第21話クレス様のお茶会の帰り

「ねえ、スティング少しお願いがあるんだけど・・・」

帝国の馬車に私も乗せてもらい、ヴェンツェル公爵家へ向かっている中、カレンがおずおずと言ってきた。

私の横にカレンが、前にフィーが座り、そのカレンが私をちらり、フィーをちらりと見た。

「何?」

「その・・・スティングの屋敷に住まわせて貰うのがあと2週間後でしょう?う少し早めに行けないのかなあ、と思って。今のガーフィー公爵様もとても良くしてくださって不平不満は無いのだけれど、せっかくスティングと仲良くなったから、もう少し仲良くなりいなあ、と思ってね」

「それ、私だけじゃなくてクルリも入ってるでしょう?」

「あ、やっぱりわかった?」

「あれだけ意気投合していたら、分かるわよ。でも、お父様に聞いてみるわ。ガーフィー公爵様も王宮も特に言われないと思うわ。カレン皇女様が、どうしても、と強く希望しております、と言ったら誰も反対はしないわよ。でも、フィーはいいの?」

「俺も、問題ない」

頬を赤らめながら頷いてくれた。

「では、今晩でも話をしてみるね。話が通れば、週明けにも必要な物を買いに行きましょう」

「楽しみ♪またお母様に手紙書かないとね」

「そうだな、母上は手紙が好きだからね」

違うと思う。2人の事を心配してるからだよ。

「そう言えば、手紙で思い出したけど、処分はどうなったの?さっきの話では軽すぎて差し戻した、と言っていたわよね」

「ええ。なんともお粗末な内容だったわ。王子は確かに国を通して帝国に文を送った。でも、残念ながら、先に私達が内容確認、と言うのを考えてなかったのでしょうね。直接帝国に送られるものだと思ってたみたい。中身を見て笑ったわ」

「確かにな、あれだけこちら側との内容照らし合わす、と言っていたのにな」

「そんなに?何て書いてあったの?」

「ヴェンツェル公爵令嬢が立場を弁えず皇子と皇女に近づいておりました。まさかそんな愚鈍な事をすると思わず、嘘だ、と問い詰めましたら、そうしたら、嘘では無かった。だが、皇子、皇女は公爵令嬢にスティングに言葉巧みに騙されているようで、我々を罵倒してきました。こちらにも非はあるが、元凶は、全て公爵令嬢スティングにあります」

王妃様だ。

王妃様がその様に書かせたのだ。あれだけの状況で、ここまで嘘を書いて通ると思うはずがない。

だから、王妃様はあんな平然とした顔だったんだ。

いや、殿下も王妃様の案を受け入れてその手紙をだした。これで帝国相手に上手く誤魔化せた、と本気で思っているのだろうか?

それに、殿下はその内容出認めたのね。

全てスティングのせい、か。

そのんな事1度も言われた事がなかったのに・・・もう、殿下は違う人になったのかもしれない。

ぎゅっと心が痛くなる。

そこまでして、私が、邪魔なのね、殿下。

王妃様は確かに私を嫌っていたが、あそこまで露骨に・・・いや、言ってたな。

つまり、未来の王妃は愚かな人間だ、と帝国にいいたいのだろう。

「でも、そんな事書いて本当に通ると思っているのかしら?」

「思ってるさ」

フィーが仕方なさそうに、でも、はっきりと言った。

「何故?」

「簡単な事さ。ここまで俺達は誰とも仲良くならなかった。帝国と国だ。そこは冷静なまでに、一線を引き、誰もが知っているように監視的な事をやってきた。だから、俺たちの報告と、それぞれの国の報告とには必ずズレが生じる。そうなった場合大概、その国の報告書を優先させるんだ」

「何故?だってこの間、照らし合わせて、と言ったじゃない」

「はったりよ。そんな事いちいちしないわよ。ましてや、私達は学生。今回はあの王子が絡んで来たからこうなったけど、何時もは私達の報告なんて大した事ないもの」

言われてみれば、そうだ。

在学中にしても、お世話になる貴族の家にしても、そんな大きな事をわざわざ見せない。

「けど、今回はカレンがあの小説にはまってるから、こうなったんだ。普通は、ここまで親密になるのは禁じ」

「へえ、自分のやった事は棚において私だけのせいにするつもりなの?フィーの」

「いや、待て!!・・・いや、俺も、仲良くなりたかった。うん、2人でこうなったんだ」

「よく言うわよ、私が反論しなきゃ全部私のせいにしようとしたでしょ!?」

「お前がはっきりし過ぎるんだ!!余計な事を直ぐ言おうとするだろ!?」

「何ですって!?」

何だがいつもの兄妹ケンカが始まってしまった。

いつものなら、文書は滞りなく帝国に届けられるが、私達が親密、つまり友人だとなったから、そうもいかなず、平民に落とされる。

と言うとこは、私は特別か。

都合いいわね。王妃様があせりだす

「どうしたの、スティング?」

「あ、ううん。色んな意味で・・・少し殿下と距離を置こうかな、と思ってたの」

「それはいい事だ!」

「そうよ、ゆっくり考えればいいわ。もっといい男がいるわよ、ね、フィー」

「そ、そうだよ!」

「ありがとう。確かに色んな人を見るのは楽しいわね。いい男、と言うならフィーがそうだと思うわよ」

素直に言うと、とても顔を真っ赤にしながらも、嬉しそうだった。


結局、フィーとカレンのヴェンツェル公爵家への滞在は認められなかった。

公正さをかく、と王妃様もからの猛反対があったと聞いた。

確かに間違いはなし、たかだか2週間だ待ちなさい、ともお父様に言われた。

フィーとカレンは残念そうだったけど仕方ないわ、と言ったが、

毎日スティングと遊ぶわ、

と、

何だかに気になる言葉を言っていた。

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