ゴミ屋敷編
海原さんの依頼
伊万里が何でも屋で働いて1ヶ月が経ち、5月になった。この何でも屋は社長の鬼塚、先輩の一華、本郷がいる。だが、社長の鬼塚清志郎…見た目は人間だが、実はその正体は牛鬼という妖怪が化けているのだ。
何でも屋に、あるお客が来た。
「あら、海原さん、いらっしゃい」
鬼塚の目の前にいる海原莉子という女性は夫婦共働きで夫の昇はサラリーマンで莉子は病院で医療事務の仕事をしている。海原夫妻には、8歳の長男桔平と3歳の長女紬がいる。普段海原夫妻は、両方共仕事が遅くなる日は何でも屋にこの長女の保育園のお迎えを頼んでいる。この依頼は鬼塚か伊万里が受けている。
「今日は紬ちゃんのお迎えですか?」
「今回はお迎えではなくゴミ屋敷をなんとかしてほしいです」
「ゴミ屋敷?」
莉子が言うには、海原家の向かいの家が何年か前からゴミ屋敷になっており異臭で近所迷惑になっているため、役所に連絡したが役所の職員はお手上げ状態だったのだ。
「それで今回はゴミ屋敷の清掃という事でよろしいですか?」
「お願いします」
「因みに、元の家主はどんな方かご存知ですか?」
「はい、確か…お婆さんと50代から60代ぐらいの娘さんらしき女性が住んでました。その後、いつの間にかお婆さんもその女性もいなくなり今のゴミ屋敷に…」
「なるほど…海原さん今度我々でゴミ屋敷を見に行って見ます!」
そう鬼塚が発言すると伊万里、一華、本郷は少し呆れていた。
「本当ですか⁉︎」
「そのゴミ屋敷を見てどうするか翌日清掃します!」
「宜しくお願いします!」
莉子が帰った後、伊万里は
「鬼塚さん、大丈夫なんですか?だって役所の職員さんが手に負えなかったぐらいなんですよ?上手く行きますか?」
伊万里に対し鬼塚は
「大丈夫だよ。僕に任せなさい!」
そう鬼塚は言ってコーヒーを飲んだ。
「鬼塚さん、ゴミ屋敷ですよ?よく本郷さんが受けてる山田さんのお婆ちゃんの家のハウスクリーニングとはレベルが違いますよ!」
伊万里は眉間に皺を寄せて言った。
「皇ちゃん、山田さんのお婆ちゃんの家のハウスクリーニングが民家ならゴミ屋敷はベルサイユ宮殿だよ〜」
一華がのんびり言うと
「何の例えだ」
と普段は無口な本郷がツッコミを入れた。
「ま、とりあえず…」
鬼塚は予定表を見ながら
「明日は阿南さんが休みだから明後日ゴミ屋敷の視察に行こう!」
「わかりました〜」
と一華は返事した。
一方の伊万里は難しい顔をしていた。
「皇さん、頑張ろう!グジグジ考えるのは良くないよ!僕達で忌々しいゴミ屋敷を片付けよう!」
鬼塚は拳を握りながら言った。
「鬼塚さん、ゴミ屋敷を忌々しいと思っているのは、鬼塚さんじゃなくて海原さんですよ!」
伊万里は口を開いた途端そうツッコミを入れた。
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