三. 孤独を選んだはずの女

三.孤独を選んだはずの女


 朝八時、弥勒寺にあるマンションの自室で起床、飼い猫の餌を足す。


 飼い猫ジャックはアメリカンショートヘアの雄猫だ。彼は私に懐いている。無愛想の極みである、この変化人「牧村由利恵」に。ジャックは食事を必要とする。だから、彼のために時間を割くことは無駄ではない。


 食事を必要としない私には歯磨きなど必要ないが、医院に勤める身としては清潔でなければならない。よって、入浴、洗髪、整髪など含めて必須。だから、その時間は無駄ではない。


 医院へ十時に到着できるよう車を動かす。充電は夜間に済んでいる。無駄がなくていい。


 道が少し混んでいる。この時間に車の往来が滞るということは何かがあったということだ。消防車がサイレンを鳴らして道を空けるように催促してくる。車を路肩に寄せる。無駄ではない。


 藤沢駅南口のロータリーでボヤ騒ぎがあって、さらに南の交差点までが詰まってしまったらしい。死傷者、なし。この情報は無駄なのですぐ忘れることにする。


 定刻に医院に着くと、十時半に開けるよう周辺の清掃と待合室の換気をする。空気が乾燥してきたので、冬が近いのだろう。やや古い加湿器に水を足して稼働させる。私たちには環境変化の影響が少ない。真冬の雪下でも長袖を着れば充分だ。だが、常に医院の整った状況を維持するのは患者が純粋人だからだ。季節感は大切にしたいとも真田先生がおっしゃっているので、紅葉の山々を収めた写真の紙カレンダーを飾ることでさえ無駄ではない。


 先生が何かを話してニュースの内容に触れた気がするが、覚えていないので無駄だと判断したのだろう。


 診察開始の札をドアにかける。このような儀礼的なことをしなくとも患者側も診療時間など把握しているだろうから、少々無駄ではあると思うが、先生からすると無駄ではないらしい。


 受付で国からの支援金額や今月の出費、必要とする薬剤などに関わる書類を整理し、端末に入力する。紙媒体でまだやりとりをしようとする体制は過剰に無駄だと思う。用いる端末は少々旧式の類だが、まだまだ現役で通せる。この点は無駄がなくていい。


 十二時少し前になって、隣接する真田家に向かう。真田先生の息子、一義さんに昼食を用意するためだ。これは決して無駄ではない。彼は純粋人であるから、食事が必要だ。


「これも美味しいです! すごく好みだなあ」


 メモ書きに記した今日の献立の横に丸をつける。花丸を。笑顔の度合いで丸が渦巻く回数が増える。これは決して無駄ではない。……無駄ではないのだろうか。少なくとも、彼の好き嫌いを正すことは意味があると感じる。だからこの時間を続けている。それだけだ。


「洗い物をしますので、あとは置いておいてください」


「大丈夫、これからは僕がやりますから牧村さんはお茶でも飲んでてください」


 急に休めと言われると時間を持て余す。温かいほうじ茶を出されて、居間でソファに座っている。無駄だと思う。でも、何か無駄ではないと思いたい気がする。


 それでも、時間があると無駄な思考に陥る。二〇五〇年、私がまだ十三の頃からの追憶など特にそうだ。



 ある瞬間から何かが鈍麻していった。それまでに私は怪我も病気もしていたので、一通りの人の痛みを知っていた。複雑な人間の思考も理解していたつもりだった。しかし、変化人となってからは明らかに感性が鈍くなった。


 当時、私の親類縁者は変化人となっており、二十歳を越えていた者はみな、その姿のままで変化を止めた。連絡の取れなくなった六十代の祖父母の自宅に行くと、布団の中で塵だけが確認された。そこで私は何も思わず、現実を受け止めた。その前年に曽祖父が亡くなった時は、あれだけ泣いたというのに。


 二十歳を迎えると、私も成長を止めた。老化もしなかった。一応、教員免許を取り、初等教育を受け持つことにした。無味乾燥な十年の間に、友人のツテで知り合った変化人の男性に求婚され、私はひとまず関係構築を受諾した。非常に成り行き任せの、型式ばかりのものだったが、情勢が不安定になっていたのでお互いに子を残しておこうとでも思ったのかもしれない。


 夫はアメリカに本社を持つ会社の役員で、あちらに転勤すると言われて私もついていくことにした。十年間の教員生活で得たのは、変化人の子供は静かな世界で淡々と言われたことをこなすだけ、という事実だった。やりがいのなさには嫌気が差したのかもしれないが、今となっては不確かだ。記憶はいくらかしたが、記録は決してしなかった。無意味だった。


 アメリカには純粋人のコミュニティが多く、肌の色や人種を越えて皆が寄り添っていた。二〇五〇年以前には考えにくいことだったが、彼らの中に差別意識が芽生えなくなっていたのだった。それを見ても、しかし、私は他人事だった。純粋人が羨ましいと思ったことは一度もなく、淡々と家事をこなすだけの日々だった。


 ある日、夫が塵になった。私が四十八歳の時だから、相当な歳の差をもって成婚したのだとその時初めて知ったが、同時に相手にひどく無関心であったことに気づかされた。子供はできず仕舞いだった。孤独になったことを感じる前に、私は家を引き払って日本に帰国した。


 ぼんやりとした日々で、国内は方々が荒れたり、再興されたり、政権が変わったり、人類種比率が変動したりした。その頃の私は、いつもマンションの一室で正座しては窓の外を眺め、定刻になると就寝するだけの人間になっていた。飢えも渇きもないので、ただ活動限界までこうしているのだと思った。


 ある日、小さな男の子の泣き声がマンションの窓に届くまでは。



「牧村さん? お茶冷めてますけど替えます?」


 小さな男の子だった一義さんは逞しくなった。母親を捜して歩き回り、迷子になって大泣きしていた頃とは大違いだ。この成長は意味があることだ。内面にも成長が感じられる。


「いえ、構いません」


 最近、一義さんはソファで対面でなく隣に座るようになった。意味を考えてみる。答えが出ないので無駄な考えだということに至る。


「今度、よかったら水族館行きませんか。八景島の」


「水族館なら江ノ島付近にもあると思いますが」


「少し遠出するからいいんですよ。あ、もちろん父さんと春菜ちゃんも誘って、なんですけど」


 一義さんが三上さんのことを下の名前で呼び始めて二週間ほど経つ。違和感が芽生えるが、おそらく無駄なので考えない。また、四名で、という指定にも何かが引っかかったが、特に重要性がないと踏んだ。なので、私は自分の考えをすぐに口にする。


「しおりを」


「え?」


「しおりを作ります。遠足のしおりを」


 そこで一義さんは吹き出した。何かおかしいことを言っただろうか。必要だと感じたのだが。


「さ、さすが、小学校の先生。ちゃんとしてるんだもんなあ」


 涙を拭いさえする一義さんが非常に愉快げで、満足そうに見えた。私の中に残った純粋人だった頃の記憶が、それを認知させてくれた。それは無駄ではない感覚だ。


「じゃあ、約束ですよ牧村さん。指切りしましょう」


 小指が立てられた彼の手は少しずつ少年のものでなくなっている。男性の手だ。節が立ってきた、硬い見た目の指をしている。表皮も女性のそれより厚みがありそうだ。もっとも、変化人の過剰な耐久性には遠く及ばないけれど。


「あれ、昔の人はこうしてたって父さんに聞いたんですけど」


「はい」


 小指の先がゆっくりと触れた。絡み合った。私より少し高い体温を感じた。上下に手を軽く振りながら、約束を交わした。指が絡んでいる。絡んだままだ。私は力を抜いているつもりだったが、顔を見ると彼も同じようだった。一義さんが困惑気味に口を開いた。


「あの、時間」


 時計を見る。午後の診察開始まで五分だ。洗い物がきちんと済まされているかを確認せねば。しかし、小指が簡単には離れない。


「一義さん、せーの、で離しましょう」


 今度は容易に指の絡まりが解けた。何が起きたのかはよくわからないが、不快ではなかったのでおそらく無駄なことではないのだろう。指先に少し残った彼の体温が離れていくことに気がついたが、熱を保持する意味がわからないのでこれを気にするのは無駄なのかもしれない。


 診療時間内に暇を見つけない方が難しかったが、私は水族館へのルートと電車の時間、昼食休みと帰宅目標時間を設定した。車で行くことを提案したが、一義さんに「それだと父さんか牧村さんに負担がかかるから」と言われ、却下となった。おそらく電車賃などを考えた場合は我々変化人には無駄が多いのだが、彼らの基準に従うのが筋だと思われたので、頷いた。


 診察時間を終了する時刻になると、ドアの札を外す。それから、一度先生に挨拶をしてから車へ向かった。この間に無駄な動きは一切しない。ジャックが待っているので餌を補充してやらねば。


 車の窓ガラスがノックされた。三上さんだ。パワーウィンドウを下ろすと、彼女は前屈みになって笑みを浮かべた。


「こんばんは! 水族館楽しみです!」


「はい」


 実は、私はこの娘があまり得意ではない。私が知らない自らの表情を看破されるのが少々苦手だ。今も「あれ、困惑してますね」とすぐに言われた。それに答えず、私は前を向いたまま言った。


「乗っていかれますか。もう遅いですし」


「ありがとうございますー」


 道中で彼女が喋る内容の大部分が水族館で見られる水棲動物の話で、イルカとペンギンのどちらが上か、などと訊かれた。何が上なのかと返すと、もちろん可愛さです、と答えが打ち返された。どちらも人類ではないので、可愛いという判断基準が当てはまるかはわからない。この会話は無駄な気がする。


「人だったらそうですねえ。真田家の男子二人はどちらが好きですか?」


 少し、言葉に詰まってしまう。


「私は一度もお二方をそのように比べたことがないので答えかねます」


 視線を前に向けたままだったが、三上さんが特別な感性を備えた眼差しを私に向けていることを感じる。無視することが難しいほどの視線なので、同じように繰り返した。


「そ、そんな焦らなくてもいいのに」


 まただ。また私が感じていないはずの感情を見られている。すごく居心地が悪い。


「ええっと、その、実際牧村さんはどうなのかと。同性なので白状しますけど、私は先生の方が素敵だなあって」


「賢明な方ですから」


「一義さんもいい人ですけどね」


「聡明な方ですから」


「牧村さんはどっち派ですか?」


「運転に集中したいので少しだけ黙っていていただけますか」


 彼女を駅まで送り届けると、ジャックの待つ私室に戻った。彼は餌皿の前で補充の催促をしている。自然で、無駄がない行動だ。私が彼を飼っているのは、猫の中でもおそらく飛び抜けて、馴れ合うことを選ばない気質だったからだ。静かに過ごし、時折触れてくるが、概ね一匹で部屋に置いても問題を起こさない。壁紙やソファのファブリックに爪を立てることもない。ちょうどいい。


 餌を与え、水を替え、トイレの世話をしてやると、私は軽くシャワーを浴びた。無駄のない動きができるのは冷静な証拠だ。シャンプーがもう少しで切れそうなので、明日届くように発注しておかねばならない。タグありの純粋人なら自動で補充トラックが来るのだが、私にとっては本来無駄な行為なので、自ら発注せねば。


 部屋に戻るとジャックが私の方を見てひとつ鳴いた。珍しく思ったものの、特にそれ以上は何もしてこないので、寝室へ移動する。薄手の毛布をベッドの上でかぶると、ジャックが枕元に飛び乗って、丸くなった。


「君はそのような男ではないと思っていたけれど」


 喉を鳴らすので、そのままにしておいた。おそらく彼の行為は無駄ではない。普段しないことをするというのは、意味のあることだ。


 目蓋を閉じると、すう、と夢を見た。


 夢を見るなど久しぶりのことで、それが現実でないことに気づくまで時間がかかったが、自身が昔、親戚の集まりで見たような老婆の姿で、誰かと寄り添っていることによって現ではないと判断した。あり得ない状況だったからだ。私は老化せずに活動限界を迎える。


 隣の老人はどうも見たことのある男性が老齢になった姿のようだ。懐かしさのようなものが立ち上るが、うまくそれを掴み取れずに頭を彼の肩に預けたままにしていた。言葉もなく、静かな夜だ。星が囁くような音がする。そのような感覚を覚えたのはもう何十年も昔のことだ。


 由利恵、としわがれた声がする。私は言葉もなく、彼の手を握った。


 目が覚めて、非常に無駄な睡眠を摂ってしまったと感じた。しかも普段の起床時間よりも二時間も早い。夢を見るということは睡眠が浅く、質が低いということだ。無駄なことをした。


 ジャックはソファに移動していたので、私はその隣に座って軽くその背を撫でた。猫の体温は高い。それと同じくらい、一義さんの小指は熱かった。


「しおりを作らないと」


 約束を思い出す以前に、忘れることなどあってはならないのだが、何かに気を取られていた証拠だと思う。無駄なく端末を操作して、左揃えの明朝体が並ぶ紙面を整えた。そして、ふと気づく。ゴシック体か、丸ゴシック体の方が読みやすいのだろうか。テンプレートのワードアートなどは相当趣味が悪いので論外だが、まだ手の入れようがある気がした。


 結果的に仕上がったものをプリンターで出力すると、何やら頭が痛くなる気がした。変化人にはあり得ないことだが、頭痛の気配がする。


「相手は小学生ではないというのに」


 何故、私はイルカとペンギンがどちらも笑顔で並んでいるという珍妙なしおりを作ってしまったのだろうと考えた。どちらが上でもなく、小さくもない状態を作るために、ピクセル単位で絵のサイズと位置を合わせた。時間がどれだけ経ったか分からないほど止まった挙句、ジャックが餌の催促をしてきたので、印刷物を仕事用の鞄に入れてから猫に従った。もう八時だ。


「これはまた可愛らしいですね。牧村さんは確か小学校の教員免許をお持ちでしたし、納得の出来栄えです」


 医院に到着後、私の用意したしおりを渡すと、先生は無表情に頷いてからコピーを取った。その後、一義さんに渡すべく診察室を出ようとする。私は何故かすぐに後ろを追っていた。


「昼食を用意する際に私が手渡しますので」


「ええ。わかりました」


 勤務時間中に労使関係を無視した動きをしたが、どうにも無駄ではないように思えた。


「牧村さんが引率となるようですから、従いましょう」


 軽く会釈をして、私はコピーを受け取り、ファイルにしまうと書類整理に戻った。集中力がやや低い気がした。しかし、そこに対して何かできることはないので、無駄だと思った。


 昼食後、印刷物を渡すと、一義さんは目を大きく開いて感激そのものという表情を浮かべた。


「さすが牧村さん! へええ、こんなの僕、小学校で見たこともないですよ!」


「今時分の小学校は本来的な義務教育の場ではなく、国が無理をして動かしているものですから、私の時代とは随分異なるのでしょう」


 そこまで言って、どうも自分が得意げな口調ではなかったか、と自戒した。努めて事実のみを伝えるようにしているはずだったが、何か彼の前では言葉が多くなる。これを無駄口と言わずしてなんとするのか、と思う。


「昔のこともっと教えてください。例えば、二〇五〇年以前の小学生が何をして遊んだのか、とか」


 少し考えて、かなり薄れた記憶の中から事実を言葉に組み上げた。


「当時は子供向け玩具が多数販売されていましたから、それを持ってくる子供もありました。もちろん教師はそれを窘めるのですが、子供が従うわけもありません。なので、こっそりと持ってくるのです。それを取り上げる教師との格闘がまだありました」


「うんうん」


「それ以外ですと、タブレット端末で授業中に絵を描いたり、ウェブで動画を再生したりする子供がいて、多種多様な遊びがあったように記憶しています。古典的な遊びで、こっくりさん、というものがありました。呪術めいたもので、正規の手順を踏んで終えないと呪われる、というものです。まだあの頃は、そのような背徳感を楽しむ時代でした」


「こっくりさんっていうのは?」


 私はまた少し考えて、思い出せる限りの知識で説明した。


「──と、そのように行うのです。つまるところは、参加者が深層意識で望んだ結果をそれぞれに導いているだけだとされているのですが」


「ちょっと待ってください、牧村さん。そこまでいくと、説明というか解説です」


 また言葉が出過ぎたらしい。無駄が多い日だ。私はどうも申し訳なくなって、軽く会釈をするとソファから立ち上がった。


「今日、勤務終わったら春菜ちゃんとやってみません? こっくりさん」


 背中にかけられた言葉に、わずかに自身の動きが止まったことを感じたものの、なるべく早く返答した。


「気が向きましたら」


 ドアを静かに後ろ手で閉めると、居間の方で「よし」と聞こえた。何がよしなのだろう。私は完全に許諾したわけではないのだけれど。


 果たして、私は真田家の居間にいた。勤務時間直後に。理由は判然とせず、事実としてソファの前に立ち尽くす私がいる。


 コピー紙に手書きの五十音と数字、はい、いいえ、の項目。それを見て、私は記憶が少しだけ蘇ったように思った。


「これでいいんですよね? 僕は字が怒涛の汚さなんで、春菜ちゃんに書いてもらったんです。これならこっくりさん降臨間違いなし」


「部屋は暗くしておくんでしたっけ? 蝋燭がいいのかな、蝋燭なんてないよね、ううん、どうしよう。LED電球を極小で点けるとか」


 小学校のざわめきを思い出す。電子黒板が普及して、手元のタブレット端末が無料支給されるようになっても、駆け回る子供の声は絶えなかった。こっそりと行われるメモ書きのやり取り。掃除中に丸めた雑巾をボール代わりに行う野球もどき。一輪車に夢中になる女の子たち。自作の競技に熱中する男の子たち。騒々しかったあの頃の肌感が蘇った気がした。


 そうだ、私はそれが忘れられなくて教員免許を取った。なのに長らく忘れていた。いや、忘れないとやっていけないほどに世界と人類が変貌した。そして、私自身も。


「牧村さん、始めますよ。僕らだけじゃダメです。始め方を知ってるのは牧村さんだけなんですから」


 我に返ると、二人がすでに古い硬貨の上に人差し指を乗せていた。私はふと、教員の口調に戻してみたくなった。今更、無駄だと思いつつも。


「それでは始めますよ。続けて言ってくださいね」


「……うわああ、牧村さんて、そんな顔して笑うんですね。可愛すぎて目が溶け落ちてしまいそう」


「春菜ちゃん、英語の勉強は教えてあげるから絵の勉強してよ。で、見えたもの描いて。溶け落ちる前に、なるべく早急に」


 この二人に狂わされかけているのは、私の本来の調子というより、変化人としての在り方なのかもしれない。これは、無駄な流れではないと思った。むしろ、必要なのかもしれなかった。


 こっくりさんで最初に私が質問をすることになった。お手本としてだが、私は当たり障りのないことでなく、真剣に考えてみた結果「私は人間として生きられていますか」と呟いた。


 硬貨はすぐさま「はい」に移動した。この結果が私の深層意識の表れだとしても、もう無駄には思えなかった。

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