第16話 ヴィット
ちりりーん♪
名前 海ちゃん (旧名 ミー)
性別 雌
種族 ロシアンブルー
職業 狩猫 女帝
年齢 0歳6カ月
称号 静謐窼の女王猫
LVL 21
生命 500 精神 500
体力 500 気力 500
筋力 200 敏捷 200
器用 150 知恵 200
魅力 9999
魔力 9999
スキル 秘密
ギフト 無敵[LVL.2]
好物 マサミツ ちゅーるなアレ
海ちゃんのステータスウィンドウを開いてみてマサミツはしばらく言葉が出なかった。
称号というのを初めて見た。
称号 「
「狂い熊」の脅威を取り払い「静謐窼」全域の支配に成功した者。
支配域での魅力と魔力が限界値となる。
職業にも「女帝」が追加されている。やっぱり帝王になったんだ。
それにレベルがすごく上がっている。
前に確認したときはレベルは3くらいだったと思う。
そしてステータスも桁違いにUP。
魅力と魔力って以前は値が表示されていなかったよね?
それもいきなりMAXみたいな値。
さりげなくギフトのレベルも上がってるし。
「ねえ、海。もしかしてここにきてから毎日森の中をパトロールしてた?」
にゃん!
海ちゃんが そう! と答える。
「怖い動物とか全部倒したの?」
にゃん!
「この前ね、冷蔵庫の裏に鉢割れの白黒猫が寝てたんだけど、海の友達?」
にゃん!
「このホワイトタイガーさんも?」
にゃん!
「ちょっと聞くのが怖いんだけど、海の友達どれくらいいるの?」
みゃーーーーーう!
海ちゃんが大きな声で長く鳴いた。
すると突然マサミツの視界にものすごい数の緑の点が点滅を始めた。
森の木々の合間から次々と姿を現す動物たち。
ライオン、トラ、ヒョウ、チーター。
あ、あれはピューマ?
猫たちを除くと、ほとんどが危険種の大型肉食動物だ。全部猫の親戚たちだと思う。
ざっと見渡すだけで、うーん……100頭じゃ足りないくらいだ。
どれも海ちゃんとマサミツに向かって大人しそうに伏せている。
友達というよりこれは配下って感じだ。
ただ本当に一頭一頭が大きい。危険種たちが扇型に広がって並んでいるのは壮観だけど慣れていないと怖さもある。
マサミツは考えを纏め始める。
この状況を理解、推測を組み立て、矛盾がないかを検証。
「
確か「窼」というのは「住処」という意味の地球の古い字だ。
海はこの全域を縄張りにしようと毎日お出かけしていた。
たぶん猫系統の仲間を配下にしてなわばりを広げたくて。
戦って仲間を増やしているうちにどんどんレベルが上がっていった。
目の前に転がっている大きな熊は「狂い熊」といって森の脅威だった。
それを倒したことですごい称号を得た。
「海、こんな感じで合ってる?」
にゃんにゃー!!
そんな感じー!! と言ってるみたいだ。
海ちゃんの体が一回り大きくなって威厳みたいものを感じるのは称号とレベルアップの結果なんだろう。
それでもマサミツにとって海ちゃんは以前と何も変わらない海ちゃんなのだけれど。
マサミツは苦笑いをして得意げな海ちゃんの頭を撫でた。
「それじゃあ、この熊を片付けようか」
立ち上がったマサミツが解体を始める。
きちんと毒を浄化して解体された熊を思い浮かべて。
――
一瞬で肉や毛皮などに解体された光景に、見ていた海ちゃんの仲間が静かになった。
びっくりして静かになったのは最近仲間になったばかりの個体だ。
前にこの光景を見たことがある個体は、生肉を前にして早くも涎があふれているみたいだ。
肉が特に多いのはあの巨体だからしょうがない。
とても運べる量ではないし、集まった海ちゃんの仲間がもううずうずしている。
「海、生肉はみんなで分けてもらって」
にゃう!
海ちゃんが鉢割れ白黒猫に何かを話しかけたようだった。
すると鉢割れが大きな声で鳴いて指示をしている。
「あの鉢割れ君が助役みたいなお役目なんだね。だから部屋に詰めていたのか」
ふと鉢割れに意識を集めると小さめのウインドウが開いた。
ちりりん♪
名前 ハチ
種族 デト・フェレス(ネコ)
性別 雄
所属 海ファミリー
「あははは。君はハチって名前なんだ。海の仲間は海ファミリーて呼ぶんだね」
鉢割れが えっ? という顔でマサミツを見た。
きっと名前がどうして分かったのか不思議だったのだろう。
その傍をのっしのっしと大きな体の海ファミリーの仲間が次々と通り過ぎて、生肉の塊をひとつ咥えて元の場所に戻っていく。
お行儀がとてもいい。戻った先でまた伏せて肉にかぶりついている。
先ほど治療したホワイトタイガーがマサミツに近づいてきた。
「ああ、君には助けてもらった恩返しができて良かったよ。もう身体の具合はいいのかい?」
マサミツが話しかけると、ぐるにゃんと鳴いてマサミツの頬をベロンと舌先で舐めた。
「あははは。ありがとう。もう元気みたいだね」
マサミツはハチと同じようにホワイトタイガーを観察してみた。
種族 デト・ティグラ(アスファル)
説明 地球のベンガルトラ。白変種はホワイトタイガーとも呼ばれる。
肉食。危険種。
「あれ? 名前がないや。個体固有の情報は名前がないと表示されないのかな」
ちょっと考えて海ちゃんに話してみる。
「海、この白いトラさんに名前をつけてあげてくれないかな。ハチの名前も海がつけたんでしょ?」
にゃう?
「え、考えるのはいや? じゃあ……」
その美しい姿から「白」を元に名前を付けたいと思った。
いろいろ思い出していると、クリスファウの祝福の効果なのか、知らない知識が次々と頭に広がっていく。
「オランダ語で白はWIT。なんか響きがいいね。ヴィットって名前にしよう」
海ちゃんがすぐに にゃうにゃう と話しかける。
ふわっと淡い光に包まれたホワイトタイガーにマサミツは少しびっくりした。
「おー、ちゃんと名前が付いた!」
名前 ヴィット
種族 デト・ティグラ(アスファル) 危険種
性別 雌
所属 海ファミリー
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