市村家にない物

「皇さん、この家あれがないよ」

 市村家でドアを開けて部屋を見るなどしていた鬼塚は小声で言った。

「あれって何ですか?」

 伊万里は聞いた。

鬼塚が言おうとしたその時、市村保奈美がやって来て

「あのー大丈夫ですか?」

「はい!大丈夫です!すみません!他の依頼があるんでこれで失礼します!」

 鬼塚はそう言って伊万里と共に市村家を去った。


 「鬼塚さん、結局何だったんですか?ないって?」

「家族写真だよ!」

「それたまたまじゃないですか?いやたまたまではないか…」

「そうだよ!家族写真がなかったんだよ!あの家。市村保奈美は間違いなく深瀬翼と浮気してる!」

「まぁ、なんか不自然な褒め方してましたからね…」

「とりあえず、阿南さんと本郷君からの連絡を待とう!」

 そう鬼塚が言うと後ろから

「おい!おい!」

 そう声が聞こえ後ろを振り向くと50代ぐらいの1人の男がいた。

「男の方!あんた!あんた、牛鬼だろ?」

 そう男が鬼塚を指差しながら言った。

「鬼塚さん、知り合いですか?」

「いや」

 鬼塚は首を傾げた。

「人間の方もちょっといいか?」

「私もですか?」

 伊万里はそう聞くと男は頷いた。

「俺はこのマンションの住民だが、ちょっとあんたらに話したい事があって」

 そう男に言われ鬼塚と伊万里は顔を見合わせた。

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