにしてくれれば、俺は自分を騙しながらも“普通”でいられたのによ)」


 いっそのことぶん殴ってやろうか? ……と、秋良の脳裏に物騒な“アキ”仕様の考えがチラついたりする。自身がこの世界の“普通”ではなくなった自覚は流石にあるのだ。


「……なぁ。ちゃんと考えろよ。麻衣がゴネるなら、俺は弁護士へ相談するし、それでも無理ならそのまま調停なり裁判だ。そんな労力を使うのはお互い無駄だろ? 幸いと言ったら色々と語弊はあるが、俺たち夫婦には子供もいない。やり直すなら早い方が良くないか?」

「秋兄ぃ……もしかして他に好きな人でも出来たの!?」

「(オマエが言うな! ……あぁ……イライラしてきた)」


 勘が鋭いのか、ただの思い付きか。どちらにせよ、秋良を苛立たせるのみで、話が通じない。ただ、彼にとっての救いは、この場で苛立っているのは秋良だけでもなかった。


「……ちょっと麻衣。さっきから自分が何を言ってるの分かってんの?」

「え? き、京子……?」

「あんたと秋良先輩との関係が色々と特殊なのは知ってるけど、今回に関しては、『既婚者が配偶者以外の異性と寝た』ってだけでしょ? あんたの性格上、秋良先輩が不倫してたら許さなかったでしょうに……なんで自分は許されると思ってんの? それに、先に離婚を言い出したのは麻衣じゃなかったの?」


 まっとうな正論。

 感情的になっている麻衣には通じないだろうと諦めつつも、京子は正論をぶつける。


「(麻衣のことだから、離婚したとしても秋良先輩を自分に都合よく“使える”と踏んでたんだろうけど……ソレが突っぱねられた時のデメリットに気付いたってところかな? 秋良先輩を介してじゃないと未だに母親とはまともに話ができないって言ってたし、そもそも地元の年寄り連中は秋良先輩に同情的だった……)」


 彼女は麻衣の心情をある程度は理解していた。納得はできないが、分からないではないというところ。


「そんなことないッ! 京子! いきなり何を言うのよッ!?」

「いやいや。品川さんの言ってることが事実だろ? 麻衣が先に離婚を言い出したじゃないか。で、俺はそれを了承した。本来は順序が違う筈なのにな。もう良いだろ、それで。俺としてはごちゃごちゃと揉め続けたくないんだよ」

「秋兄ぃ! 私が離婚は止めてって言ってるんだよッ!?」

「(どこの女王様だよ。しかもコイツ……感情的なのはブラフだな。確かに俺のことを大切に思い、執着もあるんだろうが……いまは冷静に思考した上でゴネて、こっちが折れるのを待ってるってところか。はは。ちゃんと観察していればわかり易いのにな。かつての俺はこんなのに騙されるほど、麻衣に対して盲目的だったのか……我ながら情けなくなる)」


 今の秋良からすると、麻衣の表情や仕草から何となく察するモノがあった。また、異世界のパラメータ……『魔力』の波動は感情の揺らぎと直結していることが多く、魔力を極少量しか持たないこの世界の住民である麻衣であっても、何となくその揺らぎを感知することはできた。


 麻衣の揺らぎは少ない。むしろ平坦なほど。つまり、感情の発露は表面的なモノだと秋良は看破する。


『鹿島麻衣を許す必要はないけど、決着をつけると言いつつ、いきなり殺したりしないでよ?』


 ユラからの注意事項。冗談めかしながらも、その瞳が本気だった意味を秋良は改めて理解した。倫理観のタガが外れた“アキ”の思考が徐々に強くなってくる。


 心の中で、呆れるように溜息をつくユラの姿を幻視する。


「……なぁ、麻衣。そろそろいい加減にしろよ?」


 魔力の発露。


「ッ!?」

「あ……ッ!?」


 エルフ族の王族に等しいハイエルフ種であり、超一流の魔道士であるユラ。外からの介入者であり、正しくチート能力者。


 元々は一般人並の資質しか持たなかったとは言え、そんなユラから手取り足取り……時には『死んでも甦る』という特性を遺憾なく発揮させる厳しさを持って、二十年に渡って教えを受けたのが秋良だ。


 向こうの世界において、彼は魔道士としても戦士としても、間違いなく一流の領域に足を踏み入れていた。


 多くの者が『魔力』などに縁のない世界。指向性を持った魔力による威圧は効果こうか覿面てきめん


「あ、あ……な、なんなの……!?」

「このままグダグダとゴネ続けても、俺はこれ以上の譲歩はしない。それでも茶番を続けるなら俺にも考えがある。周到な麻衣なら、品川さんを呼び出す前に部屋にカメラでも仕込んでるかも知れないが……俺はいま、一切お前に触れてもいないからな? 後から脅迫だなんだと言い掛かりはつけないでくれよ?」


 酷薄な笑みを浮かべながら、平然と言ってのける異世界仕様の秋良。


 彼はマスターへの聞き取りにて、現象はともかくとして、純粋な魔力自体は一般のカメラなどの記録媒体に残らないことまで確認済みだ。周到なのはどっちなんだか。


 この世界において、暴力を盾に物事を進めるリスクも彼は百も承知の上。魔力による威圧もほんの短い間だけであり、麻衣を本気で消す気はない。……今のところは。


「……ッ……はぁ……はぁ……あ、秋兄ぃ、な、何を……したの……?」


 本能的な恐怖。平和な日本に生きる麻衣や京子にすら、明確に感じ取れた「死」。あのままだと、ナニかに命を奪われると察知した。そしてそれは正しい反応。いまの秋良なら、魔力を込めて軽く小突くだけでこの世界の一般人を殺せる。


「さてね。俺は何もしちゃいないさ。浮気をして、離婚届を出してきたのは麻衣の方だろ?」

 

 当然に秋良はあっさりとはぐらかす。

 今までには無かった秋良の言動。従順だった『秋兄ぃ』の反抗だ。


 つい先程の恐怖を忘れ、怒りをのせて思わず麻衣は彼を睨みつける。


「そ、そういうことじゃ……ッ!!?」


 言葉は途切れる。麻衣は彼の瞳を見た。見てしまった。


 その瞳は虚ろで伽藍堂がらんどう


 彼女が知るはずも無いが、ソレは戦士の臨戦態勢。彼女の目には、先程よりもハッキリと死の幻影が視えた。


「なぁに。離婚届に名前を書くだけさ。だろ? この先、ただの他人として生きるだけ。幸いなことに麻衣にはもう相手もいるし、寂しくもないだろ?」

「あ……う……あ……は、は……はい……」


 ガタガタと麻衣の身体と連動してテーブルめが震える。噛み合わない歯。仄かに漂うアンモニア臭。失禁までしてしまう。


 そんな異様な様子を見ていた京子だったが、全てをそのまま受け入れる。何なら自分だって漏らしてしまいそうなほどに怖い。逃げ出したいと願っている。


 異世界や魔力や戦士のことなど何も知らない。にも拘らず、麻衣と京子は『死にたくない』と強く願った。まさに生存への本能。それはプログラム上の存在であっても同じ。


 結局、麻衣は震える手で離婚届に署名することになる。


 そして、巻き添えで死の恐怖まで抱かせてしまった京子に対して、秋良は後に詫を入れることを誓った。



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