調査!

「という訳でお願いします!」

 そう言って凛は頭を下げた。

 話を聞いた凛の義姉の一華は

「つまり最近彼氏さんが浮気してるんじゃないかと…それで調査してほしいのね?」

「そう!つまり浮気調査です!」

 凛の様子を見た鬼塚は、

「ネットの恋愛のコラムに同じような事、書いてあったよ!凛さん、悪い事は言わない彼氏浮気してるから別れなさい」

「鬼塚さん、デリカシーないですよ!」

 伊万里は目を吊り上げて怒った。

「申し訳ない。凛さん、失礼ですが、誰か浮気相手みたいな方に心当たりないですか?」

 鬼塚は聞いた。

 そう聞かれ、凛は思い出そうとした。暫くして心当たりがある人物を1人思い出した。

「うちの2軒隣に住む市村さんの奥さんが…」

 凛は実家暮らしで、デートをする際は、彼氏の深瀬翼が車で迎えに来る事がたまにある。その時、2軒隣に住む市村保奈美に見られた事があったと凛は落ち着きながら話した。

「奥さん…」

 本郷はドン引きした。

「人妻…」

 鬼塚は呟いた。

「鬼塚さんっ!」

 伊万里は鬼塚を睨んだ。

「その市村さんというのはどういう方なんですか?思い出せる範囲で構いませんので」

 伊万里は凛に聞いた。

「一言で言うならうざい。後は、愚痴が多くてすぐ羨ましがる方です。私は大嫌いです」

 凛がいうには市村保奈美は、一華の夫亮平の実家があるマンションに対して一華の義両親に愚痴を言ったり犬や猫を飼っている家庭をしつこく羨ましがったりしているようだ。

「面倒臭い方なんですね」

 伊万里はドン引きした。

「面倒臭いです。翼…私の彼氏がかっこいいだなんだ聞いてきたり彼氏が迎えに来た時なんかは笑顔で手を振る動作をしてしかもキャーキャー叫んでました。両親特に母は上手くやっていますが、私は無理です!ストレスで禿げます!」

 凛は力強く言った。

「まるでスポーツ選手かアイドルだね…。あの人そんな事してたのね」

 一華は呆れた。

 一華も実家を訪れる時、何回か市村保奈美を見かけたりしたし、義両親からも話は聞いていた。

「わかった!それなら早く調査しなきゃ!凛さん、貴方の平和は我々何でも屋がお守りします!だよね?阿南さん?」

 鬼塚は一華にウィンクした。

「鬼塚さん、ありがとうございます!」

 一華は頭を下げた。


 凛が帰宅した後、何でも屋では、浮気調査についての作戦会議が行われ、深瀬翼を張り込みする他に阿南家に聞き込みをする事になった。また、市村家にも聞き込みを行い仮に市村保奈美が深瀬翼と浮気していた場合、阿南家と市村家に公表するという流れになった。


 翌朝、鬼塚と伊万里は市村家へ一華は阿南家本郷は張り込みに行った。

 一華は義両親に了承を得て聞き込みを開始した。義父の進はあまり関わりないが義母の洋子曰く

「高校生の長男と中学生の長女を立派に育てたいいお母さんだ」

 と話した。

 一華は昨日凛に聞いた話を義両親にすると洋子は「リップサービスではないかとそんないいお母さんが若い子と浮気するはずがない」

 と言い張った。


 一方鬼塚と伊万里は市村家へ聞き込みをしていた。

 鬼塚は事前に凛から送られた深瀬翼の写真を市村保奈美に見せたが、

「この子阿南さんのお嬢さんの彼氏さんよね?素敵だよね!私の旦那なんて芸人みたいにブサイクだから羨ましい」

 と早速愚痴を言った。

 伊万里は呆れて聞いていたが、鬼塚の姿がない事に気づき見てみると鬼塚は市村家の中を隅々まで見ていた。

「皇さん!」

 鬼塚にそう呼ばれ、伊万里は駆け寄ると

「ダメじゃないですか!他所のお宅なんですよ!」

 伊万里が小声で注意すると

「そうなんだけど、皇さん。この家にある物がないよ…」

 鬼塚はそう言った。

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